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クルマそのものはもちろん、カー用品も日々刻々と変わりつつあるなか、昔から一向に変わらない保守的な用品も数多く残っている。それじゃなきゃダメというわけではないものの、慣例ともなっているのだろう。使用頻度が高くないものほど、代々のクルマで使い続けられる例もまた多い。
その代表例とも言えるのが停止表示器材だ。高速道路上で、故障などの理由により停車する際に表示が義務付けられている。この『停止表示器材』の筆頭とも言えるのが三角表示板だ。
ただ、停止表示器材は何も三角表示のあの形に限られるわけではない。ほとんどのユーザーが『停止表示器材=三角表示板』という認識だっただろう。しかしこの停止表示器材は、三角表示板以外にも灯火式のものが規定されていて、要件を満たしていれば灯火式のものでも構わない。
その道路交通法施行規則の要件を満たした停止表示器材の一つが『パープルセーバー』だ。紫色のLED3灯を使い、夜間約800m、昼間約300mの距離から視認できるスグレモノ。防水カバーを備え、最大約5時間の連続使用が可能となっている。
経験と実績が実を結ぶ。時宜を得たスマッシュヒットの理由とは?
「これまでも、これに似た電球式かつトランク収納前提のようなサイズの製品のみ存在していましたが、法律が緩和されLED式も認めますよとなりまして。今こそより使いやすいモノを作るべきじゃないかとなりました」
開発のスタートは昨年の2022年2月頃。同年7月から販売が開始されたことを考えると、開発期間はごく限られた。
「新規で作るアイテムではありましたが、従来から安全用品に取り組んできたことで、そのノウハウが社内に蓄積されていました。それをまとめて一気に出すという形ですね(高橋氏)」
同社においても三角停止板はロングセラーの鉄板品。ただ、運転席まわりに置きづらい収納サイズだったり、そもそもバイクには積載できないなどの課題は残っていた。
「みんながもっと使いやすくて安全に寄与できるものができないかという活動自体、5〜6年ほど前からずっと続けてきました(高橋氏)」
方法論自体はずっと温め続けてきたものだという。
「緊急停車した時に安全を知らせる製品も過去には作っていまして、運転席周りの狭いスペースに置く形であるとか、電池式のLEDに必要なレンズであるとかも目星がついていました(高橋氏)」
とりわけ、保安用品におけるLEDの使い方には一日の長がある。
「法律では200m見えればいいとなっていますが、実際の高速道路環境を考えると、より遠くから見えたほうがいい。そういったところから、800m先から視認できるよう専用レンズを採用しています。通常のレンズとは異なり、近距離ではなく離れたところでより明るく目立たせるようにした専用設計です(高橋氏)」
特殊なディテールは、レンズ形状に留まらない。
「本製品は新規設計LEDを採用しています。一般的に、紫の光の波長は視認範囲が狭いことにより、電気をそのまま色に変えても人の目には見えづらいという問題がありました。その辺りも蛍光体の配合とかを変えて補完しています。レンズもいろんな色で染めてみて、それぞれの組み合わせごとに明るさを測ったり、実際にフィールドで確認もしています(高橋氏)」
光の見え方は環境の影響を受けやすい。それでも保安用品は、不得手な状況があってはならない。
「夏のよく晴れた日で、かつ逆光のポジションからクルマが来る環境が一番厳しい。もちろん、この状況でもしっかりとクリアできています(高橋氏)」
エーモンと言えば、直球勝負の分かりやすいネーミングが十八番とも言えるが、本製品は少し毛色が違う。
「もっとお客様に親しみを込めて呼んでもらえるようなネーミングにしました。よりインパクトが強いものをという考えです(原口氏)」
スタイリッシュなパッケージとも合致する『パープルセーバー』は発売後早々に話題になる。
「代理店さんなどの反響もすごかったですね。販促物作成の依頼が昨年7月の発売から延々と続いてる状況です。それだけ関心を持たれているのかと、依頼が来るたびにすごく感じているところです(原口氏)」