まず行くべきは「Tokyo Future Tour」!ワクワクする未来のモビリティの姿を西棟で体感【ジャパンモビリティショー】

ジャパンモビリティショー(旧:東京モーターショー)主催者プログラムの「Tokyo Future Tour」(トーキョー フューチャー ツアー)。自動車業界だけでなくオールインダストリーで、177社の企業や団体が参加。モビリティが変える未来を表現する「体験型コンテンツ」が魅力で、子どもも大人も楽しめるだけにおすすめだ。その注目の内容をお届けしよう。

TEXT&PHOTO●伊藤治彦(ITOH Haruhiko)

今回のジャパンモビリティショー(旧:東京モーターショー)、その目玉企画のひとつが「トーキョー フューチャー ツアー」だ。まだ見たこともないモビリティや、活用が期待される技術で「モビリティが実現する、明るく楽しくワクワクする未来」を体感できる。こちらは西展示棟1・2ホール1Fで開催されている。

Japan Mobility Show Tokyo Future Tour
未来の東京を没入映像体験できる「Immersive Theater(イマーシブシアター)」。

このツアー、まずは入口のシアターで未来の東京の姿を映像で体感できる。未来の道路は? 未来の乗り物は? などなど、あふれるワクワク感を動画で紹介してくれる。モビリティが変革する未来の東京。6分を超える盛りだくさんの内容で、想像以上に面白い映像だ。自動運転のクルマが都市中を走り、その車内では、リラックスできる森林の映像や、アーティストのライブ映像など。移動中の過ごし方が変わり、さまざまなコンテンツが楽しめたり、今までのドライブスルーの代わりにフードデリバリーのドローンが注文したランチを届けてくれたり……。2023年11月3日に全国ロードショー予定の映画「ゴジラ-1.0(マイナスワン)」とのスペシャルコラボ映像はおまけとして、絵空事と思えない、実現するに違いないと感じさせてくれる未来の姿が目白押しだ。

Japan Mobility Show Tokyo Future Tour
自動運転により高まる移動時間の価値を提案する一方、ドライバーが操作する運転の楽しさも再認識させてくれる内容で、見どころ満載の映像。

まずは、この映像を体感できただけで、この会場に足を運んだ甲斐があると思えるほどだった。取材時(プレスデー)は1時間おきに映像を流すタイムテーブルだったので、予定時間をインフォメーションやイベントスタッフに確認してから訪れるとよさそうだ。

Japan Mobility Show Tokyo Future Tour
大型のモニターに囲われた空間で、未来の東京の街を大迫力の音と映像で没入体験を提供。

イマーシブシアターでの映像のあと、「LIFE & モビリティ」、「EMERGENCY & モビリティ」、「PLAY & モビリティ」、そして「FOOD & モビリティ」と、4つのテーマごとに未来の街を見ていく内容。子どもも楽しめる展示も多いので、ファミリーで出かけても楽しいモビリティショーだと感じられる。ではその一部を紹介していこう!

Japan Mobility Show Tokyo Future Tour
ミュージカル仕立てで、未来のライフスタイルがモビリティで変わっていくさまをイメージ。

まずは、最も展示の多い「LIFE & モビリティ」。モビリティが変える未来の移動シーンをミュージカル仕立てで見せてくれる。観光地で活躍しそうなふたりが並んで乗車するモビリティ、また、ゆっくりと景色を楽しみながらシニアも安心して乗車できるモビリティなど、小型モビリティが次々と登場。企業によるものや、また大学とのコラボによるものなど、さまざまな出展があるうえ、軽快なラップや音楽なども加わり、楽しい構成だ。自動運転の小型モビリティが未来のさまざまなシーンで活躍することがイメージできる。

月面でのモビリティ「ルナクルーザー」の操縦体験

Japan Mobility Show Tokyo Future Tour
道のない月面を進行するには、正確なナビゲーション機能が必要で、進むべきルートを前方に表示する。

出展のなかで、取材当日に多くの来場者が訪れていたもののひとつが、月面での移動車「ルナクルーザー」の操縦体験。JAXA(宇宙航空研究開発機構)が2029年の打ち上げを目指す月面でのモビリティ「有人与圧ローバ」として、トヨタが研究開発するルナクルーザーだが、その登場はもう6年後だ。今回の展示では月の上を移動する操縦イメージを体験できる。当然ながら月面に道路はない。迷わず目的の場所へと進むには、向かうべき進行方向をコックピットの前方ウィンドウに表示させるといいという発想だ。これは自動車のナビ画像をヘッドアップディスプレイに表示させる機能に近く、自動車の技術や機能が月面での移動に活用されているとイメージできる。一般公開でも人気を集めそうだ。

Japan Mobility Show Tokyo Future Tour
トヨタは、JAXAと国際宇宙探査ミッションのひとつである月面での有人探査活動に必要な有人与圧ローバ「ルナクルーザー」の共同研究を実施。
Japan Mobility Show Tokyo Future Tour
ルナクルーザーは、高い次元のモビリティ実現へのチャレンジ。宇宙飛行士が安全に快適に過ごすことができる機能を備える。

気象現象を体感するXRバスツアー「MOOX-RIDE」

Japan Mobility Show Tokyo Future Tour
VR/AR体験を提供するコンテンツ体験バス「MOOX-RIDE」(トヨタ紡績)。モニターや透明ディスプレイ、天井にコンテンツを再生。

MOOX-RIDEは、透明ディスプレイや立体音響システムなど五感で体感する移動型エンタメ体験バスで、車両の位置情報に合わせてデジタルコンテンツを透明ディスプレイに表示してくれる。今回のトーキョー フューチャー ツアーでは、気象によるさまざまな現象を、シートの振動やミスト、風などを用いて体感できる仮想ツアーを提供。日本テレビのお天気キャラクターの「そらジロー」がツアーガイドを務め、ファミリーで楽しめる。

Japan Mobility Show Tokyo Future Tour
トーキョー フューチャー ツアーでは、異常気象に見舞われながら、環境保全の大切さやさまざまな気象の発生条件を学ぶ没入型体験車内ツアーを展開。

次世代モビリティ快適空間コンセプトモデル「“TEEWAVE” CX1」

Japan Mobility Show Tokyo Future Tour
自動運転化によって高まる車室内快適化ニーズを東レならではの素材で具現化。

次世代のモビリティに向けた材料開発を進める東レ。出展されたコンセプト提案は、ゆったりと過ごせる車内空間で、心地よさと便利さを追求。ウィンドウは遮光や遮熱の機能と、映像を投影できるスクリーンとしての機能を合わせ持ち、移動のシーンに応じて使い分けられるもの。そのほか、100%植物由来PET使用の人工皮革は、高級感を維持しながらのサステナブルな進化が特徴だ。また、柔軟で変形させても元通りに復元する伸縮性フィルムも面白い。アームレスト(肘掛け)の部分に突然スマホなどの小物を置けるトレイが出現し、そしてまたフラットな面に戻るなど機能性に富んだアイテムの数々を知ることができる。

Japan Mobility Show Tokyo Future Tour
こちらはスイッチをファブリック素材に設えた提案。これまでにない手触りによる快適さとデザイン性を感じられた。室内各所に高級感や質感にあふれる素材を多数採用していた。

次世代モビリティ「e-Palette」で星空ツアー

Japan Mobility Show Tokyo Future Tour
こんなモビリティでさまざまな場所に出かけてみたくなる展示が目白押しの今回。「e-Palette」(トヨタ)を用いたツアー提案も、新しい未来と新しいライフスタイルへの期待が高まるものだ。

自動運転が普及すると、移動時間をどう過ごすかが大切になる。それを踏まえた展示が目立った今回のジャパンモビリティショーと、トーキョー フューチャー ツアー。トヨタの次世代モビリティ「e-Palette」を用いた「星空ツアー」もそのひとつ。天体観測に出かける移動の時間も活かすために、宇宙に詳しい博士との会話やクイズなど、いろいろな体験を味わえる構成。夜のお出かけも安心して行えるのは、認証機能や高度センサーの恩恵だ。

Japan Mobility Show Tokyo Future Tour
天体観測の目的地までの移動時間も楽しむための提案。
Japan Mobility Show Tokyo Future Tour
夜間の移動では、優れた認証機能や高度センサーが安心を生む。

未来のモビリティは、食のジャンルも変革

Japan Mobility Show Tokyo Future Tour
次世代モビリティが、自動運転で生産者のもとに食材の仕入れに向かったあと、ビジネス街に戻って無人ストアとして活躍。

「FOOD & モビリティ」の会場では、未来の社会で「e-Palette」が無人店舗として機能する提案が興味深かった。食のダイレクトコマースに自動モビリティが活躍するのだ。まずe-Paletteが自動運転で生産者のもとに素材の仕入れにおもむく。素材の荷物の積み込みは運搬ロボットが手伝ってくれ、スムージーと採れたての野菜を積み込み終わったら、今度も自動でe-Paletteが都市のビジネス街へ。客がイーパレットストアの店内に入ると、AIを駆使した無人店舗アシスタントが対応し、会話を通じてその人にぴったりの国産果汁100%スムージーをおすすめしてくれる。物流を支える自動モビリティの可能性を、食のジャンルでも感じられるものだった。

Japan Mobility Show Tokyo Future Tour
食のジャンルでもモビリティによって新しい未来が創造されることをイメージできた。
Japan Mobility Show Tokyo Future Tour
来場の参加者に、ここで選んだスムージー1本を提供してくれるのもうれしいポイント。

今回の記事では紹介しきれないほど、豊富なコンテンツが用意されるトーキョー フューチャー ツアー。「EMERGENCY & モビリティ」では、災害大国日本の未来で、人と協調して活躍するモビリティを表現。「PLAY & モビリティ」では、モビリティが拡張するスポーツや遊びの楽しさを体験するコンテンツなどが用意されている。子どもが参加し体感できる展示や催しが多いので、ファミリーで出かけて楽しめるのも魅力。ジャパンモビリティショーで足を運んでみたい会場のひとつだ。

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