実力派ルーキーが6人新規参戦する2024年D1GPシリーズは、ダンロップ勢のマシンも大幅進化で大混戦必至!【2024 GRAN TURISMO D1 GRANDPRIX SERIES開幕直前情報】

5月に奥伊吹で開幕する2024年「グランツーリスモD1グランプリシリーズ」には、6人のドライバーがD1ライツからステップアップしてくる。そのひとりがDIREZZA β02を履く野村圭市だ。そして混戦模様が予想される今シーズンは、マシンの大幅ポテンシャルアップを果たしたチーム・ドルーピーも大暴れしてくれそうだ。

Photo:サンプロスD1事務局

5月11、12日の週末、滋賀県の奥伊吹モーターパークでD1グランプリの2024年シリーズが開幕する。今年、JAF四輪モータースポーツの「日本選手権」競技に「ドリフト競技」が追加され、D1グランプリはJAF日本ドリフト選手権として開催されることになった。

そんな2024年シーズンの最大の注目ポイントは、D1ライツから6名がD1GPへステップアップしてくることだ。例年、ステップアップしてくる選手はいるが、上位選手が6人も一気に新規参戦してくることはめずらしい。しかもそのうちの田野結希と米内寿斗は2022年、2023年のシリーズチャンピオンだ。これまでのD1ライツ歴代チャンピオンは全員がD1GPにステップアップしていて、初年度から追走の常連になるレベルの活躍を見せている。となると、今年は各選手にとって追走進出がより厳しくなってくる。同時に、D1ライツの上位選手は追走にも慣れているので、勢力図が大きく変わり、単走、追走ともに混戦になり、フレッシュな対戦が数多く楽しめることになりそうだ。

D1ライツからステップアップするあとの4人は、山中真生、陣野寿幸、三好隼人、そして野村圭市だ。山中は2023年のD1ライツ年間2位の選手で、4月のラウンドゼロでベスト4に入る活躍を見せ、すでに実力を示している。なお山中が乗る車両は昨年もD1GPを走っていた「俺だっ! レーシング」のGRスープラだ。

昨年のD1ライツ上位3名(中央:米内、左:山中、右:田野)が揃ってD1GPにステップアップする。

そしてダンロップタイヤを履く野村圭市は、昨年D1ライツで使っていた車両をモディファイしてD1GPに参戦する。車種は父親であるスーパースター“のむけん”と同じR34型スカイライン(ただし2ドアモデル)。エンジンはトヨタの2JZに変更され、HKSのパーツで3.4Lに排気量アップ。マンバ3584RSタービンを組み合わせている。トランスミッションはクワイフのG69シーケンシャル6速だ。

野村のスカイラインのエンジン。現在の最高出力は約700psだ。

エンジンは現状ではD1ライツのときのままで、D1GPではやや非力だが、開幕戦の奥伊吹は小さいコースなので問題ないだろう。パワーが必要になる次の筑波サーキットでのラウンドまでにはマンバがより大きいタービンを作ってくる予定ということで、900psくらいまでパワーアップできる見込みだ。また、4月のラウンドゼロには間に合わなかったが、ラジエターもリヤに移設予定で、そうすれば重量配分がリヤ寄りになってトラクションが増すだろう。

またD1GPのレギュレーションに合わせてロールケージは組み直され、デフも簡単にファイナルギヤが変更できるクイックチェンジと呼ばれる競技用のものに変更されている。そしてタイヤはDIREZZA β02だ。

この車両は以前4ドアのスカイラインでD1ライツに参戦していた野村が、そこで得たデータをもとに自らのノウハウで約2年前に製作し、結果を出してきた2ドアスカイラインだ。今季のマシンはその正常進化版となるので、ポテンシャルは十分だろう。

車両の進化といえば、チーム・ドルーピーも大きな変更を施してきた。松川が乗るGR86を、V6の2GRエンジンから直6の2JZエンジンに変更してきたのだ。この2JZエンジンを、ドルーピーではHKSのパーツで3.4L化。ギャレットのG40タービンを組み合わせて1000psを叩き出すユニットに仕上げた。パワーは以前の2GRのときが約900psだったが、それが現状では1000psになったとのことなので100psものパワーアップを果たした。これでパワー的には申し分なくなりDIREZZA β02の性能をフルに引き出せるはずだ。

昨年までのドルーピーのGR86はツインターボ仕様だったが、今年はシングルターボになる。

また、松川が乗るAE85のほうは、昨年後半にレギュレーション的に太いタイヤを履けるように重量を増やして285幅のβ02を履いたことで、最後のお台場でポイントを獲得しているので、今年はその流れで開幕から好成績が期待できそうだ。こちらはまだ2GRエンジンを使っているので、V6のファンは応援してほしい。

参加車両でこのほかに注目なのは、松山がD1GPではめずらしい4ドア・ハッチバックのGRカローラを投入したり、ニュージーランドのドライバー、マッドマイクが4ローターエンジンを積んだRX-3(バン)で参戦を予定しているところだ。シルビア系とGR86が主流になってきている現在のD1GPだが、車種のバリエーションが増えるところも楽しみだ。

石川はパワーアップしたエンジンを積むGR86で、2024年のD1GPシリーズを盛り上げてくれそうだ。

また2024シリーズは競技ルールが変更され、使用するタイヤの1日ごとの本数制限が導入される。これによって、これまで以上にタイヤのマネージメントが求められることになる。タイヤの性能として瞬発的なグリップ力ばかりでなく、安定したロングライフも武器になるかもしれない。

さらに昨年同様、シリーズには奥伊吹やお台場のような小さくて路面のμの低いコースがあるいっぽうで、筑波やエビス西、オートポリスのような高速コースも含まれている。状況によって得意とするマシンやタイヤが変わってくる可能性があるので、さまざまな選手にチャンスがあるだろう。

その中でも、昨年より大幅に戦闘力を増しているチーム・ドルーピーの2台と、野村のスカイラインには大いに期待したい!

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