乗り味もさらによくなったマツダCX-30 選ぶべきはSKYACTIV-DがGかXか?

マツダCX-30 SKYACTIV-DとG、そしてX、どれを選ぶ? 燃費・燃料代・そしてCO2排出量と価格を考えながら試乗した

マツダCX-30 XD L Package(4WD) 車両本体価格○337万1500円 (特別塗装色6万6000円を含む) オプション込み 358万4880円
マツダCX-30は商品改良を受けて乗り味がさらによくなっていた。試乗したのはSKYACTIV-D1.8(ディーゼルエンジン)搭載の4WD・6ATモデル。1週間生活をともにして665km走行した。走りながら考えたのは、燃費・燃料代・CO2排出量、そして価格だ。

ソウルレッドクリスタルメタリックのCX-30のかっこよさに惚れ惚れする

いまもっともスタイリッシュなクロスオーバーの1台であることに異論は少ないだろう。

久しぶりにソウルレッドクリスタルメタリックのCX-30にマツダのR&Dセンター横浜で対面したとき思ったのは「やっぱりこの色、CX-30はカッコいいな」だった。ポリメタルグレーメタリックなど魅力的なボディカラーは他にもあるが、やっぱりこのレッドがもっともCX-30のスタイルが映える。

試乗車は、SKYACTIV-D1.8(ディーゼル)搭載の4WD、6ATモデルのXD L Packageである。価格は337万1500円。ここにはソウルレッドクリスタルメタリックの特別塗装代(6万6000円)が含まれている。CX-30は、4月に商品改良を受けて、前後ダンパーの特性の見直しが図られている。

燃費:WLTCモード 18.4km/ℓ  市街地モード 15.3km/ℓ  郊外モード 18.3km/ℓ  高速道路モード 20.3km/ℓ(2021年7月のモデルの数値)

ところで、CX-30の売れ行きはどうなのだろうか?自販連のデータによると
日本(2021年1~9月)
CX-30:1万5271台

北米(2021年1~10月)
CX-5:14万7520台
CX-30:5万621台
CX-9:3万1172台
北米ではCX-5に次ぐ販売台数を記録している。北米でのCX-30の21年1-10月期の販売台数は、前年の63.3%アップなのだ。

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室内長×幅×高:1830mm×1490mm×1210mm
室内は上質。もっともに気に入ったのは、ステアリングホイール。手触りもいい。丸いのもいい。
MAZDA3より後席の広々感はある。
シートの出来もいい。ただし、シートはファブリック地の方がいい(個人的な感想です)。

さて、実際にCX-30に乗り込んでみる。相変わらず上質なインテリアはこのクルマの大きな魅力だ。けっして「高級」なわけではないが、「上質」なのだ。
いつものように、横浜から首都高速に乗って外苑で下りて東新宿の編集部まで戻る。わずか37km程度のドライブなのだが、CX-30の燃費計は22.7km/ℓを示していた。なかなかいい数字だ。

特性が変えられたダンパーについては、確かに乗り心地が良くなっている気がした。首都高の継ぎ目の乗り越えも角が丸くなった感じ。もともと、乗り心地に特段難があったわけではないし、FFよりも4WDモデルの方がバタつかない(し、そもそもダンパーの特性が変わったことを感じ取れるほどのセンサーを筆者が備えていないこともある)。

東京オリンピックが終わっても、JR渋谷駅付近の道路は、相変わらずずーっと工事で、とにかく路面は酷いのだ。ここを会社帰りに通過するのは、一種の乗り心地チェックになっている。CX-30、なかなかいい。

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タイヤはトーヨーのPROXES R56。指定空気圧はF&Rとも250kPa。
タイヤ:215/55R18
リヤサスペンションはTBA(トーションビーム式)。右に見えるのは4WD用のカップリングユニット。
フロントはマクファーソンストラット式

エンジンは、SKYACTIV-D1.8。SKYACTIV-D2.2ほどの「凄み」はないが、軽く回って静か、それで270Nmのトルクを出しているのだから、ほんとうにCX-30にベストマッチなエンジンだ。トランスミッションの6速ATも「7速、8速があればなぁ」と思わせるシーンは、ほぼない。燃費もいいし、シフトプログラムもスムーズで思ったギヤ段にいつもいてくれるのだから、大きく重くなることを考えればいまのところ6速で充分だ。

1週間ほどCX-30と付き合って665.4km走った。高速4割、郊外路と市街地は半々くらい。それでトータルの燃費は17.6km/ℓだった。

ボンネットフードを開けると、こういう景色が見える。ボンネットにダンパーはなし。
ご興味のある方は少ないと思いますが、これがエンジンカバー
裏側はこうなっている。この部分、だんだんとコストカットが進んでいるような気もするが……。
形式:2.0ℓ直列4気筒DOHCディーゼルターボ 型式:S8-DPTS型(SKYACTIV-D1.8) 排気量:1756cc ボア×ストローク:79.0×89.6mm 圧縮比:14.8 最高出力:130ps(95kW)/4000pm 最大トルク:270Nm/1600-2600rpm

ところで、皆さんお気づきになっていると思うが、燃料価格がじわじわ上昇している。今回給油したガソリンスタンドの燃料価格は

今年1月にCX-5を試乗した際は
レギュラー127円/ℓ
ハイオク:138円/ℓ
軽油:102円/ℓ

7月が
レギュラー:151円/ℓ
ハイオク:162円/ℓ
軽油:131円/ℓ

だった。

11月は
レギュラー:165円/ℓ
ハイオク:176円/ℓ
軽油:144円/ℓ

である(高いっ!)。1月から軽油は41%、ガソリンについても30%も上昇している。個人的にもディーゼルエンジン車をマイカーにしているので、軽油の価格上昇にはちょっと敏感だ。

km/ℓだけではない。「円/km」も考えてみると…

4WDは燃料タンク容量がFF(51ℓ)より3ℓ少ない48ℓ。FFと4WDの価格差は23万6500円だ。

今回は、燃料費、CO2排出量を少し考えてみたい。
CX-30のWLTCの燃費は、同じグレードで次のようになっている(2021年11月1日現在)。

SKYACTIV-D1.8(4WD 6AT)
燃費:WLTCモード 18.7km/ℓ
 市街地モード 15.5km/ℓ
 郊外モード 18.7km/ℓ
 高速道路モード 20.6km/ℓ

SKYACTIV-G2.0(4WD 6AT)
燃費:WLTCモード 14.8km/ℓ
 市街地モード 11.7km/ℓ
 郊外モード 14.8km/ℓ
 高速道路モード 16.7km/ℓ

SKYACTIV-X(4WD 6AT)
燃費:WLTCモード 16.6km/ℓ
 市街地モード 13.5km/ℓ
 郊外モード 17.4km/ℓ
 高速道路モード 17.8km/ℓ
となっている。

今回SKYACTIV-D1.8搭載モデルの実燃費は665.4km走って17.6km/ℓだった。WLTC燃費の達成率は94.1%となかなかの結果だった。

665.4km走ってトータルの燃費は17.6km/ℓ 軽油は131円/ℓ 37.97ℓで4974円だった。

SKYACTIV-G2.0、SKYACTIV-X搭載モデルでも同じ達成率だと仮定すると

G2.0(4WD 6AT)13.9km/ℓ
D1.8(4WD 6AT)17.6km/ℓ
X(4WD 6AT)15.6km/ℓ

ということになる。
燃料価格を前記のように
レギュラー:165円/ℓ
ハイオク:176円/ℓ
軽油:144円/ℓ

とすると……

1km走るのにいくらかかるか?
G2.0(4WD 6AT)11.9円/km
D1.8(4WD 6AT)8.2円/km
X(4WD 6AT)11.3円/km

ということになる。

やはり、ディーゼルの経済性は軽油価格が多少高くなっても健在だ。
SKYACTIV-G2.0とSKYACTIV-D1.8の価格差は27万5000円である。もちろんディーゼルの方が高い。これを燃料代の差だけで取り戻すには、74000kmを走らねばならない。絶対無理な走行距離ではないが、年12000km走っても6年ちょっとかかるわけだ。

ディーゼルの豊かなトルクと引き換えになるのは、ディーゼルエンジンの音と振動だろうか。しかし、マツダのSKYACTIV-Dではそこは気にしなくてもいい。だから、Gを選ぶか、Dを選ぶかは、予算と想定する走行距離で決めればいい。

SKYACTIV-Xは? となると、純粋に「世界初のSPCCI燃焼」を実現したすごいエンジン」に対して敬意を持つ人向け、ということになるだろう。実際に載るとXでしか味わえないものがあるのも事実。個人的な感想としては、「Xを選ぶならMAZDA3に載せた方がいい」「SUVは荷物を積んでアウトドアや旅でガンガン長距離を走るのだから、ディーゼルがいい」と思う。

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「CO2 g/km」についても考えてみる

さて、燃料代の話をしてきたが、今度は二酸化炭素(CO2)の排出量を考えてみよう。

CO2の排出量は
ガソリン 2322g/ℓ
軽油 2619g/ℓ

である。軽油の方がCO2排出量は多いのだ。ちなみに単位発熱量は
ガソリン=34.6GJ/kℓ
軽油 38.2GJ/kℓ
で軽油の方が大きい。

これを基準に1km走るとCO2排出量はどうなるか計算してみた。
G2.0(4WD 6AT)163.5g/km
D1.8(4WD 6AT)148.8g/km
X(4WD 6AT)147.0g/km


となる、ここではSKYACTIV-Xがもっとも少ないという結果になった。革新的な燃焼を実現したマツダ技術陣に敬意を表してXを選ぶ理由のひとつになりそうだ。

全長×全幅×全高:4395mm×1795mm×1540mm ホイールベース:2655mm
トレッド:F/R 1565mm 最小回転半径:5.3m 最低地上高:175mm
車両重量:1530kg 前軸軸重940kg 後軸軸重590kg

とはいえ、今回1週間生活をともにした結論は
・CX-30を買うならディーゼルを選ぶ
・年間走行距離が1万kmに満たないならSKYACTIV-G2.0を選ぶ
・予算に余裕があれば、4WDを選ぶ(FFと4WDの価格差は23万6500円)

4WDの方が乗り味もいいし、もちろん悪天候悪条件になったとき、頼りになる。そうでなくても、たとえば、高速道路のICのループを走っているときでもリヤに駆動力配分があることのありがたさは感じられる。

蛇足として書いておくとMAZDA3の場合は
・ベストバイはSKYACTIV-G1.5搭載モデル
・そうでないなら、SKYACTIV-X搭載モデルを思いきって選ぶ
のがいいと個人的には思っている。

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マツダCX-30 XD L Package(4WD)※2021年7月のモデル
 全長×全幅×全高:4395mm×1795mm×1540mm
 ホイールベース:2655mm
 車重:1530kg
 サスペンション:Fマクファーソンストラット式&トーションビームアクスル式 
 駆動方式:AWD
 エンジン
 形式:2.0ℓ直列4気筒DOHCディーゼルターボ
 型式:S8-DPTS型(SKYACTIV-D1.8)
 排気量:1756cc
 ボア×ストローク:79.0×89.6mm
 圧縮比:14.8
 最高出力:130ps(95kW)/4000pm
 最大トルク:270Nm/1600-2600rpm
 燃料:軽油
 燃料タンク:48ℓ
 燃費:WLTCモード 18.4km/ℓ
  市街地モード 15.3km/ℓ
  郊外モード 18.3km/ℓ
  高速道路モード 20.3km/ℓ
 トランスミッション:6速AT
 車両本体価格:337万1500円 (特別塗装色6万6000円を含む)
 オプション込み 358万4880円

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著者プロフィール

鈴木慎一 近影

鈴木慎一

Motor-Fan.jp 統括編集長神奈川県横須賀市出身 早稲田大学法学部卒業後、出版社に入社。…