キレのある走りを見せたチーム・ドルーピー石川はもちろん、不運だった野村もDUNLOP DIREZZA β02の実力を確認【D1GP TSUKUBA DRIFT】

「グランツーリスモD1グランプリシリーズ」の第3戦、第4戦は、梅雨の最中に茨城県・筑波サーキットで開催された。前日の公式練習は雨で、決勝日はドライ路面というむずかしい状況の中でチーム・ドルーピー、“のむけんJr.”野村圭市ともにポイント獲得はならなかったが、DUNLOP DIREZZA β02のオールラウンダーな性能に手応えを得た。

Photo:サンプロスD1事務局

「グランツーリスモD1グランプリシリーズ」第3戦と第4戦が6月最後の週末に、筑波サーキットで開催された。最終コーナーからスタートして、ストレート、1コーナー、S字を抜けて、第1ヘアピンを立ち上がったところで終了という、シリーズでも屈指のロングコースで、アベレージスピードも高い。

 URAS RACINGのDUNLOP CUSCO SKYLINE(ER34)に乗る野村は、前戦、パワー不足を感じていたこともあり、このラウンドに向けて車体の無駄な部分を外したり、パーツを軽いものに交換するなどして約30kg軽量化。さらに燃料を一般ハイオクガソリンからレース用ガソリンに変更してセッティングをとりなおすことで、約100psのパワーアップを図ってきた。高速コースとなる筑波サーキットだが、戦闘力は前戦より確実に上がっているという。

 公式練習日として設定されていた金曜日だが、天候は1日中雨。競技が行われる土曜・日曜は雨が降らない予報だったので、金曜日に走り込む必要はなかったが、それでも走行したチームは多かった。そのなかで前戦から特にアップデートは行わずに車両を持ち込んだチーム・ドルーピーのHT・DUNLOP・86(GR86)に乗る石川がトップスコアをマーク。ウエット、ヘビーウエットのコンディションでもDUNLOP DIREZZA β02が高い性能を発揮することを確認できた。

約100psのパワーアップを実現してきた野村のマシン。タービン大型化は間に合わなかったが、そこは次回のお楽しみだ。

 そして土曜日には雨が上がり、チェック走行もドライに近い路面で行われた。周回できる本数は少ないのでギヤ比の確認だけおこなって本番を迎えるというのがほとんどのチームのプランだが、ここで野村が早々にコースアウトしてしまう。それによって走行本数が少なくなり、ほぼぶっつけ本番という形になってしまった。

このラウンドでは、タイヤメーカー別の応援席が設けられ、ダンロップ応援席にもファンが集まってくれた。

 野村は本番前にサージタンク割れのトラブルが発覚したが、それは走行前に溶接で修理でき、問題ないコンディションで出走することができた。単走決勝1本目、野村は1コーナー飛び込みでのクイックな角度変化などで得点を稼ぎ、前半のセクターではいい点をとった。しかし、練習不足が影響してヘアピンにかけてのアプローチがうまくいかずそこで大きく点を落としてしまう。2本目も得点は伸ばせず、単走敗退となった。

 チーム・ドルーピーの石川は、1本目クイックな振りと大きな角度を繰り返し、高いDOSS得点を叩き出す。しかしS字の途中区間でのドリフト戻しによって大きく減点されてしまった。練習走行での機械採点では加味されない部分だけに、前日の練習では盲点になった部分だ。2本目はヘアピンで姿勢を乱し、石川も敗退となってしまう。また、HT・DUNLOP・85(AE85)の松川も、ナックルの仕様がコースにマッチせず、2本ともコースアウトして敗退となった。

前半のセクターでは高得点を出していた野村だが、最後のヘアピンへのアプローチがうまくいかなかった

 第4戦は第3戦の翌日に同じコースで開催された。野村と石川は、前日の手応えがよかったため仕様変更は特になし。松川は合わなかったナックルをもとに戻して臨んだ。

 しかし、ここでも野村がトラブルに見舞われてしまった。チェック走行のコースイン時にエンジン不調が起きたのだ。原因はおそらく点火系か燃料系。燃料系の可能性が高いということで、可能なところは交換して単走決勝を迎えたが、やはりコースイン時に不調が現れたため、出走をとりやめることにした。

 野村はリタイヤ後にこう話した。

「DUNLOP DIREZZA β02は、晴れも雨も両方すごいグリップしてくれてたんで、タイヤはずっと調子良かったです。熱ダレして使えなくなるとか、そんなこともまったくなくて、非常に安定した使い心地でした。それだけに悔しいんで、もう早く次戦を迎えたいですけど、次のラウンドまでが長いので、近いうちに到着する新型タービンに付け替えて。今回トラブルが出たところも全部修正して、トラブルの出ない強いクルマ作りにこの3ヶ月を使おうと思います」。

チェック走行後にスカイラインのエンジン不調の修理を試みるURAS RACINGのスタッフ。しかし本番までには対処できなかった。

 その単走決勝、チーム・ドルーピーの石川はこの日も躍動感のある振りやコーナーでの安定した角度を見せたものの、1本目は1コーナーで、2本目はヘアピンでトラックオフ減点を受けてしまいトップ16人に入れず。また松川も同様にトラックオフや通過指定ゾーン外しがあり、追走進出はならなかった。これでダンロップ勢は2戦連続ノーポイントとなってしまった。

追走進出こそならなかったが、2日ともキレのある振りを見せていい走りをしていた石川。

 大会後チーム・ドルーピーの松岡監督はこう話してくれた。

「ほんと昨日今日、ちょっと紙一重、ゾーンの魔物にやられました。今日もDOSSの点は98.5点ぐらい出てるんだけどね。ただ、ほんとにいろいろなものが安定してきて、今回何もトラブルが起きなかったんで、次のラウンドまでちょっと空くんで、テストを重ねて後半戦勝負でやってみます。

 タイヤも、今シーズンに入って、低速コース、高速コース、雨、ドライ走って、今後ほぼ完璧にマネジメントできる状態までデータが取れたし、DOSSの点でも、もう十分戦闘力があることは証明されてるんで、タイヤの戦闘力はもう絶対的に期待できるものとしてこれから仕上げていける。今回は内圧の調整もけっこうしたんでね。そういうことができるようになってきた。もう体制は万全になってきていると思いますよ!」

トラブルが出なかったこと、そしてタイヤをはじめとするさまざまなデータ取りができたことに松岡監督は大きな手応えを感じているようだ。

 結果は出せなかったダンロップ勢だが、いい走りができてきていて、チームもドライバーも十分な手応えを感じていることは事実だ。約3ヶ月のサマーブレイクの後、次戦は9月にエビスサーキットで行われる。いよいよそこで好成績を残してくれることを期待したい!

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