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1.5ℓ自然吸気に絞り込み 全車200万円台の価格設定
ホンダにはヴェゼルのような売れ筋モデルがあるが、グローバルではこのクラスのエントリーSUVが手薄だと関係者は感じていたという。そこで新たな一手として企画されたのがWR-Vだ。開発は日本とタイとインドの3ヵ国で進められ、インドで生産された車両が日本で輸入販売される。
エクステリア
ボディサイズはヴェゼルに近いが、「MUSCLE&CONFIDENT=自信あふれる逞しさ」をコンセプトとするスクエアなフォルムにより実際よりも大柄に見える。パワートレインにハイブリッドや4WDの設定はなく、自然吸気の1.5ℓ直列4気筒i-VTECエンジンを積んだFFモデルのみとなる。シンプルな構成に割り切ったことで、全車200万円台前半のリーズナブルな価格を実現したのも特徴だ。プラットフォームは前半がフィット系で、後半がアジアで販売されている小型SUVという構成となり、センタータンクではなく後席下に燃料タンクが配置されている。
乗降性
インテリアはシンプルで機能的にまとめられており、パーキングブレーキが手引き式とされたのも特徴だ。車内空間はクラストップの広さを誇り、後席の居住性にも優れる。このクラスでも後席用のエアコン送風口があるのは、日本ではエントリークラスでもインドでは高級な部類に属し、ショーファードリブンとしても使われることから、後席の快適性が重視されるのに対応するためだ。広さをアピールする印象的なTVCMのとおり、荷室もかなり広い。
インストルメントパネル
走りに関して特筆すべき新しいものは見当たらないものの、特に気になるところもなく、乗り心地が良く動きが素直で乗りやすい。アクセルを踏み込むとあえて音がよく聞こえるようにしたという1.5ℓエンジンは、海外では「ホンダサウンド」として好評なのだという。人間の感性に合わせたというステップシフト制御を採用したCVTにより、違和感のないリニアな加減速を実現しているのも好印象だ。
居住性
足まわりもホンダ得意のアジャイルハンドリングシステムのような特別なデバイスは付かないが、こなれた技術を突き詰め、サスペンションのジオメトリーやチューニングには大いにこだわって仕上げたという。重心の高いSUVでは挙動を抑えるために足まわりが固められているケースが多いが、しなやかでストローク感があり、乗り心地は悪くない。操舵に遅れなく正確に応答するので、修正舵をあまり要しない。4WDの設定はないものの、地上高は195㎜が確保されており、舗装されていない路面でもそれなりに走れることが期待できそうだ。
うれしい装備
月間販売台数 NO DATA
現行型発表 23年12月
WLTCモード燃費 16.4 ㎞/ℓ ※「X」
ラゲッジルーム
グレード体系は、16インチスチールホイールを履くエントリーの「X」と、17インチアルミホイールやLEDフォグライトが標準装備される上級の「Z」、「Z」にデコレーションを加えた「Z+」という3タイプのシンプルな構成となっている。思えばこれぐらいのサイズと価格帯でこうしたキャラクターのクルマというのはあまりない。車格が近い同門のヴェゼルとは、いろいろ違うからこそ意味がある。幅広い層に受け入れられそうな魅力的な選択肢が増えたことを歓迎したい。
※本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.158「2024-2025 国産&輸入SUVのすべて」の再構成です。