ホンダ2代目シビックの兄弟車、スポーティセダン「バラード」登場! 83.7万円~【今日は何の日?8月26日】

初代ホンダ「バラード」
初代ホンダ「バラード」
一年365日。毎日が何かの記念日である。本日8月26日は、大ヒットした2代目シビックのスポーティセダンとして「バラード」が誕生した日だ。「シビック」と「アコード」の大成功で勢いづいたホンダが、1970年代中盤から1980年代前半にかけて車種ラインナップの拡大を図り、バラードはその一環としてデビューした。
TEXT:竹村 純(Jun TAKEMURA)/PHOTO:三栄・80年代ホンダ車のすべて

■シビックの兄弟車、4ドアセダンのバラード

1980(昭和55)年8月26日、ホンダがFFの4ドア小型セダン「ホンダ・バラード」を発表(発売は翌日)。1970年代の排ガス規制対応で先行したホンダは、積極的に車種展開を進めた。バラードは、2代目「シビック」の兄弟車としてシビックよりも上級でスポーティなセダンとしてデビューしたのだ。

初代ホンダ「バラード」
初代ホンダ「バラード」

海外進出に貢献したアコードとバラード

米国の厳しい排ガス規制“マスキー法”をクリアしたCVCCエンジンを搭載した「シビック」の成功によって、ホンダは1970年代後半から1980年代前半にかけて車種ラインナップの拡大を図る。その第1弾が、シビックよりワンラック上の上級セダン「アコード」である。アコードは発売当初から好評を博し、シビックとともにホンダの基幹モデルに成長した。

ホンダ2代目「アコード」
1981年に登場したホンダ2代目「アコード」

ホンダの北米進出は、1978年に設立されたHAM(ホンダ・オブ・アメリカ・マニュファクチュアリング)で2輪車の生産を始め、1982年に2代目アコードの生産を開始した。アコードは瞬く間に北米で人気モデルへと成長した。
一方の欧州については、英国のBL(ブリティッシュ・レイランド、ローバーの前身)と1979年に技術提携を結び、「バラード」は英国でライセンス生産され、1981年から「トライアンフ・アクレイム」として欧州でも販売された。バラードは、ホンダの欧州進出の重要な役目を果たしたのだ。

シビックより上級のスポーティセダンとして登場したバラード

バラードは、2代目シビックの兄弟車として1980年のこの日に、シビックよりも上級でスポーティな4ドアセダンとして登場した。

ホンダ「バラード」
1980年に誕生したホンダ「バラード」

バラードは、シビックの2ボックスに対し3ボックスとし、角目のヘッドライトを装備したロングノーズ・ショートデッキのスポーティなフォルムを採用。さらにインテリアは、集中配置のインパネ、室内をフルトリム化、一体式フロアカーペットなどで上質感を演出。パワートレインは、1.3L(72ps)&1.5L(85ps)直4 SOHCの2機種エンジンと4速&5速MTおよびホンダマチック2ATの組み合わせ、駆動方式はFFである。

初代ホンダ「バラード」
初代ホンダ「バラード」
ホンダ初代「バラード」
ホンダ初代「バラード」のリアビュー

車両価格は、標準仕様が83.7万円(1.3L)/93.5万円(1.5L)。当時の大卒初任給は11.5万円程度(現在は約23万円)なので、単純計算では現在の価値で約167万円/187万円に相当する。バラードは、「プレリュード」と「クイント」に続く期待のスポーティセダンだったが、販売は苦戦した。
当時のシビックの人気は凄まじく、バラードは2代目シビックを安易に4ドアセダン化しただけと捉えられたのだ。その後、1983年にモデルチェンジをして2代目バラードが登場したが、人気は挽回できずに1987年に生産を終えた。

初代ホンダ「バラード」
ホンダ初代「バラード」のコクピット

派生車のバラードCR-Xが人気を獲得

バラードは存在感を示すことはできなかったが、派生車として1983年に登場した「バラードスポーツCR-X」は、若者から支持され、大ヒットした。

ホンダ「バラードスポーツCR-X」
1983年に登場したホンダ「バラードスポーツCR-X」。FFコンパクトスポーツとして若者から支持されて大ヒット

バラードスポーツCR-Xは、新世代コンパクトスポーツに相応しく斬新だった。セミリトラクタブルヘッドライトや低く抑えたボンネット、シャープなテールエンドなど、ワイド&ローのスタイリングでスポーティさをアピール。最大の特徴は、(2+2)シートに割り切った斬新なパッケージングと、軽量化材料の適用によリ実現された軽量ボディだった。1.3Lモデルで760kg、1.5Lモデルは800kgとズバ抜けた軽量を達成したのだ。

ホンダ「バラードスポーツCR-X」
ホンダ「バラードスポーツCR-X」

パワートレインは、1.3L(80ps)&1.5L(110ps)直4 SOHCエンジンと3速ATおよび5速MTの組み合わせ。さらに翌年には、最高出力135ps/最大トルク15.5kgmを発揮する1.6L高性能(ZC)エンジンを搭載した「バラードスポーツCR-X Si」が追加され、人気は絶好調に達した。
その後、「CR-X」、「CR-Xデルソル」と進化して、FFコンパクトスポーツとしてひとつの時代を築いたのだ。

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大きな期待を背負ってデビューしたバラードだったが、人気のシビックとアコードの陰に埋もれて販売は期待したほど伸びなかった。人気モデルの兄弟車は、どうしても新鮮味に欠け、本家の影に埋もれがちになりやすくなるのだろうか。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。

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著者プロフィール

竹村 純 近影

竹村 純

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までを…