ポルシェ、フェラーリ、BMW、トヨタ WEC富士を戦うドライバーの仕事場=コックピットを覗いてみる

トヨタGR010-Hybridのコックピット
9月15日に決勝レースが行なわれたWEC富士6時間レース。決勝の直前のグリッドウォークで、トップカテゴリー「ハイパーカー」のコックピットを見る機会があった。WECドライバーの仕事場を覗いてみよう。

世界耐久選手権第7戦の富士は6時間の耐久レース。トップカテゴリーは「ル・マン・ハイパーカー」クラスとなる。ル・マン24時間は別格として、6~8時間を戦う耐久とは名ばかりの「スプリントレース」の様相を呈している。つまり、6時間なり8時間なりを2~3名のドライバーで交代しながら全力で走り続けなければならない過酷なレースなのだ。

予選でポールポジションを獲得したのはキャデラックVシリーズ.R

富士6時間のグリッドウォークの時間に、各マシンのコックピットを覗いてみた。ドライバーの仕事場は、極めて狭く、視界も限られ、そして操作すべきスイッチ類が多い。おそらく暑くて、とても快適な環境とは言えないだろう。ここで強烈なGに耐え、正確な運転操作をし続けるレーシングドライバーとは、まさにスーパー・アスリートだと実感させられた。

というわけで、ドライバーの仕事場を見てみよう。

#5Porsche963

ポルシェ・ワークスのポルシェ963は、マルチマチック製のシャシーに4.6L・V8ツインターボエンジンを搭載。
この狭い空間のなかで強烈なGと戦わなければいけないドライバーは、やはりスーパー・アスリートだ。

ステアリングホイールには12個のボタンと4つのダイヤル、6つのロータリースイッチが付いている。ボタンは左上から

  • RAD(ラジオ)
  • KILL(切るスイッチ)
  • OK
  • DRK(ドリンク)
  • F-
  • 右上から
  • TC+
  • PIT
  • WIP
  • FCY
  • F+
    となっている。
ドライバーに向けてエアのダクトがあるが、涼しい風が出てくるのだろうか?

ダイヤルは右からDRIVE/BRAKE/FUNC/TC LONGとなっている。

同じポルシェ963の今度は#12のコックピットを見てみよう。

#12のポルシェ963は、イギリスのJOTAスポーツのマシン。
ステアリングホイールはほぼ同じ。ステアリングのモニターには、こんなに細かい表示があるのだ。このマシンにはポルシェのエンブレムが付いている。

#83 Ferrari 499P

フェアリーリの#83は、AFコルセというカスタマーチームのマシン。マシンはワークスと同様だ。
ステアリングホイールはもっとも、普通(といってもかなりかけ離れているが)に近い感じ。ボタンが12個、ダイヤルが4個。ロータリースイッチが6個着いている。センターに跳ね馬のマークが付いている。
コックピット全景。完全に穴蔵に潜り込む感じだ。閉所恐怖症の人はドライブできないだろう。

#7 TOYOTA GR010-Hybrid

TOYOTA GR010-Hybrid

トヨタGAZOOレーシングのGR010-Hybridのドライバーは小林可夢偉選手、マイク・コンウェイ選手、ニック・デ・フリース選手。こちらのマシンのステアリングホイールはかなりの数のスイッチ類で埋め尽くされている。

ざっと数えてボタンが11個、ダイヤルが5個、ロータリースイッチ1個が見える(きっともっとあるに違いない)。これにプラスしてセンターコンソールにずらりとトグルスイッチがある。とはいえ、トヨタマークも、GRマークも付いていないのが、ちょっと寂しい。

#20 BMW Mチーム WRT

BMWはダラーラ製シャシーに4.0L・V8ツインターボを搭載する。
ステアリングホイールは(比較的)シンプルだ。BMWのエンブレムが誇らしげに付いている。

#36 ALPINE A424

ルノー傘下のアルピーヌはオレカ製シャシーに独自に改良したF2用メカクローム製3.4L・V6ターボエンジンと搭載したLMDh車両。
ステアリングホイールのスイッチ類は、ボタンが11個、ダイヤルが4個、ロータリースイッチが4個といったところ。
センターコンソールには、20個のスイッチが整然と並ぶ。EV/ICE/N/ワイパー/ライト/SCなどの文字が表示されている。

#93PEUGEOT 9X8

プジョーのマシン、9X8は、2.6L・V6ツインターボを搭載。当初はリヤウィングがない前衛的なスタイルだったが、現在は普通にリヤウィングがついている。ひと目でプジョーとわかるのはさすが。

キーワードで検索する

著者プロフィール

鈴木慎一 近影

鈴木慎一

Motor-Fan.jp 統括編集長神奈川県横須賀市出身 早稲田大学法学部卒業後、出版社に入社。…