DUNLOP DIREZZA β02がウエットにもドライにも対応し、チーム・ドルーピーは今季ベストリザルト【D1GP AUTOPOLIS DRIFT】

10月下旬、例年なら朝夕は冷え込む時期のオートポリスで開催されたグランツーリスモD1GPシリーズ・オートポリスラウンドだが、2024年は暖かい気候で開催された。土曜日の第7戦は雨、日曜日の第8戦は晴れという天候だったものの、チーム・ドルーピーは松川が第7戦でベスト8進出。石川は2戦ともポイント獲得という今季最高成績を収めた。

Photo:サンプロスD1事務局

金曜日の公式練習はドライ路面。それが土曜日の第7戦は朝から雨が降り、ウエット路面での競技となった。チームと選手は朝のチェック走行のわずかな周回で、クルマのセットと走りかたをウエットに合わせないといけなかった。

しかし、URAS RACINGの野村圭市、広島トヨタ team DROO-Pの石川隼也と松川和也のダンロップ勢は落ち着いていた。DUNLOP DIREZZA β02はウエット路面でも特性の変化が少なく、路面や気温のちがいにも対応しやすいからだ。石川は「強みが生かせるので雨のほうがいいくらいです」という。

シーズン後半ということで、このラウンドに向けての大きな車両モディファイは3車ともなし。野村のスカイラインは、公式練習日に足まわりのトラブルを起こしていたものの、すでに修復済み。広島トヨタ team DROO-Pは、前戦でポイントを取りこぼした反省から、100回走って100回成功できる走りを固めてから難度を上げていこうという組み立てで本番走行までに走りを仕上げてきた。

野村の車両は公式練習日に足まわりにガタが出るトラブルが起きたが、それは同日中に修復できていた。

「ウエットでもタイヤの信頼性は高いので、神経質にならなくて済む」と3人のダンロップ勢が口を揃えていう中で第7戦の単走決勝がスタート。オートポリスのD1GPではストレートからファイナルコーナーを通常とは逆走で使用するが、振り出し直後のアウト側、最初の右コーナーのクリップ近辺、ファイナルコーナーのアウト側の3ヵ所に通過指定ゾーンが設定された。ハイスピードでコーナーも大きいので、ゾーンを通過するための修正はむずかしく、ゾーンを外して減点される選手も多かった。

その中でHT・DUNLOP・86(GR86)の石川は、1本目の点は伸びなかったものの、2本目にファイナルコーナーでの角度を抑えめにして、きっちりアクセルを踏んで旋回していく走りで92.44点という高得点を獲得しトップに立つ。HT・DUNLOP・85(AE85)の松川は第3ゾーンを外したことで減点は受けたものの、旋回時の安定性は高く、90.03で追走進出を決めた。URAS RACINGのDUNLOP CUSCO SKYLINE(ER34)の野村は2本とも第3ゾーンを外してしまい、グループ7位で追走進出はならなかった。なお、石川の得点は最後のグループで走行した上野に抜かれたため、単走2位となった。

午後の追走は、ほぼドライ路面でスタートした。石川はシルビアに乗る田中と対戦。先行ではコーナー進入直後の振られとコースリミット超過で減点を受け、後追いでは田中に接近ポイントで上まわられて敗北。第7戦は10位に終わった。いっぽう松川は、対戦相手の植尾が進入後にハーフスピン判定で大きく点を落としたことに助けられてベスト8に進出。GRカローラに乗る松山と対戦した。そこで松川は後追いから寄せることができず敗退。第7戦は7位となった。

第7戦で単走2位を獲得した石川の走り。むずかしい路面にきっちり対応した。
松川は対戦相手の植尾のミスがあって第7戦はベスト8に進出。今季最高成績を残した。

第8戦は翌日の日曜日に開催された。天候は朝から晴れ。路面はドライコンディションになった。ダンロップ勢のなかではまずGR86の石川が走行。1本目はコースリミット超過などで減点を受け、満足な得点がとれなかったものの、2本目は最初の振り出しの躍動性や右コーナーでの角度などで点を稼ぎ、97.94点で追走進出を決めた。いっぽう松川は2本ともタイミングやラインが少しズレてしまって得点が伸びず敗退。野村は2本目にキレのある振り出しを見せたものの、振り返しの方向が少しズレて第3ゾーンを途中で抜けてしまい減点。あと少しのところで追走進出を逃した。

追走トーナメントでは、石川はGRスープラに乗る山中と対戦。石川は1本目の後追い時にジャンプスタートをとられてしまい大きく減点。先行時にはいい走りをしたものの挽回できず、ベスト16で敗退し、15位に終わった。

第8戦は第3ゾーンを最後に外さなければ高得点だった野村。追走進出まであと一歩だ。
石川は、第8戦ではベスト16で敗れたが、2本目の先行時には高得点を獲得した。

大会後、野村は、「返しのタイミングがちょっとズレちゃったんで、そのあと外側をキープできるように左足ブレーキを使いながら維持していたんですけど……めちゃくちゃ初歩的なんですけど室内が煙で充満しちゃって、どこ走ってるかわかんなくなっちゃったんですね。最後のほう見えてたらまたちょっと違ったかなと思うんで、そういうのも対策しないといけないですね。

タイヤに関しては、土曜日はウエットにもなりましたけど、「滑るかなぁ」といった不安はまったく考えずに、アクセル踏めるしコントロールもできました。ドライのときはドライのときで、思いっきり振りこんでも、すっぽ抜けたりとかは絶対しないっていう安心感を持って走れました。

今回けっこうチームの体制としては、毎回ミーティングとかやるようになって、かなりチーム力も上がって、いい方向に行ったと思うんですよね。本番に関しても、1本目で足りなかったところを2本目で補うっていうのができてきてるんで、僕が上に行けるのも近いと思います!」と、手応えはかなり感じている様子だ。

初参戦の今季、まだポイント獲得はないが、手が届きそうなところには来ている野村。お台場での最終戦に期待だ。

またチーム・ドルーピーの松岡監督は、「追走に2台とも残ったり、2日とも残ったりは久しぶりなんで、まあよしとしましょう。

まず、松川のほうは、ずっとフォーミュラDみたいな走りかたが抜けなくて、D1っぽくやりたいけどできないっていうジレンマがあったんで、それが今週やっと、久しぶりにD1らしい投げかたが出てきて結果もちょっとついてきたりしたんで、期待できるかな。

石川のほうは組み立てがいつになくうまくいって、前回のエビスの反省が生きた。ていねいに1本1本の走行をテーマを持って組み立てていって、その結果が単走の結果に反映された。

昨日も今日も単走1本目はミスってるんだけど、前は1本目ミスったら2本目やりすぎて脱落っていうパターンだったのが、昨日も今日も1本目ミスりながら2本目ちゃんと点を入れてきたっていうのは、やっぱりその組み立てがうまくいったんだろうと思います。

クルマのほうも、ぜんぜん戦闘力というか、勝負権を持っているのは確認できてるんで、最後のお台場で大暴れをしたいね。お台場みたいなああいう荒れた路面はやりようがいっぱいあるんで、すごい楽しみ。

今回ウエットの日もあって、ウエットっていっても1本ずつ全部その路面状況が違ってたんだけど、それに対してタイヤが、乗りかたを変えてもついてきてくれるっていうか、すごいワイドにブリップレベルを発揮してくれた。だから、もう変な話、お台場では、路面が冷えてたり、濡れてたりしてもいい。DIREZZA β02の性能は引き出せてきてる感じはあるんで、結果が出せると思います!」と最終戦への展望を語ってくれた。

11月9〜10日は今シーズン最後の2連戦。お台場は昨年石川が単走優勝もしている相性のいいコースだ。野村も走りの質がどんどん上がっているので、今季最高の成績で締めくくってほしい!

今回は長い国際サーキットで結果を残したチーム・ドルーピーの松岡監督。次戦は小さい特設コースでの活躍に期待したい。

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