【写真で見る】アメ車カスタムの真髄!!「ホットロッド」の最新トレンドを『第32回ヨコハマホットロッドカスタムショー』でCheck it Out!

パシフィコ横浜(神奈川県横浜市)を会場に、2024年12月1日(日)に開催された『32nd YOKOHAMA HOT ROD CUSTOM SHOW(第32回ヨコハマホットロッドカスタムショー)』(以下、HCS)は国内最大規模のカスタムカー&モーターサイクルのインドアショーだ。日本のみならず世界的にも注目されているこのイベントの主役は、やはりアメリカンモーターカルチャーの中心にあるSTREETRODだろう。今回はHCSにエントリーしたハイレベルなSTREETROD(ストリートロッド)を写真を中心に紹介する。
REPORT:山崎 龍(YAMAZAKI Ryu) PHOTO:山崎 龍(YAMAZAKI Ryu)/りな(RINA)

アメリカン・モーターカルチャーの真髄「STREETROD」

まばゆいばかりのマシンが会場を埋め尽くす『32nd YOKOHAMA HOT ROD CUSTOM SHOW』(以下、HCS)にあって、ショーの花形となるのが、1949年までに製造されたクルマをベースに、公道走行を前提に製作したHOTROD(ホットロッド)……すなわち、STREETRODだ。

歴史を辿れば禁酒法時代のアメリカで密造酒の運び屋たちが「誰がいちばん速いか」を決めるイリーガルな公道レースにルーツを持つSTREETRODは、第二次世界大戦後に戦場から復員してきた若者たちを中心に発展したアメリカンモーターカルチャーだ。

フラットヘッドV8を搭載するフォード・モデルB(通称DEUCE)、あるいは直列4気筒や直列6気筒エンジンを搭載する戦前型の大衆車をベースに、心臓部をシンプルでコンパクト、おまけにチューニング次第で如何様にも化けるアメリカンV8エンジンに積み替え、さらには軽量化によって走りに不必要なパーツを取り去って作られたSTREETRODだったが、1970年代から全米各地でカーショーが開催されるようになると、スピードよりも派手で奇抜な”魅せる”ことを重視したカスタムへと変化して行った。

OLD MOUNTAINのブースに展示されていた「FIFTIES(フィフティーズ)」スタイルのDEUCE(デュース)こと1932年型フォード・モデルBロードスター。

そんなSTREETRODは1950年代の第一次ブーム以降も白人男性の間で人気保ち続け、現在ではチカーノやアフリカン・アメリカンのLOWRIDER(ローライダー)や、アジア系のスポコン(スポーツコンパクト)と並びアメリカンモーターカルチャーを語る上でなくてはならない存在となっている。

フラットヘッドV8を搭載した1932年型フォード・モデルBロードスター。「HOTなROADSTER転じてHOTRODになった」とする説の由来となったマシンでもある。

『ヨコハマホットロッドカスタムショー』は国内最高峰のSTREETRODの祭典

日本でアメリカ車というとマッスルカーやSUV、ピックアップトラックなどが人気となっているが、アメリカではSTREETRODこそがモーターカルチャーの一丁目一番地。全米各地では「Goodguys Rod & Custom Association」(会員数7万人を数える北米最大のSTREETROD&CUSTOMの組織)を中心としたモーターショーが毎月のように開催され、ファン人口の多さでは他のジャンルを凌ぐほどだ。

昨年10月の『Super American Festival(スーパーアメリカンフェスティバル) at お台場』でモーターファンがアワードを送った1929年型フォード・モデルA2ドアセダン(シャシーやグリルをDEUCE用に交換し、1932年型のセダンデリバリールックとした)を展示する中瀬板金のブース。

古き好きアメ車カスタムの本流はストリートロッドにこそあり!『スーパーアメリカンフェスティバル』の栄えあるアワードカーは!?

今回で31回目を数えるアメリカ車の祭典『Super American Festival at お台場』がダイバーシティ前にあるお台場ウルトラパークで開催された。今回のアメフェスで筆者はモーターファン.jpを代表してカーコンテストのアワードを授与する栄誉に預かることになった。筆者がアワードを選ぶとすれば、アメリカンモーターカルチャーに敬意を払ってSTREETROD(ストリートロッド)から選ぶことになる。さて、今回アワードに輝いたクルマはどんなクルマなのか? 合わせてエントリーしたその他のSTREETRODも紹介する。 REPORT&PHOTO:山崎 龍(YAMAZAKI Ryu)

ところが、日本では馴染みの薄い戦前のアメリカ車をベースにしたカスタムであることに加えて、ベース車両の希少性や国内に売り物があっても中古車は高値安定傾向にある上、保管場所の問題(STREETRODを維持するには屋根付きの車庫がほぼ必須)、誰もが振り返るような魅力的なマシンに仕上げるには相応の資金と技術力が必要なことがネックとなってファン人口は少なく、残念ながらUSAほどの盛り上がりを見せてはいない。

横浜市に店舗を構えるDEUCE FACTORYが出展した1932年型フォード5ウィンドウクーペ 。映画『アメリカン・グラフィティ』でジョン・ミルナーが使用した劇用車のレプリカ。

けれども、STREETRODがイマイチ盛り上がりに欠ける極東の島国にも伝統的なアメリカンモーターカルチャーの世界を心から愛するファンは存在する。彼らにとってはMOONEYES主催のモーターショーは、日本に居ながらにしてアメリカのモーターカルチャーの真髄に浸れる数少ないイベントとして心の拠り所となっている。

同じくDEUCE FACTORYのブースに飾られていた1932年型フォード・ロードスター。ローダウンに加え、ボディワークに相当に手が入れられたマシン。

なかでも毎年12月の第1日曜日に開催されるHCSは、USAからのゲストカーの参加に加え、国内でも有数のHOTRODビルダーたちが腕によりをかけてカスタムしたSTREETRODが多数エントリーすることで知られている。そんなHCSは文字通りの国内最高峰のカー&バイクショーであって、HOTRODフリークにとっては必見のイベントとなっているのだ。

MOONEYESのモーターショーではすっかり常連となった1932年型フォードのウッディワゴン。キャビン部分は船大工の手で日本国内で製作された。

2024年12月1日(日)に開催された今回のHCSにも、アメリカ本土のショーでアワードを狙えるような素晴らしいマシンが全国から集結した。インドアイベントということもあり、これほど密度が濃く、ハイレベルなモーターショーは他にないだろう。今回はそんなHCSにエントリーしたSTREETRODを写真を中心に紹介して行くことにする。

珍しいフェートンベースの1932年型フォードのSTREETROD。マットブラックのペイントがクールだ。

『第32回ヨコハマホットロッドカスタムショー』にエントリーしたSTREETROD!

徹底的にカスタムの手が入ったCORSAIRS CAR CLUBの1937年型フォード・ピックアップトラック。巨大なブロワー(スーパーチャージャー)が目を引く。2017年のHCSで「BEST RATROD」のアワードを受容したマシンで、それからも着実にカスタムが進んでいる。
フレームにCノッチ加工を施し、ボディをチャネリングとセクショニングにより薄く低くし、エアサスをインストールすることでボディを限界まで低くしている。
第二次世界大戦で活躍したP-51マスタングをイメージしているようだが、並列シートのコクピットと半円型のステアリングホイールなどの装備からB-17といった爆撃機を思わせる意匠にカスタマイズされていた。
シートも航空機風のアルミ製のワンオフしたものに交換されている。 内外装の仕上げはスティーブ・モール(アメリカの人気カスタムビルダー)の作品から影響を受けたのかもしれない。
ドアトリムはリベット打ちされたアルミいたで製作し、爆撃機のノーズアート風のセクシーなイラストや爆弾、キルマークなどが描かれている。
P-51マスタング(戦闘機)をイメージした前述のターコイズブルーの1937年型フォード・ピックアップと同じく、CORSAIRS CAR CLUBの仕上げたフォード・ピックアップ。
フォード・ピックアップのリヤビュー。こちらはトーンを落として渋い仕上げとなっている。
E&J(エドモンド&ジョーンズ)スタイルのヘッドライトがCOOLにフロントマスクを引き締めているDEUCEロードスター。心臓部はシボレーのスモールブロックV8に換装されている。
DEUCEロードスターのリヤビュー。フェンダーを取り去ったハイボーイスタイルで仕上げられており、トランクフードに切られたルーバーと相まってレーシーな雰囲気が漂う。
シンプルでレーシーな雰囲気が漂うDEUCEロードスターのインテリア。
カスタムのベースに選ばれることの少ないフェートンを敢えて選び、ストックのボディの美しさを残しつつ、丁寧な仕事で美しくレストアされたいわゆるRESTOROD(レストロッド)。
DEUCEフェートンのリヤビュー。後部座席はトノカバーで覆われていた。
DEUCEフェートンのカウルフード先端にはオリジナルのオーナメントが残されていた。
珍しい1932年型フォード・パネルトラックをカスタム。足回りをローダウンし、オシャレに仕上げられている。
1932年型フォード・パネルトラックのサイドビュー。写真には写っていないがリヤエンドには観音開きのバックドアが備わる。
1932年型フォード・ピックアップトラック。ボディはストックの状態をキープしつつ、足回りをローダウンし、バランス良く仕上げられている。
1932年型フォード・ピックアップトラックのリヤビュー。
大変美しい仕上げの1930年型フォード・モデルAロードスター。お手本のような「TRADITIONALS(トラディショナル)」スタイルでまとめられたマシン。
1934年型フォード・フェートンのRESTOROD。幌をかけた状態での展示されていた。
フォード・モデルAの4ドアセダンのハイボーイスタイル。心臓部はオリジナルの直4エンジンを搭載する。
フォード・モデルBのウッディワゴン。昔からのモーターショーの常連だが、年月の経過を感じさせないほどのコンディションをキープしている。

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著者プロフィール

山崎 龍 近影

山崎 龍

フリーライター。1973年東京生まれ。自動車雑誌編集者を経てフリーに。クルマやバイクが一応の専門だが、…