快適性と機能性に優れたプレミアムカー「メルセデス・ベンツ Vクラス」【最新ミニバン 車種別解説 MERCEDES-BENZ V-CLASS】

個性的なミニバンが数多い昨今でも特にプレミアムな価値を備えた「メルセデス・ベンツ Vクラス」。日本のニーズに合わせた装備はラグジュアリーで快適かつ機能美にも溢れる。 シートアレンジもフレキシブルで大きな荷室容量は唯一無二のモデルと言える。高速巡航に軸を置きながらもバランスの良い走行性能は洗練され、細かな配慮も行き届いている。
REPORT:岡本幸一郎(本文)/山本晋也(写真解説) PHOTO:神村 聖 MODEL:田丸りさ

内外装のすべてを大きく刷新 走りも上質なフィーリングに

Vクラスは1998年に欧州のミニバンとして初めて日本に導入され、2003年、15年のフルモデルチェンジを経て、24年秋までに累計で約3万台の販売を達成してきた。日本のLLクラスを上回るサイズによる広大な室内空間をはじめ、「メルセデス・ベンツのミニバン」として相応しい快適性と機能性を備え、日本のユーザーのニーズに合わせた装備や専用アクセサリーを充実させていたことも人気の要因に違いない。

エクステリア

撮影グレードであるロングボディの全長は本来5150㎜だが、AMGラインのため5155㎜となっている。他のバリエーションではスタンダードボディが全長4905㎜(AMGライン4910㎜)で、ホイールベースは同じ3200㎜。より広いキャビンをもつ「extra-long」系は全長5380㎜(同5385㎜)となり、ホイールベースも3430㎜と長くなる。
撮影車はAMGラインパッケージ装着車のためサイドスカート、ルーフスポイラーリップなどが専用エクステアとなり、19インチのアルミを履く。標準仕様は18インチ。最小回転半径は5.6m。

対話型インフォテインメントシステムの「MBUX」のような装備をいちはやく導入した点も特徴だ。デビュー当初はベースが商用車である面影がそこはかとなく感じられたものだが、時間の経過とともに高級ミニバンとしての価値を高めてきた。最も販売比率の高い「ロング」のほかに、ホイールベースが同じでリヤオーバーハングが245㎜短い標準仕様と、ホイールベースが230㎜長い「エクストラロング」が用意されている(一部受注生産)。日本向けはすべて7名乗りで、2列目に3点式シートベルト一体型のキャプテンシートが備わる。

乗降性

2列目には高級ミニバンとしてのニーズに応えるべく、ヘッドレストクッション、オットマン、リラクゼーション機能などの快適性を向上させる装備を組み合わせたエクスクルーシブシートを軸とするパッケージオプションが選べるほか、あたかもマイバッハのように高級感をさらに引き上げた「プラチナスイート」というモデルも用意されている。標準モデルは自由度が高いシートアレンジが可能で、リムジンのようにしたり対座にしたり、外して広大な荷室にすることもできる。荷室容量が最量販の「ロング」の場合で最大で5000ℓにも達するあたりも一般的なミニバンとは一線を画する。

インストルメントパネル

スクエアでビジネスライクなエクステリアに対して、有機的なインパネは日常を豊かにする世界観を演出する。マイナーチェンジでディスプレイとメーターは12.3インチ液晶となった。

2.2ℓ直4ディーゼル+7速ATから22年の改良時に換装された最新の2.0ℓ直4ディーゼルは、それを感じさせないほど音や振動が小さく、トルク特性に優れ、小排気量ながら9速に刻まれたATとの組み合わせで重量級の車体をストレスを感じさせることなく走らせてくれる。駆動方式がFRレイアウトである点も特徴で、こうした大柄で重量級のクルマは、後輪駆動によるバランスの良さを感じる。重厚で正確なドライブフィールもまた、日本をはじめ他国のミニバンとは別物で、アウトバーンを高速巡行することを念頭において開発されたことが窺える。

居住性

ドイツでもビジネスパーソンをはじめ多くの乗員を乗せて高速移動するための手段としてVクラスが重用されているのには、それなりの理由があることが乗るとよくわかる。なお、掲載写真は従来モデルだが、この10月に大規模なマイナーチェンジを実施したばかり。内外装が刷新されたほか、AIRMATICサスペンションが新たに搭載され、装備もグレードアップした。

うれしい装備

フル電動で調整できるキャプテンシートにオットマンが装備されているのは、このクラスとしては当然か。床にもフットレストが備わり、あらゆる体型の乗員が楽に座れるよう配慮されている。
月間販売台数       NO DATA
現行型発表    15年10月(マイナーチェンジ 24年10月)
WLTCモード燃費  13.0 ㎞/ℓ※「V 220 d」

ラゲッジルーム

基本設計は決して新しくないにもかかわらず、走りも大きく洗練されて、より高級ミニバンらしい上質なフィーリングになっている。先進安全系ではステアリングアシストが加わったのもポイントだ。新型については次の機会にあらためて詳しくレポートしたい。

※本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.164「2025年 最新ミニバンのすべて」の再構成です。

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