大型化・高額化したホンダ シビックは高級車と呼べるのか?トヨタ クラウンクロスオーバーとスペックを比較

以前とは比べ物にならないほど立派になったホンダ シビックに、若年層を取り込むためにSUVスタイルが与えられたクラウンクロスオーバー。昔ながらの定番車種も時代の流れとともに大きな変化を遂げており、クラスが違っても選択するグレードによっては価格帯が近くなる。シビックの最上級グレード「e:HEV EX」と、クラウンクロスオーバーの中間グレード「G」のスペックを比較して両車の役割の違いを明確にしてみよう。

HONDA CIVIC
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TOYOTA CROWN CROSSOVER

日常的な利便性ではシビックが優位

ボディサイズはクラスが上となるクラウンクロスオーバーのほうが大きい。全長は370mm、ホイールベースは115mm長いため、後席空間はクラウンクロスオーバーのほうが一回りほど広く確保されている。

しかし、荷室の広さや使い勝手はハッチバックのシビックが有利だ。5名乗車時の荷室の奥行きはシビックが約980mm、最大容量452Lで、ノッチバックとなるクラウンクロスオーバーは奥行き870mmの最大容量450Lとなる。

そのうえクラウンクロスオーバーの荷室に備わるのは小さなトランクスルーのみで、大型の長尺物を積むのは不可能だ。

ただし荷室幅が広いクラウンクロスオーバーはトランクにゴルフバッグが横積みできるように設計されているのに対し、シビックにゴルフバッグを積むには後席の背もたれを倒す必要がある。日常用途ではシビックのほうが使いやすいが、多人数でゴルフに行く機会があるならクラウンクロスオーバーが適している。

加えて、クラウンクロスオーバーは後輪操舵システム「DRS」を搭載するため最小回転半径は5.4mと大柄な割に小さい。対するシビックの最小回転半径はこのクラスのFFとしては大きめの5.7mだ。

ホンダ シビック  e:HEV EX
ボディサイズ=全長4560mm×全幅1800mm×全高1415mm
ホイールベース=2735mm
車両重量=1490kg
タイヤサイズ=235/40R18(前後)

トヨタ クラウンクロスオーバー G
ボディサイズ=全長4930mm×全幅1840mm×全高1540mm
ホイールベース=2850mm
車両重量=1760kg
タイヤサイズ=225/45R21(前後)

動力性能と安定感はクラウンクロスオーバーの勝ち

低中速域を184ps/315Nmのモーターを中心に使って走行し、高速域ではエンジン動力主体で駆動するシビックのシステム出力は214psほどとなる。対するクラウンクロスオーバーはフロントに88ps/202Nm、リアに40ps/121Nmのモーターを搭載しておりシステム出力は234psだ。

動力性能自体は2.5Lエンジン+THS-IIを搭載するクラウンクロスオーバーのほうが高いが、出足の加速感や軽快感で優れるのは、200kg以上車重が軽いうえ、大トルクのモーターで駆動するシビックだ。加えて、シビックに搭載される「スポーツe:HEV」は変速制御を伴ったガソリンエンジンのような加速演出がなされる。

燃費性能に優れるのもシビック。シビックのWLTCモード平均燃費は24.2km/L(e:HEV EXグレード)であるのに対し、クラウンクロスオーバーは22.4km/L(Gグレード)となる。

ホンダらしい軽快感あるスポーツ性が特徴となるFFのシビックに対し、E-Fourと四輪操舵システムを駆使した安定感がクラウンクロスオーバーの持ち味といえるだろう。

ホンダ シビック  e:HEV EX
エンジン形式=直列4気筒ガソリンエンジン+モーター
排気量=1993cc
最高出力=141ps/6000rpm
最大トルク=182Nm/4500rpm
トランスミッション=電気式CVT
駆動方式=2WD(FF)

トヨタ クラウンクロスオーバー G
エンジン形式=直列4気筒ガソリンエンジン+モーター
排気量=2487cc
最高出力=186ps/6000rpm
最大トルク=221Nm/3600〜5200rpm
トランスミッション=電気式CVT
駆動方式=4WD

ボディ形状や価格帯は近くなってもクルマの目的は明確に違う

価格はラインナップ全体でクラウンクロスオーバーの方が明らかに高い。中間グレードの「Gグレード」との価格差は約85万円、オーディオレスの最廉価グレード「X(440万円)」との比較では10万円ほどまで縮むが、「クラウン」と同価格帯となってしまってはシビックの割高感のほうが目立ってしまう。

しかし、シビックの後席空間はクラウンクロスオーバーにやや劣る程度であり、荷室はハッチバックであるシビックのほうが使いやすい。燃費性能でも優れるうえ、高いスポーツ性も備わるシビックは、価格は高いもののハッチバックセダンとして非常に優秀だ。

ただし、あくまで使い勝手のよいドライバーズカーであるシビックは、どれだけ立派になっても運転手が主役となる。昔と変わらずショーファーカーとしての役割も持たされているクラウンクロスオーバーは、トヨタがいうように「全席特等席」であり、その用途に応えるべく各部が最適化されている。

両車はクラスやグレード、価格や装備の違い以上に使用目的が明確に違うクルマだ。

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