シリーズ初採用の非対称パターンがコーナリングに効く!

グッドイヤーの「ICE NAVI 8(アイスナビ エイト)」は、雪道も一般路も安心して走れちゃう欲張りな新スタッドレスタイヤ!

冬タイヤに求められる性能の第一は、氷上・雪上での走行性能だ。が、それと同時に「長持ちすること」を求めるユーザーも少なくない。グッドイヤーが8月2日から発売を開始した「ICE NAVI 8(アイスナビエイト)」は、冬道での性能とロングライフという相反する要素を高次元で両立しているじつに"欲張り"なプレミアムスタッドレスタイヤなのだ。

「ICE NAVI 8(アイスナビ エイト)」は氷上ブレーキ性能を8%、耐摩耗性能を3%向上

「雪道も安心して走りたいけど長持ちもしてほしい」そんな相反する要望を両立

この時季になると、そろそろスタッドレスタイヤの購入を考え始めるユーザーも少ないと思う。夏場であれば選択肢は豊富だし、購入価格という点でも冬場よりも買い手市場だ。しかしいざ選ぶとなると、意外と困るのではないだろうか。どういう判断基準で、スタッドレスタイヤを選べばいいのかが。

昨今、スタッドレスタイヤの性能は頭打ちなのではないかと思うくらい進化を果たし、トップブランドのものを購入しておけば、まず間違いはない。また、クルマにトラクションコントロールなどのデバイスが付いたこともあり、雪道でよほど無茶な運転をしない限り、もしくは路面コンディションが極端に悪くない限り、「ヒヤリ・ハット」の思いをせず済む。

それゆえに、スタッドレスタイヤを選ぶ時は、“北海道のタクシーでシェアNo1”などとCMで謳われているブランド力か、もしくは安さで選ぶことが多いのではないだろうか。そんな現状に一石を投じるNEWスタッドレスタイヤが登場した。それが、日本グッドイヤーの「ICE NAVI 8(アイスナビエイト)」だ。

グッドイヤー アイスナビ8
2021年8月2日に発売が開始された「ICE NAVI 8(アイスナビエイト)」。グッドイヤーのプレミアムスタッドレスタイヤの新商品だ。

このタイヤの目指した性能を挙げれば、
1:氷上ブレーキ性能
2:氷上コーナリング性能
3: 耐摩耗性能
4:雪上性能
5:低燃費性能
6:ウェット性能
7:静粛性能
8:ドライ操縦安定性能
と、いうことになる。

多くのユーザーがスタッドレスタイヤで気にするのは、やはり「長持ちするかどうか」であろう。例えば雪国であっても、降り始めから雪解けの季節まで、ずっと路面に積雪があるということは皆無だ。12月や3月ともなれば、舗装が出ている日が多い。ヘビーユーザーであるはずの雪国のドライバーであっても、実は無冠雪の路面を走ることが多いのだ。

都会から雪国に向かうドライバーであれば、それはさらに顕著になる。ウインターレジャーを楽しむにしても、100km以上の乾燥路を走らなければならないというのはザラ。筆者自身も、2021シーズンの積雪路走行回数はわずか2回。それでもイザという時のために、4〜5か月近くもスタッドレスを履いているのである。おそらくそういうユーザーは少なくないのではないだろうか。

グッドイヤー アイスナビ8のマーク
ICE NAVIシリーズは1997年に初代が登場。ICE NAVI 7の後継モデルが、ICE NAVI 8となる。

そういったユーザーの実態に目を付けて開発されたのが、ICE NAVI 8なのである。スペック上で言えば、従来モデルのICE NAVI 7に比べて耐摩耗性能を3%向上。具体的には、トレッド面で均一に摩耗していく「均一摩耗プロファイル」を採用することで、摩耗性能を向上させた。

グッドイヤー アイスナビ8のトレッドパターン
ICE NAVIシリーズとしては初めて左右非対称パターンを採用。アウト側(写真では左がアウト側)の剛性を高めて、旋回時の操縦安定性を確保する狙いがある。また、ランド比(トレッド全体の面積と溝の面積の割合)も2%アップすることで密着性を向上させた。

多くのスタッドレスタイヤは低温下でも一定の柔らかさを保つ発泡ゴムを使っていることが多いが、これはアイスバーン表面の水膜を取り除く効果がある一方で、どうしても早く摩耗してしまう傾向にあった。ICE NAVI 8の雪や氷上性能はトレードオフになっていないのだろうか。

もちろん、そこは十分に考慮されている。まず、ランド比を従来モデルよりも2%アップすることで、接地面積を広くして密着性を向上。同時に、ICE NAVI 7よりも前後トータルエッジを7%、ブロックのピッチ数(横溝の本数を56本から68本に増加)を21%も向上させ、氷上ブレーキ性能で8%の向上を果たしている。加えて、「エキストラ・コンパクト・コンパウンド・プラス」という極小分散シリカと軟化剤を採用することで、路面への高密着を実現している。

エッジ成分増加
多方向にラグ溝(周方向に対して直角に刻まれた溝)やスロットを配置することで氷上ブレーキ時の引っかき効果を発揮する「マルチ・ディレクショナル・エッジ」を採用。「イニシャル・エッジ」や「エフィシエントホール」は、装着初期のエッジ効果を高める。
氷上ブレーキ性能比較
ICE NAVI 8では氷上ブレーキ性能が8%向上。
マルチ・インターセクション
雪中せん断力を高める交差点(緑の部分=マルチ・インターセクション)を採用。
倍ティング・スノーデザイン
連結したラグ溝により強い雪柱を形成し、しっかりと雪を掴む「バイティング・スノー・デザイン」。
センターリブ・スロット
縦スロット両端のブロック剛性を下げることで、接地時は閉じる方向に変形して雪柱を形成する「センターリブ・スロット」。非接地時は開く方向に変形して排雪を促す。
ウインター・トラクティブグルーブ・テクノロジー
「ウインター・トラクティブグルーブ・テクノロジー」により、ブロックの配置角度を調整して溝の形状を最適化することで、雪柱せん断力を高めている。

ちなみに、一般的にランド比を高くすると、氷上性能はアップする一方で雪上性能はトレードオフになる傾向がある。しかしICE NAVI 8は、トレッドのパターンを十分に考慮することで、雪上性能に重要な雪柱せん断力を従来と同等のレベルにキープしている。

雪柱せん断力分布シミュレーションの比較では、ICE NAVI 8はランド比が上がったにもかかわらず、トレッドパターンの最適化により前モデル(ICE NAVI 7)と同等の雪上性能をキープしているのがわかる。

トレッドデザインについても、新しいアプローチを試みた。日本グッドイヤーは、従来製品においてシンメトリーパターンを採用してきたが、ICE NAVI 8はアンシンメトリックにしている。これは積雪路、無積雪路を問わずにグリップ方向の性能を向上させるためだという。同時に、ロードノイズを低減させる効果も狙っている。

パターン横剛性の比較
こちらはパターン横剛性の比較。ICE NAVI 8では、特にアウト側の横剛性向上が図られた。

一般路を走り出してすぐに気がついたICE NAVI 8の剛性感の高さ

さて、今回のテストピースはトヨタ・プリウスに装着。車重が約1.4 tと軽いクルマだ。無積雪路における性能を謳っているので、SUVやミニバンなどの重量があって、重心が高めのクルマでテストしたかったというのが本音。そちらはまたの機会に譲るとして、とにかく都内から雪国に向けて出発することにしよう。

走り出しですぐに気づくのは、剛性感の高さだ。多くのユーザーが感じていることだが、スタッドレスタイヤは柔らかいコンパウンドやサイプなどのファクターから、フィーリングが柔らかい。快適な乗り心地ではあるのだが、交差点を曲がるだけでも腰砕けのような印象を受ける。その点、ICE NAVI 8はしっかりとしたフィーリングで、夏タイヤとあまり変わらないフィーリングだ。これもICE NAVI 8専用プロファイル設計の恩恵だという。

プリウスの走り
舗装路を走り始めると、ICE NAVI 8の剛性感の高さを実感。しっかりとしたフィーリングが頼もしい。

耐摩耗性は体感できるものではないが、スタッドレスタイヤとしては硬めのフィーリングから考えれば、やはり耐摩耗性の面でもアドバンテージがあるのだろうと予想できる。具体的には3%もアップしているというから、スタッドレスタイヤの装着期間の長い降雪地ユーザーにはうれしいポイントだ。加えて乾燥路のころがり抵抗を2%低減させているというから、燃費の向上も望めるわけである。

摩耗エネルギー分布の比較。ICE NAVI 8はトレッドの全面に摩耗エネルギーが分散している。

ロードノイズも少なめで、低中速域から高速域まで音が気になることはなかった。数値で言えば、パターンノイズで31%、ロードノイズでは16%の低減を実演しているという。ただし、サイプが多めということが影響しているのか、ハーシュネスはよく拾う印象を受けた。ドライバーにロードインフォメーションが伝わるということは必ずしも悪いことではないが、好みとしてはもう少し抑えめでもいいかなと思う。

無積雪路の性能は、明確に「いい」と言えるレベルだ。まず高速道路での運動性だが、急激なレーンチェンジでもトラクション、グリップが良好に発揮される。また、突発的な渋滞における100km/hあたりからのブレーキングでも特に不安を感じることはなく、ブロックがブレークせずにしっかりと制動力を発揮してくれた。

都会のウインターレジャー派は、高速道路での移動がマストになる。高速走行で不安がないことは、こうしたユーザーがスタッドレスタイヤに求める大切なポイントだ。その点、ICE NAVI 8は及第点以上のタイヤと言えるだろう。

プリウスでの高速走行
関越道から上信越道に入り、信州の雪道を目指す。道中の高速道路でのフィーリングも上々だった。

ワインディングロードでも自然なフィーリングで、スタッドレスタイヤであることを意識せずにドライブできる。もちろん過剰なハイスピードで攻めることはやめた方がいいが、気持ちのいい速度域で走ることができた。各ブロックの硬さも適度だったが、ショルダーやサイドウォールの剛性もしっかりしており、ステアリング操作に対してリニアな反応を見せてくれる。

また無積雪期になると、ワインディングロードを走る際に、どうしてもブロック飛びなどが気になってしまうものだが、そういった耐摩耗性も十分に考慮されているという。

ICE NAVI 8はコーナー途中の凍結路面でも良好なグリップを披露

さて、今回のテストドライブは2021年2月下旬に実施したのだが、今年は信州地方でも低地の積雪が少なく、アイスバーンを体験することは叶わなかった。唯一、高原に上がる道の一部に、わずかなアイスバーンが残る程度だった。凍結はコーナーの途中に見られたが、そこでもICE NAVI 8は良好なグリップを見せた。乾燥路では硬さを感じる同タイヤだが、様々な新しい技術によって、氷上路性能は十分に確保しているようだ。

警告看板
2月下旬の試乗日、信州地方の気温は−13度。山道を登っていくと、銀世界が広がっていた。
グッドイヤー アイスナビ8の走行シーン

もちろん、圧雪路でも何の問題もない。むしろ、降雪直後の雪のコンディションがいい道では、非常に素直なコントロール性を見せた。FFのプリウスで、わざときつめのライン取りをしてコーナーを曲がっても、後輪が流されることはほぼない。また勾配の大きな下りのコーナーは、荷重が前輪に乗ってしまうため、得てして不安定な走りになるものだが、こういったシーンでも安心して走ることができる。

グッドイヤー アイスナビ8の走行シーン
安定したコーナリングを披露したICE NAVI 8。もちろんオーバースピードは禁物だが、雪道でも安心してドライブが楽しめる。

不安を感じていたのが、新雪(深雪)路面。ICE NAVI 8はランドエリアを広くデザインしているということだったので、溝に雪を取り込んで接地力を高め、さらにそれを断ち切るという「雪柱せん断力」が低下しているのではないかと考えたからだ。

なにせ試乗の段階では詳しい技術資料が開示されていなかった。しかし、前述のようにそれは技術的に十分考慮済み。圧雪前の登り坂を走ってみたが、ゆるゆるとしたスピードで難なく登り切ることができた。無論、プリウスのトラクションコントロールの力も借りてだが、それでも十分なトラクション性能だと言えるだろう。

グッドイヤー アイスナビ8の走行シーン
ランド比を高めつつ、雪柱せん断力もしっかりと確保したICE NAVI 8。新雪路面でも不安なく走れた。
グッドイヤー アイスナビ8の走行シーン

なお、今回は深い轍ができた道を走ることはできなかったが、丸めのショルダー部やサイドドレッドの端に配置された雪のデザインなど、耐ワンダリング性能も十分に考慮されているようだ。

グッドイヤー アイスナビ8のサイドウォール
ICE NAVI 8のトレッド端部に刻まれた雪をかたどったデザインは、見た目のユニークさだけでなく、雪のひっかき性能にも貢献している。

2020-2021年シーズンは、日本海側は大雪、太平洋側は少雪という傾向になった。かくいう筆者もそうだが、スタッドレスタイヤを履いても、実際に雪道を走ったのは数えるほどであった。それでも、仕事の都合などで、スタッドレスタイヤに替えないわけにもいかない。もはや「保険」のようなもので、年間数回の雪道走行のために摩耗と性能低下を気にしながら走っているのである。

そういったユーザーでも、このICE NAVI 8なら安心して履き続けることができると思う。11月頭には夏タイヤから替えて、ゴールデンウィーク直前まで履き続けても、減りに気を揉むすることはない。

グッドイヤー アイスナビ8のコーナリング
高いウインター性能に加えて、耐摩耗性・低ノイズ・低燃費性能も向上させたICE NAVI 8。最新モデルらしい、高次元でバランスのとれたスタッドレスタイヤだ。

最後にサイズ展開だが、日本の市場に十分対応している豊富なサイズラインナップも特徴のひとつだ。軽自動車からSUV、ミニバンまで幅広いカテゴリーのクルマで選ぶことができるだろう。

サイズ表
ICE NAVI 8のサイズ表。13インチから19インチまで豊富なラインナップが用意されている。

優れた氷上性能に加えて、ロングライフ性能と乾燥路性能にも重点置いたICE NAVI 8。2022シーズンに入る前に、ぜひチェックしたい1本と言える。

山崎友貴レポーター
レポーターの山崎友貴さん。愛車はジープ・ラングラー アンリミテッド。最近、野鳥撮影にハマっているという。

著者プロフィール

山崎友貴 近影

山崎友貴

SUV生活研究家、フリーエディター。スキー専門誌、四輪駆動車誌編集部を経て独立し、多ジャンルの雑誌・書…