基本情報
三菱・パジェロは、1982年に登場した三菱自動車を代表するクロスカントリーSUVである。三菱ジープの後継的な存在として開発され、悪路走破性と乗用車としての快適性を両立したモデルとして支持を集めた。
日本では1990年代のRVブームを牽引した存在でもあり、「パジェロ」という車名は本格四輪駆動車の代名詞のように広く認知されていた。ダカールラリーでの活躍も大きく、三菱の四輪駆動技術や耐久性を象徴するモデルとして、国内外で高い知名度を築いてきた。
販売面でも大きな実績を残しており、国内では累計64万台以上、世界では170以上の国と地域で累計325万台以上を販売した。単なる一車種にとどまらず、三菱自動車のブランドイメージを形成してきたグローバルモデルだと言える。
一方で、国内向けのパジェロは2019年に生産を終了し、海外向け仕様も2021年に生産を終えている。そのため、現在新車として購入できる現行モデルは存在しない。
しかし、三菱自動車は2026年秋に新型クロスカントリーSUV「パジェロ」を世界初公開する予定である。国内では2019年の日本仕様終了以来、7年ぶりにパジェロの車名が復活することになる。
パジェロ 変遷

パジェロは、1982年の初代登場から2021年の海外向け生産終了まで、約39年にわたって展開された。日本国内では2019年に生産を終了しているが、その歴史は三菱のSUVづくりを語るうえで欠かせない。
初代パジェロは1982年に登場した。ショートボディから始まり、後にロングボディや乗用登録モデルが追加され、アウトドアやレジャーにも使える本格4WDとして存在感を高めていった。まだSUVという言葉が一般的ではなかった時代に、悪路走破性と日常での使いやすさを組み合わせた点が大きな特徴だ。
2代目は1991年に登場した。フルタイム4WDとパートタイム4WDの長所を組み合わせたスーパーセレクト4WDを採用し、悪路走破性だけでなく乗用車としての快適性や高級感も高めた世代である。1990年代のRVブームとも重なり、パジェロの知名度を大きく押し上げた。
3代目は1999年に登場した。従来のラダーフレーム構造から、ラダーフレームをボディに組み込んだビルトインフレーム構造へと進化し、軽量化や高剛性化、操縦安定性の向上が図られた。本格4WDらしさを残しながら、舗装路での走りや乗り心地も重視した世代である。
4代目は2006年に登場し、日本向けは2019年まで販売された。スーパーセレクト4WD-IIを採用し、悪路走破性とオンロードでの安定性を両立した。2019年には特別仕様車「FINAL EDITION」が700台限定で発売され、国内向けパジェロの歴史に区切りがつけられた。
そして2026年秋、パジェロの車名は新型クロスカントリーSUVとして復活する予定である。新型パジェロは、ピックアップトラック「トライトン」のラダーフレームをベースに改良を加え、キャビンや前後サスペンションなどを専用開発する方針だ。
卓越した悪路走破性に加え、上質で快適な乗り心地を実現するフラッグシップモデルとして開発が進められている。
三菱のブランド戦略でも重要な位置づけとなる新型パジェロ
新型パジェロの復活は、単に過去の人気車名を復活させる動きではない。三菱自動車が公表した中長期ビジョンでは、パジェロは「三菱自動車らしさ」を体現する商品として位置づけられている。
三菱自動車は、自社のDNAとして悪路走破性、耐久信頼性技術、SUV・4WD技術、電動化技術を掲げている。新型パジェロは、こうした三菱の強みをさらに進化させるフラッグシップ商品としての位置づけだ。
また、新型パジェロを今後「シリーズ」として投入していく方針のようだ。これは、パジェロが単体モデルとして復活するだけでなく、三菱のオフロード商品群を支えるブランド軸として展開される可能性を示している。
三菱は今後、アセアン商品群とオフロード商品群の2つを軸に商品展開を進める方針であり、パジェロはそのうちオフロード商品群の中核に位置づけられる。さらに、販売面でも新型パジェロ投入を機に、ブランド価値を高める店舗展開やプレミアム戦略を強化していく方針だ。
この点を踏まえると、新型パジェロは単なる懐かしさの復活ではなく、三菱が今後のブランド価値を再構築するうえで重要な役割を担うモデルだと言える。
まとめ
新型パジェロの登場は、過去の名車を復活させるだけの話ではない。SUVが多様化し、街乗り向けのクロスオーバーが主流になった現在において、三菱があらためて本格クロスカントリーSUVを打ち出すことに意味がある。
かつてのパジェロは、悪路走破性や耐久性によって三菱らしさを象徴してきたモデルだった。新型では、その価値を現代の安全性、快適性、電動化技術などとどのように結びつけるのかが問われることになる。
現時点では、パワートレインや詳しい仕様、価格など未公表の部分も多い。それでも、トライトンのラダーフレームをベースに専用開発されることや、三菱のオフロード商品群の中核を担う可能性を踏まえると、新型パジェロは同社の今後を占う重要な一台になるはずだ。
2026年秋の世界初公開に向けて、パジェロがどのような姿で復活するのか注目したい。