いま新車で買えるもっとも楽しいクルマの一台 ホンダ・シビック(6MT)

ホンダ・シビック 1.5ℓVTECターボと6MTがもたらす爽快なドライビングプレジャーを体感せよ

ホンダ・シビックEX(6MT)車両価格:357万8300円
ホンダ・シビックは今年50周年を迎えた。現行モデルは11代目。パワートレーンは、1.5ℓ直4ターボとCVT/6MTの組み合わせだ。間もなく2.0ℓ直4新開発エンジンを使う新世代e:HEVのモデルが追加される。今回は1.5ℓターボ+6MTのモデルを試乗した。これが、とてもイイのだ。
WLTCモード燃費:16.3km/ℓ 市街地モード 12.2km/ℓ 郊外モード 16.6km/ℓ 高速道路モード 18.8km/ℓ

北米で大人気。乗れば理由がわかる

ホンダ・シビック。言わずと知れたホンダの大看板である。現行モデルの評価は非常に高い。北米では「2022年北米カー・オブ・ザ・イヤー」を受賞。シビックは、2006年、2016年に続いて3度目の受賞だ。というように、アメリカ人はシビックが大好きなのだ。だから、ボディサイズも少しずつ大きくなって、国内のシビック・ファンからしてみたら、「なんか自分がイメージしているシビックと違うなぁ」となっていた。が、現行モデルはそうではない。

ちょっと北米の販売状況を見てみよう。

2021年の北米サブコンパクトクラスの販売台数は
1位:ホンダ・シビック26万3787台
2位:トヨタ・カローラ24万8993台
3位:日産セントラ127861台

でトップ。2020年もシビックが26万1225台でトップだった。売れているのだ。

11代目シビックのボディサイズは全長×全幅×全高:4550mm×1800mm×1415mm ホイールベース:2735mmだ。Cセグハッチバックとしては、かなり大柄である(ゴルフは4295mm×1790mm×1475mm ホイールベース:2620mm)。だからと言って、間延びしたスタイルではない。そもそもハッチバックに見えないデザインはかなり独特だ。好き嫌いははっきり分かれそうなエクステリアデザインだと思う(ちなみに筆者はかなり好き)が、このくらい個性がないと多くのライバルたちのなかで埋没してしまう。そもそも、1.5ℓ直4ターボとCVTの組み合わせだけでなく、6MTを用意している時点で、かなりの個性派だ。今回の試乗車は6MTをチョイスした。

なぜなら、新型車試乗会で6MTが抜群に楽しいことをすでに知っていたから。

全長×全幅×全高:4550mm×1800mm×1415mm ホイールベース:2735mm

気持ちのよいワインディングを走らせてもらった試乗会と違う都内~近郊の一般路と高速道路で、シビック6MTがどんな振る舞いを見せてくれるか、が今回のテーマだ。もちろん、燃費も気になる。

低い着座位置、素晴らしいシフトフィール

室内長×幅×高:1915mm/1545mm/1145mm
現在、屈指のシフトフィールを誇る6MT。CVTと6MTの重量差は30kg(CVTが重い)。

乗り込んで目の前に広がるのは、ヴェゼルと共通するインテリアだ。高級感に溢れているわけではないが、期待以上の質感で「良いモノ感」がする。運転席に腰を下ろすと、着座位置がとても低いことに気づく。かなり低い。マイカーのF30型BMW3シリーズより低い(320dは全高1440mm)。ステアリングホイールの握りもいい。着座位置が低くても前方視界が悪いわけではない。座った瞬間に「あ、スポーティなクルマなんだな」と感じさせてくれる。

6MTの出来がいい。このご時世になんでわざわざ3ペダルの6MTを選ぶのか、と訝る方もいるだろうが、シビックの6MTに試乗したら考えが変わるのではないか。6MTを使う苦労はなにもない。クラッチは重くないし、ヒルホールド機能があるから坂道発進も楽々。丸いシフトレバーは掌に馴染むし、シフト操作は快感そのものだ。6MTを操る歓びだけ抽出したトランスミッションである。比較的リーズナブルな価格(400万円以下)で購入可能なモデルのなかで、根治的にはロードスターと並んで屈指のMTだと思っている。

気持ちの良い1.5ℓVTECターボ

エンジンは1.5ℓ直4直噴VTECターボ。いわゆるダウンサイジング過給エンジンだが、ホンダらしく気持ち良く噴け上がる。出力は182ps/240Nm。馬鹿力があるわけではないが、1370kgの車重には充分以上だ。

形式:直列4気筒DOHCターボ 型式:L15C 排気量:1496cc ボア×ストローク:73.0mm×89.4mm 圧縮比:10.3 最高出力:182ps(134kW)/6000pm 最大トルク:240Nm/1700-4500rpm 燃料供給:DI 燃料:無鉛プレミアム 燃料タンク:47ℓ

高速道路を6速100km/hで巡航する際のエンジン回転数は2300rpm弱。110km/hで2500rpmというところだ。最新のモデルだから運転支援も万全だ。レーンキープ付きのACCが付いているから、もし高速道路を淡々と走り続けるなら、ACCをONにすれば楽ができる。残念ながら、日本では淡々とハイウェイを何百㎞も走る機会はあまりないのだけれど。

トータルで300kmほど走った。テーマが普段使いだから、箱根のワインディングを全開で走る……なんてことはなく、市街地、郊外路、高速道路を普通に走ってみた。もし、シビックを買ったら、普段、どんなふうになるだろう、を想定して試乗した。

市街地と郊外路少しだと11.9km/ℓ
高速道路を淡々と走ると18.8km/ℓ
トータル300.4km走って13.7km/ℓ
というのが、今回の燃費。
ほぼ、WLTCモード並みと言っていい。

ラゲッジスペースは非常に広い。フロア下にも収納スペースがある(スペアタイヤは搭載していない)。
ルーフの接合はモヒカンではなくレーザーブレージング。仕上げが美しい。リヤハッチの開閉部の造りも凝っている。
樹脂テールゲートのサプライヤーはダイキョーニシカワ。ガラス繊維で強化した熱可塑性樹脂を採用することで剛性を確保するとともに、部品一体化による部品点数削減と意匠性の向上を併せて実現したものだ。

褒めてばかりだが、最後に気になるところも少し。まず、小回りが効かない。最小回転半径が5.7mというのは、このクラスとしては大きい。狭い道でのUターンや車庫入れは切り返さないといけない。もう少し小回りが効くといい。

また、燃料はハイオク推奨だ。性能を考えれば充分いい燃費だが、ハイオクであることはちょっと気になる(レギュラーにしたらあの気持ちのいい噴け上がりがどのくらいスポイルされてしまうのだろう)。輸入車勢はみなハイオク指定なのだから、ハンデではないが……。

シビック6MT、とにかく気持ちのいいクルマで、誰にでもお勧めできる。トランクも広いし、後席の居住性もいい。CVTを選んでもまったく問題ないけれど、もし「久しぶりにMTも乗ってみたいな」という気持ちとMT免許を持っているなら、一度ぜひ試乗してみていただきたい。間もなく登場するe:HEVも「爽快シビック」だと思う。でも、6MTもぜひご体感ください!

ボディカラーはソニックグレーパール
ホンダ・シビックEX(6MT)
 全長×全幅×全高:4550mm×1800mm×1415mm
 ホイールベース:2735mm
 車重:1370kg
 サスペンション:Fマクファーソンストラット式/Rマルチリンク式
 駆動方式:FF
 エンジン
 形式:直列4気筒DOHCターボ
 型式:L15C
 排気量:1496cc
 ボア×ストローク:73.0mm×89.4mm
 圧縮比:10.3
 最高出力:182ps(134kW)/6000pm
 最大トルク:240Nm/1700-4500rpm
 燃料供給:DI
 燃料:無鉛プレミアム
 燃料タンク:47ℓ
 トランスミッション:6速MT
 WLTCモード燃費:16.3km/ℓ
  市街地モード 12.2km/ℓ
  郊外モード 16.6km/ℓ
  高速道路モード 18.8km/ℓ
  車両価格:357万8300円

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著者プロフィール

鈴木慎一 近影

鈴木慎一

Motor-Fan.jp 統括編集長神奈川県横須賀市出身 早稲田大学法学部卒業後、出版社に入社。…