トヨタbZ4X、スバル・ソルテラ公道比較試乗レポート!

公道比較試乗! bZ4Xは標準車といえるマイルドな走り、ソルテラはスポーティ風味に仕上がる

トヨタbZ4Xとスバル・ソルテラという2台の電気自動車(BEV)は、共同開発されたモデルで、ともすれば中身が同じバッジエンジニアリング兄弟と思われがちだが、意外にも走りに関わる部分も異なっているという。トヨタとスバルが共同でメディア向け試乗会を開催したのは、そうした違いを感覚がフレッシュなうちに確認してほしいという狙いがあるということだが、はたして両車の走りは明確にわかるレベルで異なっているのか。自動車コラムニストである筆者が、その差を体感した。
TEXT◎山本晋也(YAMAMOTO Shinya) PHOTO◎TOYOTA/SUBARU

トヨタとスバルがゼロから共同開発

日本市場だけを見ていると電気自動車(BEV)は、100人にひとりくらいの好きものが選ぶモデルといったイメージを受けますが、グローバルではBEVのラインナップがなければビジネスが成り立たない状態になっています。たとえば、欧州市場でのプラグイン車(BEVとプラグインハイブリッド)の市場シェアは2割程度となっているほどです。まだまだ多数派ではありませんが、新車の5台に1台はプラグイン車両というのが世界基準といってもいいでしょう。

そうした市場変化に合わせてトヨタとSUBARUが共同開発したBEVがあります。ミッドクラスのSUVスタイルのモデルはトヨタ版がbZ4X、スバル版はソルテラという名前が与えられました。ボディサイズやモータースペックは共通で、FWDと4WD(スバルではAWDと呼んでいます)を用意するラインナップ構成であることも共通です。

共同開発といっても一社が主体的に開発して、エンブレムやグリルなどでもう一社のテイストに合わせるという、実質的にOEM供給といえるケースもありますが、bZ4Xとソルテラのケースはそうではありません。たとえばデザインについてもパッケージングのフェイズから両社のデザイナーが集まって作業を進め、基本的なフォルムから完成形まで、新型BEVのデザインチームによって作り上げられたといいます。

その象徴といえるのがフロントタイヤを覆う樹脂製パーツです。この面積を大きくすることでトヨタ版とスバル版で完全に異なるテイストのフロントマスクを違和感なく共通ボディに溶け込むように工夫されているのです。

主な違いは外観とサスペンション

さて、bZ4Xとソルテラの仕様違いについて、主要な部分は次のようになっています。

外観
フロントグリル&バンパー
ヘッドランプ
フロントフォグランプ
アルミホイール(カラー)
リヤコンビランプ&フィニッシャー
リヤガーニッシュ

機能面
ショックアブソーバーのセッティング
ドライブモード(bZ4Xは2モード、ソルテラは3モード)
パドルスイッチ(回生ブレーキの調整用、ソルテラのみ)
ドライバーモニタリングシステム(ソルテラのみ)

気になるのはドライブモードとサスペンションのセッティング違いです。今回は、ワインディングロードを中心に比較して感じた両車の特徴をお伝えします。

乗り心地はbZ4Xに軍配があがる

グリルレスのフロントマスクがどこかアグレッシブな印象もあるbZ4Xですが、結論からいえば、乗り心地は非常にマイルドに仕上がっていました。といっても芯がない走りというわけではありません。

写真にあるような路面のつなぎ目を通過した際にも、トンと一発で突き上げ感を収束させるもので、ショックアブソーバーの容量が十分に確保されているという印象を受けました。電動車というのはパワートレイン由来のノイズが少ないためエンジン車と同じレベルの静粛性では騒音の侵入が気になるものですが、そうした部分でも詰めの甘さを感じることなく、満足度の高い乗り味に仕上がっていたといえます。

ハンドリングの印象は「BEVらしいデジタル的」なもの。いわゆるステアリングインフォメーション(フロントタイヤの接地感)は希薄ですが、ステアリング操作に遅れることなく、クルマはスッと向きを変えていく様は、ゲームの中でクルマを操っているような感覚に近い部分もあります。

かといって、BEVにイメージするようなリニアすぎる乗り味ではありません。あくまでも意のままに走れることを優先して、パワートレインは扱いやすいよう味つけてあります。

ソルテラはスポーティグレード的な印象

じつはbZ4Xを先に試乗したので、こうしたデジタル的なドライビングフィールは、71.4kWhという大量のバッテリーを床下に積んでいるというパッケージが生み出す味かもしれないと感じていました。

しかしソルテラのハンドルを握ると、まっすぐ走っているときからステアリングフィールがまったく異なります。EPS(電動パワーステアリング)のセッティングが異なるのか、フロントにエンジンを積んでいるような軸重感があり、アクセルオフでフロント荷重を感じながら曲がっていくといったテイストに仕上がっていました。bZ4Xがデジタル的とするならば、ソルテラは従来のエンジン車に近い操縦感覚といえます。

さらにショックアブソーバーも縮み側を引き締めるなど独自のセッティングにされており、乗り心地のマイルドさでいえばbZ4Xに軍配があがります、ソルテラは明らかにスポーティです。

パドルで回生の強弱を変えられる

前述したようにソルテラには回生ブレーキの強さを4段階で変えることのできるパドルスイッチが備わっています。そのため、コーナー手前で回生ブレーキを強くしてフロント荷重をドライバーの意思でコントロールしながら曲がっていくという積極的なドライビングが楽しめます。ちなみに、bZ4Xはカメラで認識したコーナー曲率や道の勾配といったパラメーターによって自動的に回生ブレーキの強さをアジャストする機能が備わっています(ソルテラでもパドルスイッチを使わないと同様に機能します)。

bZ4Xが標準車だとすれば、ソルテラはスポーツドライビングを楽しむためのグレードといった違いを感じます。スバルの好きな方には、STI SPORT的な雰囲気を持ったBEVというとご理解いただけるでしょうか。その意味ではパドルスイッチを使いこなせるような手練れのドライバーにとって満足度が高いのはソルテラ、とくに意識することなくハンドルとペダルの操作で運転したい向きにはbZ4Xが合うといえそうです。

なお、ドライブモードの違いについては、bZ4Xがノーマル/エコの2段階、ソルテラはパワー/ノーマル/エコの3段階となっています。bZ4Xのノーマルとソルテラのパワーが同等レベルのセッティングになっているということで、パフォーマンスの差はないといいます。つまりソルテラのノーマルは、bZ4Xのノーマルよりも抑えられているということです。エコモードで比較するとソルテラのセッティングがもっとも穏やかになっていると感じたこともお伝えしておきましょう。

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著者プロフィール

山本 晋也 近影

山本 晋也

1969年生まれ。2010年代から自動車コラムニストとして執筆活動をしています。過去と未来をつなぐ視点から…