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販売テコ入れのためオープンモデル追加
2代目でロータリーエンジンを搭載する特殊なグレードが存在したものの、ファミリアはマツダを代表するベーシックモデルとして続いた。印象に残るのは前輪駆動を採用したBD型で「陸(おか)サーファー」という流行語が生まれたほど若い層を中心に大ヒットした。
同時にドイツを中心に堅実な売上を示しマツダ323として親しまれラリーにも参戦。この姿勢をアピールすべく、85年にモデルチェンジしたBF型では1.6DOHCターボやフルタイム4WDまでラインナップ。WRCで勝利を挙げるなど大活躍した。
ところが国内での人気はBDほど盛り上がらない。そこでイメージ一新を図るために追加発売されたのが86年のカブリオレだ。センターピラーが残るものの、ホンダ・シティ カブリオレなき当時、国産唯一のオープンカー。ただトップグレードの4WDターボGTIxより新車価格が高い195万円だった。
当初は1.5ターボと5速のみの設定だったカブリオレは87年に1.6DOHCになりミッションも4速ATを追加設定。より商品力を上げたものの、やはり高めの価格により人気は出なかった。
外観
爆発的なヒット作となったBD型の後継として1985年にフルチェンジして発売されたBF型は、基本的にキープコンセプト。3ドアと5ドアのハッチバックと4ドアセダン、バンとワゴンをラインナップ。翌年に追加されたカブリオレは1.5ターボエンジンだったが87年のマイナーチェンジで1.6DOHCに変更。BDほど売れず1989年にBGへ切り替わるが、最終年登録の個体も多かった。
80年代のクルマらしく立派なトノカバーが標準装備。リヤシート後にも固定ボタンがある。
オープン化で落ちるボディ剛性を確保するためステップ内側に1枚補強が追加されている。
純正でアルミホイールが標準だったカブリオレ。塗装はそのままだがタイヤサイズがすでに希少のためミシュランのオールシーズンを履く。
エンジンルーム
86年発売当初はE5型1.5リッターSOHCターボだったが翌年のマイナーチェンジで1.6リッターDOHCのB6型へ変更。後にロードスターへ転用された。
不動の状態から甦らせた激レア車
新車販売台数が少なかったため残存数が極端に少ないファミリア・カブリオレ。オーナーはSR311に乗る整備工場経営者だからか、お客さんも旧車乗りが多い。旅行中に知り合いから業者オークションに不動のカブリオレが出ていると電話を受け、見ないで落札。不動だがそこはプロ。燃料が詰まっているため始動しないことがわかるとタンクを下ろしてサビ落とし。インタンク式の燃料ポンプとフィルターは部品が出たので新品交換すると見事に復活。
ボディはくすんだブルーメタだったがあちこち凹んでいたので板金ついでに全塗装。塗装はプロに頼んだが、その際に鮮やかな濃いブルーに塗色を変更した。ただ、ボディにあるデカールはこの時に無くなってしまった。ラッキーだったのはホロで、縮んでいないうえに破れてもいなかった。
ナンバーを取得して公道復帰したが、激レア車らしく困った部分もある。リヤのナンバー灯がなぜか点灯しないが純正部品などない。そこで、旧車によく使われる汎用のメッキタイプを黒く塗装して装着。少々大きくなったものの、気になるほどでもない。
左右のウィンドゥは手巻きの手動式が標準だが、不便なので汎用の電動スイッチを追加。ところがモーターが強すぎてレギュレーターが壊れた。部品を探すがあるわけもなく、現在はマツダの他車部品で動くようにしてある。
室内
入手時に19万キロでイベントに行くくらいで距離は伸びていない エアコンはガスを入れたらしっかり効いた。ガスは高価になった12a。
純正のフロントシートは破れて内部のスプリングが飛び出ていたため、マーチ用と思われるシートを移植。 リヤシートは純正のままで色遣いが確認できる。乗車定員は4名だ。
このマツダ・ファミリア・カブリオレの記事は2022年8/21発売の、令和に残るクルマ改造雑誌『G-ワークス』(毎月21日発売)2022年10月号に掲載されています。