2022年夏休み最後の旧車イベント! 雨上がりの奥多摩で「東京旧車会」が開催!

新型ウイルスの影響により各地で中止や延期が相次いだ旧車イベント。行動制限のない久ぶりの夏休みとなった2022年の7月、8月だが、この時期はクーラーのない旧車にとって、イベント冬の時期。ただ、変わらず開催されるイベントが東京の奥座敷・奥多摩を舞台に続けられている。8月21日に開催された「東京旧車会」の模様をお伝えしよう。
奥多摩湖畔の駐車場を舞台に開催される。

「ダイサン」と呼ばれる旧車イベントをご存じだろうか。東京の奥座敷であり近年は東京近郊のレジャースポットとして人気の奥多摩で、毎月第3日曜に開催される「東京旧車会」のことだ。開催日から「ダイサン」などと呼ばれていて、イベントというより自由参加のミーティング形式だから事前エントリーや参加費用が不要という点も人気のポイント。特別な決まり事はなく日曜の朝に奥多摩湖にある大麦代園駐車場に集まるだけだから、行きたくなったら駆けつければいいし帰りたくなったら抜け出して構わない。多くの旧車イベントが真夏や真冬に開催されることは少ないのだが、東京旧車会は季節を問わず毎月開催されていることもポイント。雨を嫌うことが多い旧車オーナーにとり梅雨時は走らせる機会が少ないだろうし、クーラーがない車種が多いから真夏は運転すること自体がまれ。敬遠されがちな季節でも東京旧車会は変わらず開催される。それも人気の秘訣だろう。

老若男女がそれぞれに旧車を楽しんでいた。

行動制限のない久ぶりの夏休みとあって、2022年は多くの人が帰省や旅行を楽しまれたことだろう。ところが今夏は天気に恵まれず、6月の早い時期に梅雨明けしたものの7月8月と雨に降られることが多かった。8月の第3日曜となった21日も前日の天気予報で雨マークが並んでいた。だから「ダイサン」といえど参加する旧車は少ないのでは?と不安な気持ちのまま朝の8時すぎに会場へ到着した。天気の良い日だと朝8時ですでに会場が満車になってしまうほどの人気ぶりなのだが、さすがにこの日は駐車場を埋めるクルマの姿もまばら。しかも70年代やそれ以前のモデルは少なく80年代以降の車種が多く感じられた。天気ばかりはどうにもならないが、時間が経つにつれ天候は回復。時折青空が見られるようになると、若干ながら70年代のクルマたちも駆けつけるようになってきた。

雨上がりのためか比較的高年式のクルマが多かった。

東京旧車会は古いいすゞ車を専門に扱いつつ、メーカーを問わず旧車の買取を行なっているイスズスポーツで結成された東京GT倶楽部が主催している。主催と言っても掛け声を上げる程度だが、集まる車種にいすゞ車が多いのはこうした事情がある。毎回いすゞ117クーペやベレットが多く集まるのだが、さすがにこの日は少なめ。旧車オーナーが雨を嫌うのは防錆処理されていない時代のクルマなので、雨に濡れてボディの腐食が進行することを避けるため。逆に防錆処理が進んだ80年代以降の旧車なら気にせず会場まで走って来られるから、生憎の天気だったこの日の主役が高年式モデルになったというわけだ。

1960年代の名車、SR311フェアレディ2000が集結!

天気が回復してきた頃、勇ましい排気音とともに現れたのがZを名乗る前のフェアレディ、ダットサン・フェアレディ2000たち。3台ともナンバーから(画像は処理済み)奥多摩に近いオーナーたちのようで、雨が残る早朝を避けて駆けつけたのだろう。この日の駐車場は空いていたため、難なく3台並べることができたようだ。同じモデルとはいえ3台ともアルミホイールが違い、2台にはハードトップが装着されていたが色分けを変えるなど個性を演出していた。

年式もメーカーも不揃いなので偏りなく楽しめる。

同じ車種ばかりで集まる必要はなく、自由に参加できるためメーカーや車種がバラバラなことも特色だろう。通常のイベントでR33スカイラインGT-Rの隣にマツダ・シャンテやスズキ・キャリイが並ぶなんて光景はまず期待できない。不揃いに駐車されているので、会場のどこへ行っても楽しめるところが「ダイサン」の面白いところ。ただ、その奥にアルトラパンが3台並んでいたりするところにも自由度の高さが現れている。

これは珍しい、エクサ・キャノピーが4台も並んだ!

メーカーや車種がバラバラなことが特色だが、同じ車種同士で連れ立って参加するケースも多いようだ。この日は激レアなエクサ、しかもキャノピーが4台も並んでいて驚かされた。エクサは主要マーケットであるアメリカではクーペとキャノピーが着せ替え可能なモデルとして人気を博したが、国内では着せ替えが認可されずクーペとキャノピーが別モデルとして販売された。そのためシューティングブレーク風の特異なキャノピーは販売台数が伸び悩みクーペがメインだったものの、さすがに生産終了から30年以上も経つと新車時にレアだったモデルが逆に残るのだろうか。

ちょっとヤンチャなソアラとフェンダーミラーのY31セドリック。

事前エントリー制のイベントだと派手な改造車は参加を断られることが多く、会場の周囲を走り回る姿が見受けられるもの。ところが東京旧車会には縛りがないため、時に画像のソアラのように派手なカスタムが施されたクルマも会場へやってくる。それとは別にフェンダーミラー姿で覆面風なセダン、Y31セドリックなどもやってくるから面白いもの。全く相容れないように思える2台だが、このソアラはさりげなくフェンダーミラー仕様にされている。こんな視点で居並ぶ旧車を見ると新たな発見があるかもしれない。

80年代の日産を象徴する2台、セドリック・シーマ(右)とレパードが並ぶ。

バブル期の日産車はトヨタ一連のハイソカーに押され気味だったけれど、セドリック/グロリア・シーマの登場で高級車市場に新たな流れを生み出したもの。3ナンバー専用のワイドボディに3リッターV6ターボによる強烈な加速力を備え、国産高級車の歴史を塗り替えたものだった。ただ、ソアラの地位は揺るぎないもので、2代目になったレパードは高級クーペ市場でシーマのような活躍はできなかった。とはいえテレビドラマの劇中車だったこともあり、独自のファン層に支えられ今でも人気は健在。むしろ新車当時より愛されているように思える1台。そんな2台が並んだのはオーナー同士がお知り合いだからだそうで、画像右のシーマについては追って記事をお届けする予定だ。

トヨタMR2(右)と一緒に整列したMR-S。

中古スポーツカーの人気が高まり、特に80年代から2000年前後のモデルは中古車相場が上がり続ける異常現象となっている。トヨタMR2はミッドシップレイアウトを採用する稀有な存在だったためか初代AW11、2代目SW20ともに新車価格を上回るほどの人気ぶり。だから旧車イベントで散見される車種になってきたが、その後継車種であるMR-Sは未だ人気が高まっていない珍しい存在といっていい。ただ、こうして2台並び、その奥にAW11が控えていると改めて良いモデルだったと思えて来ないだろうか。

輸入車は少なめだったので2台並んだBMWが目を引いた。

この日は全体的に国産車が多く輸入車は数えるほどしか見られなかった。早朝から2台並んで駐車されていたBMWは比較的遅い時間帯まで居続けていたのだが、残念ながらオーナーを見つけることができなかった。画像手前は今でも根強い人気を誇るE30系のなかでも珍しいアルピナC2-2.5のようだが詳細は不明。その奥の635もオーナーが見つからなかったため詳細は不明だがM6かM623CSiのような出立ち。どちらもクラシックな風情でありながら、今でも走りが楽しめるモデルといっていいだろう。

このようにとりとめなく多様な車種が集まる旧車イベントは意外にも少ない。大抵は同じ車種が数多く並んでいることが多いものだが、「ダイサン」と呼ばれる東京旧車会では誰もが気軽に参加できる。8月は朝から小雨模様だったため参加車が少なかったが、天気が安定する9月以降はより多くの車種たちで賑わうことだろう。予定のない第3日曜は奥多摩、というのが近県の旧車好きに定番となりつつあるようだ。また次回以降はこの日にオーナーから話を聞くことができた旧車たちを紹介する予定だ。

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著者プロフィール

増田満 近影

増田満

小学生時代にスーパーカーブームが巻き起こり後楽園球場へ足を運んだ世代。大学卒業後は自動車雑誌編集部…