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アウディRS e-tron GT「ぜひ、富裕層のかたには乗ってもらいたい」

新型車の発表は2021年11月だったのですが、試乗したのが2022年2月だったので、「上半期に刺さった」企画にねじ込みでお願いします。
刺されたのは、アウディRS e-tron GTです。こやつに刺されました。
BEVでJ1プラットフォームはポルシェ・タイカンと共通。でもアウディだし、フラッグシップだし、GTだし、ということで「グランツーリスモ」なんです。そのなかでもよりハイ・パフォーマンスモデルの「RS」に乗って感動しました。
心臓は2モーターで前後に配置。475kWで830Nmものバカトルクがあります。まぁスーパースポーツカテゴリーですから、アホなほどということもないのですが。

ガソリンエンジンのV12型とかV10、V8には、ドロドロ〜ガルル〜ていう独特のランブル音がありますよね。踏み込むとガオ〜って吠えるあれ。
ドライバーは
「この音がたまんねぇ〜んだよなぁ」
とか
「都内なんか、アクセルペダルに足を乗せるだけでいいんだぜ」
「パワーを見せびらかさない大人な走りがカッコいいだろう?」
なんて思って乗っているわけですよ……たぶん。
自分がオーナーなら間違いなく「クールなオレ」に自己陶酔。
でも、e-tronは電気自動車ですから「ガオ〜・ガルル〜」っていう音がしません。






正確にはインバータなどから音が出ます。
「次世代の未来感溢れる金属音、電子音を奏でてます」
そこからアクセルを思い切って床まで踏みつけると、新しい加速の世界が扉を開けちゃうんです。
「これ本当に地面を走ってる? なんか浮いてね?」
「いや〜これまでにない空間移動だなぁ。空気の壁を引き裂く異次元の移動だよ……」
「日本の制限速度って何km/hだっけ?」と思いながらアクセルを踏むわけですよ。
それでもって、このRS e-tron GTは、ドイツ・ネッカーズルムにあるベーリンガーホフ工場で、カーボンニュートラルな環境で製造されています。バイオガスを燃料とする供給プラントは、車両の生産に必要な熱エネルギーを供給し、どうしても避けられないCO₂の排出は、認証を受けた気候保護プロジェクトのカーボンクレジットを使用して相殺する念の入れよう。

そうしたVWグループの企業姿勢っていうんですかね、カーボンニュートラルで作っているあたり、また作る責任、使う責任とか、いくつかのSDGsにも対応しているところもソツがない。
そのRS e-tronGTの走行時のCO₂排出はゼロ。ぜひ、富裕層のかたには乗ってもらいたい。実際A7やA8からの乗り換えユーザーも多いらしいですが。
アウディRS e-tron GT 全長×全幅×全高:4990mm×1965mm×1395mm ホイールベース:2900mm 車重:2320kg サスペンション:F&Rウィッシュボーン式 モーター型式:EBG-EBE 定格出力:250kW 最高出力:475kW 最大トルク:830Nm 搭載電池:リチウムイオンバッテリー 総電圧:723V 総電力量:93.4kWh 駆動方式:AWD WLTCモード一充電走行距離:534km 交流電力量消費率:200Wh/km 市街地モード 213Wh/km 郊外モード 199Wh/km 高速道路モード 203Wh/km トランスミッション:F/1速固定式 R/2速 車両価格:1799万円 試乗車はオプション(264万円)込みで2063万円
日産サクラ「これが軽自動車なの?」

そしてもう一台は日産のサクラ。こっちは多くの人が買える価格の軽自動車規格のEV。日産はインテリジェント・モビリティという新しい価値創造をしています。そのヒエラルキーのボトムに位置づけられているのが、サクラ。つまり普及拡大が使命のモデルですね。
新しい価値創造といっても……EVはガソリンの代替になるか? 議論はたくさんありますが、別な種類の乗り物だという考え方はどうでしょう?
駆動力がエンジンとモーターでは違うので、違う走り方をしても当たり前じゃないですか? という提案。
モーターが得意なことは、滑らかでシームレス、高レスポンス、大トルクで静か。それに対してエンジンは音がいい、温もりを感じる、扱い慣れている、などの特徴があるかと。
一度試乗してみてください。
「これが軽自動車なの?」
「静かで、滑らか。そして力強いね」と乗った人のみんなが感じる新しい価値だと思います。
そうしたEVならではの特徴と新価値を手にすることができるのが日産・サクラなのです。