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トーヨータイヤの最新モデル『プロクセスLuKⅡ」
今の軽自動車販売で安定した人気を誇るジャンルといえば、ホンダN-BOXをはじめとするスーパーハイトワゴン。そんなスーパーハイトワゴンにアジャストした商品として人気を博しているタイヤがある。「トランパスLuK」だ。
軽スーパーハイトワゴンの長所は背の高いボディによる広い室内や乗り降りのしやすさといった実用面だが、一方でそんな背の高いボディはウィークポイントも生んでいる。重心の高さによる走行中のふらつきやタイヤの変摩耗などだ。
軽ハイトワゴン専用タイヤとして開発されたトランパスLuKのポイントは、そんなスーパーハイトワゴンの欠点を補うこと。ハンドリングを安定させ、さらに変摩耗を抑えることでタイヤの寿命を伸ばす高機能タイヤといっていい。
今回登場した「プロクセスLuKⅡ」はそんなトランパスLuKの後継モデルにあたる。
ウェット性能は12%向上、安定感とライフ性を両立
従来品(トランパスLuK)の静粛性、しっかり感、快適性、摩耗性能は継承しながら、進化ポイントとしてウェット制動性能を高めつつ、転がり抵抗を低減。最新技術を使い軽スーパーハイトワゴンにアジャストして開発した専用タイヤだ。
ボクがもっとも注目したいのは、ウェット性能と低転がり性能の両方を向上していること。実はこのふたつは相反する部分があり、一般的には「あちらが立てばこちらが立たず」状態。どのタイヤメーカーもそれをどう両立させるかが腕(技術力)の見せ所だが、プロクセスLuKⅡはコンパウンドに工夫を凝らしたのがキーテクノロジーで、そのコンパウンドの性能をしっかり生かせるトレッド設計をおこなって実現したのだそうだ。
ドライ性能や摩耗性はそのままに、ウェット性能や低転がり抵抗性能を高めるなんて、見た目にはあまり進化を感じないタイヤながら技術がどんどん進化していることを感じさせるトピックじゃないだろうか。
というわけで、気になる走りはどうか? 試乗ステージはドライ路面の高速周回路とウェットで曲がりくねるハンドリング路。従来品トランパスLuKと新商品のプロクセスLuKⅡを乗り比べてみた。
まず従来のトランパスLuKで走って感じたことを素直に言えば「これで十分じゃないか」ってこと。高速安定性も悪くないし、レーンチェンジだってフラつきをしっかり抑えている。散水したハンドリング路でペースを上げ気味に走っても「意外にイケる」という印象だ。前席に乗っている限りは静粛性もかなり高く感じられた。
「これ以上良くなっているってホント?」と少し斜に構えつつ新商品プロクセスLuKⅡにチェンジ。正直なところドライでは大きな違いは感じられなかったのだが、ウェットのハンドリング路では驚いた。しっかり性能が高まっているのだ。
同じように走ってみても、スタビリティコントロールの介入の仕方が違う。旋回中の急ハンドルやハンドルを切りながらの急ブレーキ操作時など、明らかに新商品の方が介入タイミングは遅く、つまりよりグリップしているということになる。そしてしっかり接地している感覚が、安心感に直結するのだ。
雨の日はよりスリップしやすく、そのため事故も起きやすい。そこでより踏ん張れる性能を手にしたプロクセスLuKⅡは、従来品に対して安全性を高めた商品と言い換えてもいい。
ところで、どうして新商品はブランドを変更したのか。トーヨーによると「高価格の軽自動車が増えてきたので、プレミアムブランドとすることでそれらに見合うイメージへシフトした」のだとか。なるほど。

専用構造にフレキシブルテーパーを採用したパターン設計








日本カー·オブ·ザ·イヤー選考委員。
STYLE WAGON(スタイルワゴン) 2025年6月号 No.354より
