中日電熱は、家電や厨房機器などの電熱ヒーターを事業の柱としてきた会社。その得意とする電熱ヒーターの技術を来るべき電気自動車時代に向けて訴求したのが、バッテリーの昇温回路機器である。
バッテリーというと急加速時や急速充電時などの冷熱に目が向きがちだが、リチウムイオン電池は低温にも弱く反応が悪くなってしまう。中日電熱はこれを「シーズヒーター」によってバッテリーパック内の冷却水を温めることでセル内の電解液温度を昇温し、活性化させることを考案した。
自動車で用いられる電熱器というとPTCヒーターを想像するが、シーズヒーターはこれに比べてシンプルで安価、形状の自由度が高いという長所を持つ。一方で温度の立ち上がりはPTCヒーターが優勢。中日電熱は、これまでの家電/厨房機器で実績のあるシーズヒーターを用いることで、バッテリーパックの高効率化を図った。自動車業界に目を向けたのは、圧倒的なボリュームの差。また、ヒーターケースのキャスティングも自社で生産できるという。
バッテリーの昇温という、これまで目を向けてこなかった分野への、同社からの新しい提案である。