中日電熱:バッテリーを温める必要性とその技術[人とくるまのテクノロジー展 2022 NAGOYA]

バッテリーを温める、という技術もこれからは必要になってくるかもしれない。そのためのユニークな手段を提案しているのが中日電熱である。

中日電熱は、家電や厨房機器などの電熱ヒーターを事業の柱としてきた会社。その得意とする電熱ヒーターの技術を来るべき電気自動車時代に向けて訴求したのが、バッテリーの昇温回路機器である。

バッテリーというと急加速時や急速充電時などの冷熱に目が向きがちだが、リチウムイオン電池は低温にも弱く反応が悪くなってしまう。中日電熱はこれを「シーズヒーター」によってバッテリーパック内の冷却水を温めることでセル内の電解液温度を昇温し、活性化させることを考案した。

ヒーターユニット内に収まるシーズヒーターの様子。アルミの筐体内に鋳込む格好で備わる。

自動車で用いられる電熱器というとPTCヒーターを想像するが、シーズヒーターはこれに比べてシンプルで安価、形状の自由度が高いという長所を持つ。一方で温度の立ち上がりはPTCヒーターが優勢。中日電熱は、これまでの家電/厨房機器で実績のあるシーズヒーターを用いることで、バッテリーパックの高効率化を図った。自動車業界に目を向けたのは、圧倒的なボリュームの差。また、ヒーターケースのキャスティングも自社で生産できるという。

装着イメージ。赤矢印で示したのが開発品の位置。

バッテリーの昇温という、これまで目を向けてこなかった分野への、同社からの新しい提案である。

このほか、車載用透明導電膜の提案品も展示されていた。導電性の透明膜を温めることで、面で曇りや凍結を解消する提案。従来の電熱線に対して、有効視界の広さが期待できる。たとえばサイドミラーとサイドウインドウが両方水滴で見えない、などというときに役に立ちそうな印象を受けた。

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