毎日うんざりするほどの酷暑に見舞われる日本列島。そんなときだからこそ「日差しを吸収して、車内の温度上昇を抑制」というキャッチはいかにも有効だ。
住化ポリカーボネートが開発した熱線吸収ポリカーボネート・SDポリカHAシリーズは、ポリカーボネート内に近赤外領域の波長エネルギーを吸収する物質を練り込んだ構造。これを含めたものは、従来可視光透過率やHaze(透明度)に劣るのが悩みだったが、本開発品ではこれらの性能を高めることに成功した。具体的には、一般的なポリカーボネートの可視光透過率89.9%/Haze0.4%に対して、開発品では77.9%/0.7%を実現した。
手をかざしてみると、一般品の熱の伝わり具合に対して、開発品は熱くない。ではその熱はどこにいったのかというと、ポリカーボネート自体が蓄熱している。実際、表面は開発品のほうが温かく感じる。
透過率の数値からすると、フロントウィンドウやサイドグラスへの適用には課題が残るものの、たとえばルーフグラスやバックウインドウへの適用には期待ができそう。吸収物質を多く含めばそれだけ吸熱性能は上がり断熱性が高まるが、透過率と透明度に難が出てくるという。なお、すでに電動ゴルフカートのルーフへの採用実績がある。