カーボンニュートラル社会を実現していく上で、水素は重要な役割を果たすことが期待されている。旭化成は、NEDO事業※1の一環として福島水素エネルギー研究フィールド(FH2R)にて世界最大規模の10MW級アルカリ水電解システムを開発するなど、水素製造技術の実用化開発に取り組んできた。また、日揮HDは、内閣府「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)事業※2」を通じて、CO2フリー水素を活用したアンモニア製造技術の開発に取り組んできた。
両社は、これまでに長期にわたり培ってきた水素関連技術を基に、その社会実装をより早く、より確実なものとするため、本プロジェクトにて、100MW級※3を見通した大規模アルカリ水電解システムおよび、再生可能エネルギー由来の水素を原料としたグリーンケミカルプラントの実証に共同で挑戦する。
大規模アルカリ水電解システム開発では、FH2Rでの開発成果を要素技術開発にフィードバックするとともに、アルカリ水電解槽を並列設置するモジュール化技術を導入することで、安全性・耐久性・性能・コストの面で市場要求に適合した数十MW級のアルカリ水電解システムの実証および実用化に取り組む。
グリーンケミカルプラント開発においては、変動する再生可能エネルギー由来水素を原料としたプロセスにおいて、水素供給量を制御し運転最適化を実現する統合制御システムを旭化成と日揮HDで共同開発する。さらに、統合制御システムを活用し、グリーンアンモニアなどの化学品の合成プラントのフィージビリティ―スタディ(FS)※4および技術実証に取り組む。
また、グリーン水素やグリーンケミカルのサプライチェーンを構成する企業に本プロジェクトに参加を願い、社会実装における便益や課題を抽出することで、事業化と市場創出を加速していく。2021年度中に、三菱商事およびJERAに委託企業が参加する計画。
本プロジェクトの技術開発項目と分担
1) アルカリ水電解システムの大型化・モジュール化技術開発(旭化成)
2) 大型アルカリ水電解槽向け要素技術開発(旭化成)
3) グリーンケミカルプラントのFSおよび技術実証(旭化成、 日揮HD)
※1) NEDO事業「水素社会構築技術開発事業/水素エネルギーシステム技術開発/再エネ利用水素システムの事業モデル構築と大規模実証に係る技術開発」
※2) SIP事業「エネルギーキャリア/CO2フリー水素利用アンモニア製造・貯蔵・輸送関連技術の開発」
※3) 一般家庭約20万世帯分の平均消費電力に相当
※4) Feasibility Study:プロジェクトの実現可能性を事前に調査・検討すること