アウディ、ドイツ・ベーリンガーホフ拠点の組立ラインにローカルサーバー「EC4P」を導入

アウディは昨年2022年7月からドイツ・ベーリンガーホフ拠点において、ITベースのファクトリーオートメーションの新しい手法として、ローカルサーバーソリューション Edge Cloud 4 Production(EC4P)のテストを行なっている。ローカルサーバークラスターがアウディ e-tron GTクワトロ / RS e-tron GT、そして、アウディ R8の2つの生産サイクルで、作業者のサポートシステムを制御するというものだ。

生産ラインにローカルサーバーソリューションを導入

アウディはこの試験運用を経て、2023年7月にEC4Pを生産ラインに導入する。アウディは、サイクルに基づく生産において、演算処理システムを集中型サーバーソリューションに配置した最初の自動車メーカーとなる。ベーリンガーホフの生産サイクル18と19では、PoE(Power over Ethernet)に対応した端末(シンクライアント)を使用して、インテリアパネルの取り付けとアンダーボディの作業が行われる。これらの端末デバイスは、LANネットワークケーブルから電力が供給され、ローカルサーバーからデータを取得する。

将来的にはソフトウェア制御による柔軟で拡張可能なサーバーソリューションが、メンテナンスに手間のかかる産業用PCを使用した分散型制御システムに代わるものになる。EC4Pにより、アウディは生産ラインに必要な演算能力を備えたシステムを、ローカルデータ処理センターに配置できるようになる。アウディは、この生産現場における初の適用例に加えて、Audi Production Lab(P-Lab)の他のケースにもEC4Pを採用している。

アウディは年末までに、36サイクルすべての作業者サポートシステムを、サーバーベースのソリューションに切り替える予定としている。サーバークラスターのアーキテクチャーは、大規模な運用環境でEC4Pを迅速に拡張できるように設計されている。

学習環境としてのデジタルファクトリー変革

アウディは、「オートモーティブ・イニシアティブ 2025(AI25)」の一環として、フラウンホーファー産業工学研究所などのパートナーと協力して、デジタルイノベーションが労働環境にどのような影響を与えるかを研究している。AI25は包括的なアプローチにより、テクノロジー、人材、生産活動のデジタル化を推進するという、アウディのミッションの実現を目指している。

最初の適用例の1つは、アウディのドイツ拠点において、さまざまな電気機器を制御することである。組立工程でEC4Pの機能が確認されれば、さらに具体的なステップとして、車体製造の自動化設備で、これまでハードウェアベースで行われていたプログラマブルロジックコントローラー(PLC)を、サーバーソリューションが引き継ぎ、監視することになる。プロジェクトチームは、インゴルシュタットのEC4Pプロジェクトオフィスで、3社と協力してソフトウェアの開発とテストを行なっている。

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