三菱重工が遠隔状態監視サービス「ΣSynX Supervision」を三菱重工デジタルイノベーションブランドにて新たに提供

三菱重工業は、プラントや交通システムなどといった社会インフラの運転・保守を総合的に支援するデジタルサービスプラットフォーム「optimaX(オプティマックス)」の提供を通じ、小型CO₂回収装置などへの遠隔状態監視システムの実装や各種ソリューション機能の開発・強化を進めてきた。このたび同プラットフォームは、三菱重工が掲げるデジタルイノベーションブランド「ΣSynX(シグマシンクス)」の1つである「ΣSynX Supervision(シグマシンクス スーパービジョン)」へとブランド名称を統一することが発表された。

小型CO2回収装置「CO2MPAC」への導入

コンパクトで汎用性の高いモジュール化を実現した小型CO2回収装置CO2MPACTは、バイオマス発電所やごみ焼却工場、ガスエンジン設備やセメント工場といったさまざまな産業セクターから排出される排ガス中のCO2を回収する実証試験を国内外で展開されている。CO2MPACTにはΣSynX Supervisionによる遠隔状態監視を行う機能が搭載可能であり、収集したビッグデータをAI(人工知能)や機械学習技術を用いて分析し、異常の予兆検知や早期発見技術などの開発も進められている。

三菱重工の横浜ビルをはじめとした拠点でCO2MPACTの運転状況が確認できるほか、拠点からの遠隔操作により設備の自動起動・停止操作が可能。緊急時には原因の早期発見などにも活用でき、保守やメンテナンスに要する顧客負担を軽減する。ΣSynXは、デジタルを通じて人と機械が協調するために知恵と技術を結集し、「かしこく・つなぐ」ことが表されている。

■主な特長

  • 設備およびプロセスのリアルタイム遠隔状態監視:
    設備の稼働状態を遠隔から監視できる仕組みが構築された。現地や遠隔監視拠点で設備状況をリアルタイムに把握できるほか、収集したデータを基に設備やプロセスの状態を把握し、さらに予兆検知技術などと組み合わせることで安定運転をアシストする。将来的にはCO2回収プラントへの導入も検討されていく。
  • 遠隔運転操作:
    遠隔監視拠点から設備の起動・停止などの運転操作が可能な仕組みが実装されている。
  • 運転・保守履歴管理:
    運転・保守履歴情報を三菱重工と顧客で共有できる仕組みが提供されている。

交通システムへの導入

交通システムの当社試験車両を対象とした遠隔状態監視技術の開発が完了し、三菱重工が三原製作所和田沖工場内に保有する総合交通システム検証施設(MIHARA試験センター)での実証試験や、国内外の顧客の実車両への試行搭載を通じて有効性などの検証が進められている。

【主な特長】

  • 走行車両のリアルタイム遠隔状態監視:
    センサーや車両統合制御装置を通じて収集した車両振動・加速度・温度などの各種データを収集・可視化・分析可能とするシステムを構築。これにより、遠隔からリアルタイムで走行車両の状態を監視することが可能となる。さらに予兆検知技術などと組み合わせることで安定運転をアシストする。
  • 保守記録、故障履歴データの統合管理:
    三菱重工および顧客が現地のO&M(Operation and Maintenance)拠点などで収集した各種データを一覧可能にする統合マネジメント基盤が提供される。また、データ分析機能により、保守工数や部品交換頻度の適正化の検討が可能な環境が提供される。
小型CO2回収装置や交通システムからの各種データをリアルタイムに収集し、設備の状態を分析・診断

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