三菱造船、商船三井:液化CO2輸送船のコンセプトスタディーを完了、船舶によるCO2輸送技術の開発を促進

三菱重工グループの三菱造船は、商船三井と実施していた液化CO2輸送船(LCO2船)に関するコンセプトスタディーをこのほど完了した。液化ガス輸送船(LPG・液化石油ガス輸送船、LNG・液化天然ガス輸送船)建造で蓄積した三菱造船の高度なガスハンドリング技術と、多種多様な船舶の運航に関する商船三井の豊富な知見を統合し、グローバルに需要拡大が見込まれる船舶によるCO2輸送技術の開発を促進する。

 CO2を回収して転換利用や貯留を行うCCUS(Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage)は、カーボンニュートラル社会を実現するための有効な手段として注目されており、そのバリューチェーンにおいてLCO2船は、液化されたCO2を貯留および利用する拠点まで輸送する役割を担うものとして、将来的な需要の拡大が期待されている。

 三菱造船は、三菱重工グループが戦略的に取り組むエナジートランジション(低環境負荷エネルギーへの転換)の一環として、LCO2船の開発とその事業化を積極的に推進しており、これまでの液化ガス輸送船建造で培った技術や知見を結集し、海洋システムインテグレーターとして海の脱炭素化実現を目指している。今回の協業は、CCUSバリューチェーンにおいて欠かすことのできないCO2輸送分野で、CO2エコシステムの構築に大きく寄与することが期待される。

 商船三井は2021年3月、欧州で産業向けLCO2船を30年以上管理するラルビック・シッピング社への出資により、液化CO2海上輸送事業に参画している。今回の協業は、商船三井がこれまで培ってきた安全運航の知見とラルビック・シッピング社のノウハウおよび実績を統合し、顧客ニーズに沿ったLCO2船の実現に向けて検討を実施したもの。

キーワードで検索する

著者プロフィール

Motor Fan illustrated編集部 近影

Motor Fan illustrated編集部