連載

【CarGoodsMagazine】

ひと足飛びで高みを目指す最新プレミアムタイヤの宿命

三世代続いたVRXシリーズに代わり、新たにWZシリーズの創出へと舵を切ったブリザック。製品の企画から設計、商品性の確立まで、一気通貫でモノ作りに当たる要役・中田氏にその舞台裏を聞いた。
「そもそも従来モデルのVRX3も、氷雪上の性能はかなり高いレベルにありました。それに代わる新たなシリーズだけに、はなからかなり高い所に目標が設定されていました。一般のお客さんは買い替えで乗られる方が多いので、比較して『ちょっといいかも』では駄目なんです。明らかでないと」

とりわけフォーカスされたのは氷上性能だ。元々滑りづらさに定評があったVRX3の氷上性能をさらに高める。その考え方はこうだ。
「氷上のなかでも、ただ凍っているという場面よりかは、解けるか解けないかの微妙な温度帯の所で、氷の上に水が浮いてさらに滑りやすくなるような路面が世の中にたくさんあることが分かってきました。どうしても気候変動などで、雪が降る頻度が減ってきているだとか、気温が少し高めで0度付近になっている要因もあり、より様々な路面に対応できないといけません」

特定性能のレベルアップを果たすだけに話は終わらない。
「どんなに滑りやすい路面でも確実に止まることができるとか、曲がることができる、さらに高い次元でICEコントロール性能を発揮するようなタイヤを一番に掲げて開発しています」

プレミアムタイヤはさらに多くの命題が課せられる。
「スタッドレスタイヤは夏タイヤよりもウェットに弱いっていうようなところは言われていまして、技術的にもここは氷雪上性能と相反する性能ではあるんですけど、ウェットの性能も上がっているんです」

話はサステナビリティにも。
「時代は確実に省資源の方向に向かっています。2〜3年ではなく4〜5年使っていただけるようにするなど、ゴムの経年劣化をできるだけ食い止めて長いシーズン使うことができるような観点もこの製品の中には入っています」

かなりの難題ながら、このところの新型タイヤと同じく、本製品にも商品設計基盤技術『エンライトン』が搭載されており、無数の要素技術を採り入れることができたのも大きい。
「1個1個の要素が技術開発の賜物になってくるんですけれども、それぞれ良かったからといって、そのまま組み合わせてもうまくいかない場合があります。逆に、組み合わせた時に思いがけずにある性能が上がってきたりと、なぜそれが起きたのかという技術的なメカニズムを紐解いていき、最適な組み合わせを見つけるようなプロセスに注力しました」

プレミアム製品のモデルチェンジは、全ての面で既存製品を上回ることが必要になる。この点こそが難しい。
「何かを得るために何かが犠牲になるというのが、ある意味現有の技術です。それぞれの性能を両立し、さらに高めるには、ブレイクスルーがないと厳しい。こういったプレミアム商品は、どうしてもかなり高い目標が設定されます。だからこそ技術のブレイクスルーが生まれ、その結果として新製品が出る形になってくるのかなと思います」

株式会社ブリヂストン
タイヤ開発第3部門
ウィンタータイヤモジュール設計課
中田達也 氏
BRIDGESTONE『BLIZZAK WZ-1』
乗用車用スタッドレスタイヤとして初めて、商品設計基盤技術「ENLITEN(エンライトン)」を搭載。タイヤそのものの基本性能を底上げしつつ、究極のアイスコントロール性能をも獲得している。
「限界を引き上げた分だけ
懐が広くなるような商品に
仕上がっています」

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