連載
今日は何の日?■人気コンパクトミニバンのウィッシュをモデルチェンジ

2009(平成21)年4月2日、トヨタは2003年に誕生した7人乗りのミニバン「ウィッシュ」の2代目を発売した。5ナンバーサイズの車高の低いスポーティなミニバンとして大ヒットしたウィッシュだったが、2代目が登場した頃には背の高い実用性重視のミニバンが人気となったことで人気が下降。ウィッシュはこの2代目で生産を終えた。
ホンダのストリームに対抗したトヨタのウィッシュ
1991年に起こったバブル崩壊によって、市場の関心はそれまで人気だったセダンやクーペから、RVやミニバンへとシフトした。特に、1994年10月にデビューしたホンダ「オデッセイ」は、乗用車のような車高の低いスタイリッシュなミニバンとして人気を獲得。続いて2000年10月にデビューした5ナンバーのコンパクトミニバン「ストリーム」は、コンパクトながら3列7人乗りの室内空間を実現し、扱いやすいコンパクトミニバンとして若年ファミリー層から高い支持を獲得した。

トヨタは、ストリームに対抗してコンパクトミニバン「ウィッシュ」を2003年1月に投入した。
ウィッシュは、基本的にはホンダのストリームと同じコンセプトで、低床で後席ドアはヒンジ式、車高を抑えたステーションワゴン風のスポーティなフォルムが特徴。シートは、3列配置の6名または7名乗り、セカンド・サードシートは分割可倒式で用途に応じてフラットで広いラゲッジスペースや多人数乗車が使い分けられた。

パワートレーンは、最高出力132ps/最大トルク17.3kgmを発揮する1.8L 直4 DOHC VVT-iと4速ATの組み合わせ。2003年4月には155psを発揮する2.0Lエンジンが追加された。駆動方式は、FFとアクティブトルクコントロール4WDが用意された。

ウィッシュは発売後すぐにストリームの販売台数を超え、ストリームの開拓した市場を奪取して、最初の1年間で約15万台を販売する大ヒットを記録した。
スマートマルチプレイヤーの2代目ウィッシュ

2003年1月のデビューから6年、2009年4月のこの日「ウィッシュ」が2代目にモデルチェンジした。2代目は、基本的には人気の初代のキープコンセプトで、ボディの大きさも同等。多様なライフスタイルに応えるべく、“ストレスフリーでスタイリッシュなマルチプレーヤー”を謳った。

初代の縦目から横目ヘッドライトとし、厚みのあるバンパーと相まってフロントマスクはクールなイメージに変貌。リアコンビランプも縦型から横型に変更され、低さと伸びやかさがいっそう強調された。またインテリアについては、インパネは個性的な2段構えとし、各段は飛行機の翼をイメージしたという楕円形で構成された。

3列シートは、7人乗りが2/3/2人で、2列目をキャプテンシートとした6人乗りも用意された。エンジンは、吸排気にリフト量も変更する“バルブマチック”可変バルブ機構を備えた144ps/17.9kgmの1.8L、158ps/20.0kgmの2.0L 直4 DOHCの2種エンジンと、7速マニュアルモード付きCVTの組み合わせで、両エンジンとも先代に比べて燃費が15%向上したとする。
車両価格は、2WD仕様で184万~209万円(1.8L車)/226万~248万円に設定された。



ミニバンの主役は、実用的な背の高いミニバンに移行
初代ウィッシュは、ストリームとまったく同じコンセプトでボディサイズもスタイリングも似通っていたが、ストリームの開拓した市場を簡単に奪取した。トヨタはストリームの市場評価を分析して、すべてにおいてストリームを少しずつ上回る、いわゆる“2番手戦略”で成功したのだ。

ところが、ウィッシュは2代目にモデチェンジしてから徐々に販売が失速して2017年に生産を終了した。ちなみに、ストリームも2014年に生産を終了していた。

ウィッシュの販売失速の理由は、市場が求めるミニバンが、より実用的でファミリー志向が強くなったことに関係している。乗用車のようなスタイリッシュさよりも、余裕のある室内の広さ(車高の高さ)や乗降のしやすさ(両側スライドドア)が必須アイテムとなってきたのだ。
・・・・・・・・・・
2010年以降、ファミリー層はスライドドアの背が高いミニバンまたは軽ハイトワゴンへ、若者層はSUVへと市場の要望が変わり、令和の現在もこの流れは続いている。ウィッシュとストリームは、この流れに上手く乗れずに淘汰されたのだ。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。


