技術屋の次なる一手!

ユーザーからのリクエストに応え開発に着手

プレッシャーリングに小型コイルスプリングを内蔵し、外側から内側へ押さえ付ける独自構造を採用する“オーエス技研”のスーパーロックLSD。

カム角だけでなく、内蔵スプリングのレートや本数によって、プレッシャーリングが開く=LSDが効き始めるタイミングを細かく調整できるのが特徴だ。一方で通常時はオープンデフのように振る舞うなど、他社製品とは一線を画す機械式(多板クラッチ式)LSDとなっている。

そんなスーパーロックLSDに、新バージョンの開発が進められている。きっかけは、ZN6/ZN8でジムカーナに参戦するユーザーからのリクエストだった。

「ジムカーナは速度域こそ低いですが、タイトターンの連続で駆動輪がインリフトする状況が多い。特にZN系はリヤの伸び側ストロークが短く、その傾向が顕著です。スーパーロックLSDはトルク感応型のため、片輪が浮くと差動制限が解除されてしまう。それを回避するには、初めからLSDが効いている状態、つまりイニシャルトルクを高めておく必要があります」と、同社代表の何森氏は語る。

片輪が浮いた際に差動制限が働かなくなる問題については、これまでも対策が講じられてきた。すでに製品化されているスーパーロックLSD「デュアルコア」だ。これは、内ヅメディスクが噛み合うサイドギヤのスプラインをヘリカル形状とすることで、左右輪に回転差が生じた際にもディスクとプレートを徐々に圧着させ、差動制限を発生させる仕組みとなっている。

しかし、ジムカーナユーザーの要求レベルはさらに高く、今回の新バージョン開発へとつながった。ポイントとなるのは、ディスクおよびプレートの見直しだ。

左:従来品/右:改良版

何森氏によれば、「ディスクとプレートに刻む溝の本数を増やしました。接触面積をあえて減らすことで面圧を高め、イニシャルトルクを強める狙いです。また、溝が増えたことでオイル膜の切れも良くなり、それもイニシャルトルク向上に寄与しています」とのこと。

ジムカーナに限らず、ラリーやダートトライアルなど、左右の駆動輪に大きなグリップ差が生じるシチュエーションでも性能を発揮できるよう、改良型スーパーロックLSDは開発が進められている。急ピッチで進行するこのプロジェクトだが、新型ディスク&プレートは、既存ユーザーにとってオーバーホール時のアップデートパーツとしての側面も持つ。イニシャルトルクの回復や仕様変更が可能になるというわけだ。

独創的な機構により、そもそもイニシャルトルクへの依存度が低いスーパーロックLSD。それでもユーザーの声に応え、さらなる進化を追求する。その姿勢こそ、技術屋としての誇りとプライドの表れと言えるだろう。

●取材協力:オーエス技研 岡山県岡山市中区沖元464 TEL:086-277-6609

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