連載

【CarGoodsMagazine】

現代のクルマのボディはサウンドに弱点が

カーオーディオを良くしたいと思ったとき、まず多くの人が考えるのはスピーカー交換だろう。だが実は、その効果をさらに引き出す方法がある。それが「デッドニング」だ。

デッドニングとは、スピーカーが取り付けられているドア内部に振動対策を施すこと。少し難しく聞こえるかもしれないが、要するに“スピーカーをしっかり鳴らせる土台をつくる作業”だ。
クルマのドアは、軽くて丈夫であることが優先されているため、鉄板は意外と薄く、内部には軽量化のための穴も多い。そこにスピーカーを取り付けると、音楽の振動がドア全体に伝わり、余計なビビりや共鳴が発生してしまうことがある。

ドア内張を外した状態。雨滴保護のため黒いシートが貼られるが、ここは軽量化のため大きな空間が空いている。そして前側に純正スピーカーが見える。下2箇所を爪で固定し、ネジは上部1本のみ。外してみるとスピーカーは驚くほど軽い。

せっかく良いスピーカーを取り付けても、土台が不安定では本来の性能を発揮できない。そこで役立つのが、オーディオテクニカのデッドニング用の「ドアチューニングキット」だ。今回はオートバックスのオーディオテーラーで、ケンウッドのKFC-XS 175Sへスピーカー交換を行いながら、同時にデッドニングを施工した。

ボディ側に丸型制振材(青)を貼りこみその上から吸音材を貼る。制振材はブチルとなっている。吸音材は協力粘着剤付き。ボディ側に丸型制振材(青)を貼り込みその上から吸音材を貼る。制振材はブチルとなっている。吸音材は協力粘着剤付き。

サウンドをベースから変えよう

作業はまずドアの内張りを外すところから始まる。最近のクルマは僅かなネジとクリップで固定されていることが多く、構造を理解すれば取り外し自体はそれほど難しくない。
内張りの奥には金属製のドアパネルがあり、ここにスピーカーが取り付けられている。施工では、このパネルの適切な位置に制振材を貼り、振動を抑える。またスピーカーの裏側には吸音材を入れ、不要な音の反射を減らしていく。さらに防水対策やビビり防止の処理も行なう。

「デッドニング」という言葉から大掛かりな作業を想像するかもしれないが、今回使用したスターターキットは入門向け。スピーカー交換と同時であれば、作業時間も大きくは変わらない。
施工車両はシビック・タイプR。もともと音質は悪くないが、よく聴くと低音がややぼんやりしている印象があった。

施工後は音の輪郭がはっきりし、低音は締まり、高音もクリアに伸びる。音が前に出てくる感覚が強まり、ステージが広がったように感じられる。スピーカーの性能がそのまま素直に出ている印象だ。
ポイントは、スピーカーを変えただけではなく、“鳴らす環境”も整えたことにある。スピーカーが演奏者だとすれば、ドアはステージ。そのステージが安定してこそ、本来の音が生きる。

スピーカー交換を検討しているなら、ぜひ一歩踏み込んでデッドニングも考えてみてほしい。決してマニア向けだけの作業ではない。むしろ、はじめてのグレードアップだからこそ、効果を体感しやすいメニューだといえる。

汎用バッフル(今回はケンウッド製)に装着するこのキットは、バッフルの内側に貼り込むが、これによってスピーカーを水滴から保護する役割ともうひとつ、インナーバッフル自体のビビり音を抑制。
スピーカー交換とデッドニングの完成。制振や吸音にはポイントがあり、一面に敷き詰める必要はないという。弱そうな部分、ビビりそうな部分を押さえ込むことが重要だ。今回インストールしたスピーカーはケンウッドKFC-XS175S。

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