KOVE・450RnduroRe(ローダウン仕様)

公道オフ車最強スペック
おさらいになるが、KOVEの新型、450EnduroReは120㎏の車重に47.5馬力を発揮するエンジン、フロント310㎜/リア290㎜のサスストロークを持つ超本格的オフロードマシンである。



基本的に同じエンジンを搭載するフルパワーのコンペ仕様はなんと61馬力で、これをユーロ5+に対応させるなどして公道仕様に仕立て上げた、という成り立ちだ。試乗できたのはまだプロトタイプであり細部の煮詰めは8月ごろを予定している発売に向けて行っている最中だろうが、ほんの味見となったそのプロトタイプの試乗だけでもその楽しさ、極端さ、ヤバさを十分に感じることができた。
KOVEといえばダカールレース参戦でも名をはせた450RALLYが有名で、実際日本国内でもこのコンペ志向の高いモデルが注目と人気を集めた。コンペモデル直伝の各種設定はこういった新進気鋭のメーカーならではのアプローチだろう。ただ450RALLYはあくまでラリーマシンであり、砂漠を全開走行しようという思想のモデル。対する450ENDURO Reはその名の通りエンデューロマシン。RALLYの42馬力/155㎏よりもだいぶスポーティに仕上がっている、エンジンから新設計した最新機種である。
シートの高さはハードルの高さ
プロトタイプに味見試乗できた経験からその思想はしっかり理解できたENDURO Re。ファーストインプレッションとしてはコンペモデル的ヤバさが最高に楽しい! というものと、これは初心者には厳しいよな、エキスパート向けだな、というものが同居した。
その「初心者に厳しい」の筆頭が960㎜というシート高だ。これだけシートが高いとさすがにライダーのウデや体格を選ぶだろう。筆者はウデは怪しいものの身長が185㎝のため足つき的には何とか乗ることができたが、エンジンの特性もコンペモデル的なのがまたハードルとなる。低回転域では一般的な市販車のような粘りがなく、アクセルを開ければ途端にガオッ!と吹ける過激な特性ゆえ、少しの操作ミスでエンストすることも珍しくない。そしてその時にパッと足を出して車体を支えることが難しいシート高なのだ。
そこで主に林道走行になるであろう国内市場での使い方を考えると「もう少し足つきが」となるのは自然の流れ。450RALLYではローダウン仕様が設定されたのだが、ENDURO Reではその設定がなく、ではKOVE JAPANで独自の設定をしましょう!となったわけだ。
マイナス50㎜はありがたい
日本独自のローダウン設定を設けるために、450RALLYのサスペンションセットアップでもタッグを組んだサスペンションのプロフェッショナル「テクニクス」に依頼。450RALLYももともとは砂漠でのハイスピード走行が想定されていたサスペンションを、国内の林道など、より低速域で使いやすいよう再セットアップするなど、両社の協力関係はすでに歴史がありKOVE製品へ、YU-ANサスペンションへの理解もすでに高い。
450ENDURO Reに施したローダウン作業は、ストロークのカットおよびリアはプリロードも変更、フロントはスプリングを強化タイプに変更。そして前後ともこの仕様変更に合わせて減衰関係をリバルビングするという内容だ。ローダウン仕様にするだけでなくフロントに強化スプリングが使われているのは、純正のサスペンションの時点でリアに対してフロントが頼りなく、前後のバランスがもう一つというKOVE JAPANとテクニクスによる分析があったから。こういったアプローチも450RALLYでサスセッティングを行ってきた経験に基づくもので、単なるローダウンではなく車体全体のバランスをしっかりと追及しているのだ。
そしてこの仕様変更により、960㎜という達人向けのシート高は50㎜マイナスの910㎜となっているのが何よりもうれしい。スタンダード仕様でもなんとか足がついていた筆者だが、こちらならば確かに足が付き安心感はグッと高まった。やはり特に低速域で走るときは足つきが重要だと再認識することとなったのだった。
林道仕様
足が付けるという安心感に包まれて走り出すと、ローダウン仕様なのにサスの動きの良さに気づかされる。特にリアはローダウン化されたことでリンク比の奥の方を使えているような印象で、むしろ良く動いて安心感も高い。またその領域でダンピングもよく効いていて後輪のトラクション感を得やすく思えた。
スタンダード仕様ではひらけた場所でアクセル全開で路面をかきむしりながらすっ飛んでいくのが楽しかったが、こちらのローダウン仕様ではちょっとトリッキーな登り降りなどにもチャレンジさせてくれる。これはまさに日本の林道やストリートで活きる味付けだろう。スタンダード版のインプレッションでは「素晴らしく楽しいが、一体どこでこのポテンシャルを満喫できるのだろう」というジレンマも書いたが、このローダウン仕様ならばより幅広いシチュエーションで450ENDURO Reの楽しさにアクセスできそうである。
価格はスタンダード+12万円
このローダウン仕様はあくまで日本国内で独自に展開するものであり、本国からローダウン仕様が提供されるわけではない。また単なるローダウンではなく、同時に日本での仕様状況に合わせた再セットアップも含まれていることもあり、スタンダードモデルに対して12万円アップという価格設定となった。
サスペンション本体が変更されるわけではないが、テクニクスによるローダウン&再セットアップ料ということになる。12万円と言われると安くはないかもしれないが、しかしスタンダード版と乗り比べたところ、林道など公道シーンで使うならば、足つき含めやはりこのローダウン仕様の方が良さそうだ。そして車両本体が100万円前後で発売になれば、ローダウン仕様としても112万円とそれでもまだ十分リーズナブルである。
こうして日本国内ニーズに合わせて小回りの利いた対応ができるのも新興メーカーならではの魅力。450RALLYが多くのオフファンを惹きつけたと同様に、KOVE JAPANはENDURO Reでもまた、新規ファンを獲得していきそうである。
足つきチェック
ローダウン車



プラス12万円にて提供される、テクニクスと共同開発したローダウン仕様。シート高は910㎜へと50㎜下げられた。最低地上高はスタンダード仕様の285㎜から235㎜へと減っている。足つきは参考までに。(ライダー身長185㎝)
スタンダード車




こちらはスタンダード仕様の、同様に真横からの写真である。フロントタイヤとフェンダーの隙間、リアタイヤとサイレンサーの隙間を見れば、かなり大きなローダウンとなっているのがわかる。なお足は真下に降ろすとステップが邪魔して接地点が外に開いてしまうため、あえてステップの後ろに足を降ろすといい。
ディテール解説(ローダウン車)

ストロークをカットしたうえでスプリングを強化タイプに変更したフロントサス。もともとリアに対してプアだったとのことで、KOVE JAPANとテクニクスが450RALLYで得た知見をもとに国内での使用を想定したセットアップとしている。

リアサスは純正のYU-ANサスを再セットアップ。減衰もリバルビングを施している。リンクは純正のままで、乗った感じはより奥を使えているような印象。

車高が下がったことに対応して、スタンドは短く切り詰められて納車される。このローダウン仕様は車両価格プラス12万円で提供される予定だ。

パワフルなエンジンを活かして全開走行ができる場面ではスタンダード仕様でも楽しかったが、低速での小回りやトリッキーなアップダウンのあるような場面ではローダウン仕様の足つきの良さは心強かった。国内の公道で使うなら林道がメインになるだろうことを思えば、ローダウン仕様の方が自然な選択肢である。

コンペ志向の高いオフロード車だとどうしても不整地での性能を謳いがちだが、公道で乗るならば舗装路を走ることも多いはず。そしてこういった本気度の高いオフ車をストリートで乗るのもまたカッコいい。そんな一般交通の中で走ることを考えても、足つきが良いに越したことはない。
コンペモデル MX250Rもスタンバイ中

450ENDURO Reのスタンダード仕様およびローダウン仕様の試乗日に、同時に用意されていたのがモトクロッサーのMX250Rである。こちらは完全にコンペモデルであり公道走行は不可なのだが、MFJ公認車両でありレース参戦が前提の人にアピールする。
MX250RはHC700高強度鋼材を使用したダブルクレードルフレームにアルミサブフレームを組み合わせた構成。エンジンは40.8馬力を発するDOHCである。250㏄クラスとしてはコンパクトな車体設計もアピールポイントだ。
先代は末尾に「R」が付かない「MX250」という車名だったが、この度フロントフォークにKYB製を採用し、ステムとハンドルポストをアルミの削り出しに、そしてエギゾーストをチタンとすることで4㎏の軽量化。車重はなんと97㎏となった。
残念ながら当日の試乗はかなわなかったものの、着実な進化を続ける79万9000円のこのモデルは競技志向のライダーから熱視線を浴びそうである。


残念ながら今回は試乗が叶わなかったが、モトクロスレーサーのMX250も「R」へと進化し、実車を見ることができた。もともと軽量なレーサーが4㎏もダイエットしたというのがトピックだ。MFJ公認車両。価格は79万9000円。

フロントフォークにKYB製を新たに採用。リアはこれまで同様にYU-AN製。


DOHCエンジンは40.8馬力を発生し、SPORTとECOなモード切り替えも搭載。極太で管長のあるエキパイがトルクフルな特性を連想させる。

排気系をチタンとしたことがマイナス4㎏という大幅な軽量化に貢献。サイレンサーにはわざわざTITANIUMと刻印されており、そして排気口のデザインもまたスタイリッシュで高級感にあふれる。
主要諸元


