スクーターにもジワジワきてる絶版車ブーム
イケイケドンドン。HY戦争からバブル景気を迎え、空前のバイクブームとなった80年代。原付スクーターの世界も大賑わい。若者はもちろんのこと、お買い物に使う主婦層や通勤に使うお父さんに向けて、よりパワフルで、よりスポーティで、より便利なモデルが毎年のように発売された。
高校生はクラスで雑誌を広げ、あーだこーだとバイク談義に花を咲かせるのが日常で、ニューモデルが出たと言っては一喜一憂。ヘルメット着用が義務付けられても、メットイントランクの開発でかえって便利になり、50㏄の原付市場は成長を続けたのである——。
「そんな時代もあったよね」と歌ったのは中島みゆきだが、そんな時代を懐かしむ人たちを中心に、80〜90年代スクーター市場がひそかに熱い。実用車から前衛的なモデルまで、それぞれの個性が魅力を放っていたあの頃のスクーターを求める人が増えているという。
しかし! 忘れてならないのは80〜90年代となると、どのモデルも20年以上、ヘタすると30年以上も昔のものだってこと。原付スクーターは乗り捨て御免の時代だったから、大事にされなかった個体も多い。市場にはビンテージ級からポンコツ、部品取り車まで入り混じっているのだ。
失敗しないためにも、程度を見極める知識を得てから愛車を選ぼう。チープでディープな楽しい絶版スクーターライフは、すぐ目の前だ!
極意その1▶︎まずは見た目が大事!
ずばり! 純正新品や代替品が手に入らない外装パーツがキレイな個体を選ぶこと。外装が割れていたり、穴が空いていたりするものには手を出しちゃだめ。逆に外装だけでもキレイだったら、ドナー車として買いたくなるほど。外装をキレイにするのはとにかく大変だから、買ってからいつまで経っても見た目はボロボロってことにもなりかねない。エンジンが好調でも外装がダメなら見送るべきかな。また、赤系やキャンディカラーは色があせやすく、補修するにも手間がかかるってことも頭に入れておこう。白や黒の外装は補修も比較的簡単だし、維持するのが楽だよ。買うか否か、決め手の5割が外観だと思うべし。
極意その2▶︎メットイン無しに良車多し
スクーターにメットイントランクが導入されると、メットイン無しスクーターは人気と中古車価格が暴落。ちょっとボロい個体とかは、それでも欲しい発展途上国なんかに輸出されちゃった。実用性が低いから、単なる日常のアシとして乗っていた人なんかはボロくなると捨てちゃったり、放置して風化させちゃったりってことも多い。そんな時期を乗り越え、愛好者たちに大事にされて、現在は趣味の乗り物になっちゃった。だから売りに出るようなものは程度がいいことが多いんだよ。まあ、タマ数自体は少ないけどね。専用エンジンであることが多いから、流用パーツが少ないので、エンジンも好調なものを選ぼう。
極意その3▶︎お買い物仕様が吉
オプションのフロントバスケットやリヤキャリアなど、お買い物仕様の装備が装着されている個体はヤンチャな遊びをされていないから、程度のイイことが多いよ。これまでの経験上、スクーターを買い物に使う女性は、ちょっと壊れたり、異変を感じたりしたらバイク屋さんに持ち込むんだよね。ズボラなオジサンに乗られていた個体よりよっぽど安心だね。リヤキャリアはあれば便利だし、フロントバスケットはいらなきゃ外しちゃえばいいんだから。
極意その4▶︎実車を見ずに買うな!
インターネットオークションが世に現れてから、見ず知らずの人から実車を見ずにバイクを買うという人を見かけるようになった。信用できるお店だったり、新車だったり、はたまた車両が激安で宝くじ感覚で購入するって場合はそれでもいいかもしれないが、基本的には必ず実車を見て、触って判断すること。インターネットに掲載された写真から傷が増えていることもあるし、何より全く違う車両だったなんてこともある。とくに販売車両の紹介文すらろくに書けないような相手から購入するのは言語道断。掘り出し物があった試しはない。
極意その5▶︎前後左右に押し引きすべし!
実車を見に行ったら必ず車体を押し引きさせてもらうこと。前後のブレーキは引きずる場合やヘタをするとリヤホイールが固着して回らないなんてこともある。また押し引きすればフレームのゆがみなんかも判別しやすいし、ハンドルの切れ角が左右で同じかどうかも確かめられる。ドラムブレーキがきちんと調整できるかどうかも重要だ。
右/ドラムブレーキの調整ネジがきちんと回るか、回った上で調整ができるかも必ずチェックする。左/前後左右に押し引きして、前後ブレーキをかけたりフロントフォークを沈ませたり、違和感がないかを確認する。
極意その6▶︎キックペダルを手で下ろす
エンジンが始動できるか確認できない車両は手を出さない方が良いが、希少車が見つかったりした場合はそうも言っていられない。そのようなエンジンがかけられない場合でも、必ずキックペダルは下ろしてみること。まずは手で下ろしてみて、クランキングできるかどうか、固さを確認してみること。手でクランキングできるようなら、そのエンジンが生きている可能性は上がる。キックペダルが下りないようなら水没している可能性もある。エンジンのオーバーホールは手間もコストもかかってしまうので、確認をおこたることなかれ。
極意その7▶︎鉄のタンクに注意せよ!
シート下に燃料タンクがある場合は、タンク自体が強度部材になっていることもあって材質が鉄であることが多い。もし鉄の燃料タンクだったら、外部も内側も錆びていないか必ずチェック! 錆びて腐っているのは論外だが、簡単に落とせそうなサビなのかどうかも見極めが必要になる。キャブなどの燃料系にまで回っている可能性も否定できないため、大ごとになる場合もある。もちろん樹脂タンクの場合はそんな心配はナッシングだ。
極意その8▶︎タイヤは必ず新品に交換!
ガチガチの当時モノ主義者が展示用に使うのでもないかぎり、カチカチの当時モノタイヤでの走行は絶対ダメ。命がいくつあっても足りない。タイヤは生き物なので、きちんと乗って走り回るなら必ず新品に交換するべき。もちろんチューブもね。また鉄のホイールは内側のリム部分がサビて、そのサビがチューブに刺さることもある。パンク修理剤でタイヤとチューブが完全にくっついてるって場合まであるんだ。だから一度タイヤを外して、サビの状態を確認するのは必須。同時にタイヤとチューブも交換するのがいい。とにかく走り出す前に必ずタイヤとチューブとホイールの状態を確認することだ。
極意その9▶︎カスタム車は避けろ
普通の中古バイク選びでも同じだけど、ヘタにタイヤをサイズアップしていたり、キャブが交換されていたりといったカスタム車はなるべく避けよう。
極意その10▶︎輸入車は専門店で!
80-90’Sの輸入スクーターはおしなべて整備性が悪いので、普通の人は手を出さないほうがいい。相当の思い入れがある人のみ専門店で購入して乗るものと知るべし。

【SHOP INFO】 TDF 津田さん
☎045-786-0404(留守電対応)
125cc以下の原付旧車への造詣が異常に深いショップ。スクーターやミッション車、メジャー&マイナー車を問わず、車両探しからレストア、カスタムに対するアドバイスなどなど何でもござれ。代表の津田さんが詳しく優しく相談に乗ってくれる
※この記事は月刊モトチャンプ2018年11月号を基に加筆修正を行っています。






