色で魅せるネオレトロ…ヤマハ新型「XSR155」の洗練された3つのカラーリングと、デザイナーが込めたこだわり

5月13日、ヤマハは“ネオレトロ”を標榜するXSRシリーズで初となる軽二輪モデル「XSR155」を発表した。発売は6月30日から、価格は53万9000円に設定されている。

レトロな外観と最新のパフォーマンスを調和させたXSRシリーズは、今年で10周年を迎える。長らくXSR900およびXSR700といった大排気量モデルがラインナップの中核を担っていたが、2023年からは原付二種のXSR125も加わり、より幅広いユーザーから支持されるシリーズとなっている。そして今回登場したXSR155は、125ccと変わらない身軽さを保ちつつ、エンジンの排気量を155ccへ拡大することで、高速道路も走れるモデルとして導入された。

ヤマハXSR155

XSR155の商品コンセプトは、「ファッショナブルと乗って楽しいの二刀流」である。日常シーンでもおしゃれに乗ることができ、通勤・休日を問わず行動範囲を広げたい層がターゲットだ。

若者のクルマ・バイク離れが囁かれる昨今だが、若年層(10〜20代)の二輪免許取得者は2020年前後に増加し、今でも年間15万人前後をキープしている。そうしたビギナーライダーに対するエントリーバイクとしても、XSR155はピッタリな1台になりそうだ。

ヤマハXSR155

「シルバー」「ブラック」「グリーン」の3色それぞれがレトロとモダンの融合を表現

XSR155の車体デザインは125cc版と基本的に共通だが、こだわり抜かれているのがカラーリングだ。手掛けたのは、オートカラーアウォード2025でグランプリを受賞したヤマハYZF-R3/YZF-R25も担当したカラーデザイナー、溝越万莉さん(クリエイティブ本部プロダクトデザイン部)。溝越さんから見たXSR155の魅力はどこにあるのだろうか。

溝越万莉さん(クリエイティブ本部プロダクトデザイン部)
優れたモビリティのカラーデザインを顕彰する制度「オートカラーアウォード2025」でグランプリを受賞したYZF-R25(写真)/YZF-R3。ベースのマットパールホワイトは、ホワイトとブルーの2色の偏光パールを組み合わせた挑戦的なカラーだが、「『一目ぼれの方程式』というテーマを的確に体現し、デザイナーが企画段階から深く関わったというプロセスが完成度の高いデザインを生み出している」と高く評価された。

「レトロとモダン、この相反するふたつの価値を組み合わせているところにあります。これを組み合わせることによって、双方の魅力が際立ち、より一層自由で遊び心のあるスタイルを確立しています」

ストロングでタフなのに、エレガントでリラックスできる。変化する時代の中でも、ゆとりをもって遊び心を楽しむことができる1台が、XSR155だという。そのカラーデザインにおいては、XSR125よりも「自由で楽しい感じ」を強調したいとの思いがあった。そこで用意された車体色が、「シルバー」「ブラック」「グリーン」の3色だ。

XSR155のカラーは「シルバー」「ブラック」「グリーン」の3色。

「シルバー」のコンセプトは『Quality of Metal ー質感で語る、オーセンティックー』。カスタムマインドを刺激するメタル感を表現している。ライトブルーイッシュグレーメタリックとマットブラックを組み合わせ、ネオクラシックらしい本物感・重厚感をアピール。ターゲットの嗜好に合わせて、ややダークトーンとしているのも特徴だ。

XSR155(シルバー)
XSR155(シルバー)

「ブラック」のコンセプトは『Simple Dark Quality ーファッションを引き立てる強さー』。ダークトーンとすることでライダーがウェアを合わせやすい仕立てとなっているのと同時に、力強い雰囲気を漂わせている。タンクに描かれているグラフィックは1980年に登場した2ストローク・スポーツバイクのRZ250をオマージュしたもので、80年代に青春を過ごした熟年層のライダーにはひと際懐かしく感じられることだろう。

XSR155(ブラック)
XSR155(ブラック)

そして、日本市場では初採用となる新塗色「ロハスミント」を採用したのが「グリーン」だ。そのコンセプトは『Fun Fashionable ー目を引き、気分を上げる色ー』。バイクではそれほど多くないグリーンのカラーがファッショナブルな印象だが、アクセントにゴールドとシルバーのストライプを組み合わせることでアーティスティックさも表現した、ヤマハからの新しいトレンド提案だという。

XSR155(グリーン)
XSR155(グリーン)

前述した「レトロとモダン」というふたつの価値は、1台ごとに両立させているというが、各色の重心は異なっている。ブラックは往年のRZ250を想起させるグラフィックからもわかるとおり、ややレトロ寄りの方向性。一方、グリーンはクラシックな要素を持ちながらも柔らかく上品さを感じさせ、モダンな雰囲気を漂わせている。

XSR155では倒立フロントフォークのアウターチューブとホイールのカラーもブラックとゴールドの2色が用意されており、シルバー/ブラック/グリーンの3つのボディ色に合わせて、それぞれ異なるコーディネイトを施したのもこだわりだ。

グリーンにはゴールドのホイールが組み合わされるが、これは抜け感や頑張りすぎない楽しさを狙い、遊び心のあるモダンさを表現したもの。ブラックはフロントフォークもゴールドとすることで、よりアグレッシブさを強調し、若者と往年のヤマハファン双方に強烈にアピールする。素材感を強調するシルバーは、フロントフォークとホイールの双方をブラックとすることで王道のネオレトロを表現している。

XSR155の開発に携わったメンバー。向かって左から商品企画を担当した小玉 歩さん(MC商品戦略部 ストリートG)、プロジェクトリーダーの上田 匠さん(SV開発部 Sv設計5G)、エンジン開発担当の藤井勇輔さん(第1PT設計部 ST-PT開発2G)、そしてデザイナーの溝越万莉さん。

HAPPY OUTSIDE BEAMSが提案する「最高にクールな外遊びの相棒」

発表会では、セレクトショップ「BEAMS(ビームス)」が外遊びにまつわるコンテンツを提案するブランド、「HAPPY OUTSIDE BEAMS」が手掛けたカスタムモデルも展示された。

「HAPPY OUTSIDE BEAMS」が手掛けたXSR155のカスタムモデル。

今回のコラボレーションは、ヤマハ側の「既存のバイクファンには届いているが、少し興味があるライト層には届き切っていない」という課題からスタートしたものだ。「Boundless Everyday」をキーワードに設定し、バイクを単なる移動手段ではなく、自分を表現するひとつのアイテムと定義。XSR155を「最高にクールな外遊びの相棒」とイメージしてカスタマイズが行なわれた。

目を引く車体のカラーリングは、「シダーグリーン」と「ブラック」のツートーンに、BEAMSのアイデンティティであるオレンジのアクセントがあしらわれている。山やキャンプといったアウトドアをイメージして発想されたものだが、単なるミリタリー調を狙ったわけではない。

重視したのは、バイクを「洋服のコーディネイトのひとつ」として捉えることだ。「このバイクに合わせてどういう服を着ようか」「この服を着て乗りたい」と、ユーザーが自身のファッション感覚で楽しめる相棒であることを目指した。そのため、主張の強すぎる過剰なデザインは避け、自然の景色に馴染み、ほんのりとミリタリー感を持たせながらも、その日の気分や個性を活かせるニュートラルなバランスに調整されている。

45Lのリアボックスとサイドバックを装備したほか、フェンダーレス化によってアクティブな後ろ姿に。

アウトドアシーンを再現した展示方法も、BEAMSのこだわりだ。ライト層が本当に知りたいのは、スペックではなく「このバイクを買って、どういうシーンで使い、どういう風に乗るのか」という購入後のライフスタイルであると考え、バイクを主役にした展示からの脱却を図ったというわけだ。

車両単体ではなく、使用者像を見せる。スペックではなく、休日の行動を想像させる。そんな想いが、この展示には込められている。

BEAMSの社内には、バイクやキャンプなど、自身の「好き」を極めている個性的なスタッフが多数在籍している。そうした社内のリアルな愛好家たちの意見を吸い上げ、アイデアをすり合わせることで、独自の世界観を持つ今回のカスタムモデルを完成させたという。

HAPPY OUTSIDE BEAMSのカスタムモデルを手掛けたビームスクリエイティブの木村 淳さんと小辻直也さん。

ヤマハが培ってきたネオレトロの価値を継承しながら、より自然体で、より身近に、日々の移動や時間の過ごし方に寄り添う存在であると位置づけられたXSR155。これからの新しいバイクライフの扉を開く魅力的なエントリーモデルとして、多くの若者やライダーの心を掴むことになりそうだ。