憧れ続けたイルムシャーとの再会!

ユーロテイストで仕立てた希少ジェミニ

AE86やレパード、ツインなど数多くの昭和車を所有し、自らを“クルマの万屋”と称する仙台のショップ『ツインズ』代表・高橋さん。

会社の敷地にはAE86ドリフト仕様をはじめ、レパードやツインなど様々な昭和車が並び、その偏愛ぶりは筋金入り。サザンサーキットをホームコースとするAE86ドリフトチーム『死ね死ね団』の中心メンバーとしても知られている。

そんな高橋さんが現在の通勤車として愛用しているのが、80年代に“街の遊撃手”のキャッチコピーで人気を博したJT190型ジェミニ・イルムシャーである。

イルムシャーはドイツのチューニングメーカーで、いすゞではジェミニやピアッツァのスポーツグレード開発を担当。2代目ジェミニ自体は約75万台が販売された大ヒット車だが、イルムシャーや限定200台のイルムシャーR、ハンドリングbyロータスといったスポーツモデルは現在ほとんど流通していない。

「そんなレア車を足に使う。それがカッケーと思いません?」そう笑う高橋さんは、中学生時代に見た“街の遊撃手”のテレビCMと、近所で見かけた実車のスタイリングが忘れられなかったという。チャンスがあれば欲しいと思い続け、ようやく手に入れたのが現在の愛車だ。

実はこのイルムシャーは2台目。以前所有していた1.5Lターボ仕様は手放してしまったものの、約1年前に再び巡り合った後期型1.6L DOHCモデルを入手した。

購入した個体はAT車だったが、かつて所有していたイルムシャー用として保管していた部品取り車からミッションを移植してMT化。さらにフロントデフも純正オプションのビスカスLSD仕様となっている。

エンジン本体はエアクリーナー交換程度のライトチューンに留められているが、インマニに刻まれた『DOHC16V』の文字が当時のスポーツモデルらしさを強く主張する。

「1台目のシングルカムターボも面白かったけど、こっちの方が下のトルクがあって乗りやすい。ただ、ハチロクの4A-Gみたいな高回転でのパンチはないかな」。

足まわりは前後ともZN6用ブリッツ車高調を加工流用。最大の目的はリヤのコイルオーバー化だった。サイズ的な相性に加え、中古流通量が多くコストを抑えられることもZN6用を選んだ理由だという。

アッパーマウントは穴開け加工を施し、ブラケットは純正ナックルに合わせて切断・再溶接。さらにフロントのみスウィフト製スプリングへ変更している。

「サンダーと溶接機があればだいたいイケる」という高橋さんらしい発想で製作された足まわりは、1台目よりも格段にスポーティな仕上がりになったそうだ。アッパーマウントを斜めに固定しているのもポイントで、キャンバーと同時にキャスター角も最適化している。

とはいえ、このジェミニでサーキットを走るつもりはない。あくまでも通勤や街乗りを楽しむためのクルマである。

足元にはVWゴルフ用のATS Uタイプホイールを装着。15インチ7J+30サイズをベースに、フェンダーモール追加と175/55タイヤの組み合わせで絶妙なツラを実現する。状態の悪かったホイールはメッキ塗装とボディ同色塗装でリフレッシュ済みだ。

テールランプは自作でLED化。劣化していたイルムシャーのロゴもカッティングシートで再現している。現在装着されるデュアルマフラーは暫定仕様で、将来的にはより落ち着いたデザインへ変更する予定とのこと。

さらに実用車として重要なエアコンも復活済み。ワゴンR用コンプレッサーを流用し、ワンオフブラケットでプーリー位置を補正することで快適性を確保している。

室内では純正レカロをシルビア用シートレール流用によってローマウント化。理想的なドライビングポジションを実現した。

レア車だから大切に保管するのではなく、毎日乗って楽しむ。オシャレに仕上げながらも実用性を重視する。そんな高橋さんのイルムシャーは、まさに“街の遊撃手”という言葉が今なお似合う一台なのである。

●取材協力:ツインズ 宮城県仙台市宮城野区岩切字稲荷西13-2 TEL:022-255-5023

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