ホモロゲモデルを眠らせない!

サーキットで楽しむGTS-Rライフ!

1987年、グループA参戦のために800台限定で生産されたR31スカイラインGTS-R。ベースとなるGTSを発展させ、専用エンジンのRB20DET-Rをはじめ、大型フロントスポイラーや固定式リヤスポイラーなどを装備したホモロゲーションモデルだ。当時の走り屋たちにとっては憧れの存在であり、現在では現存台数も少ない希少車として知られている。

そのGTS-Rを10年以上所有し続けているのがオーナーのイワトビさんだ。もともとはR31の角張ったスタイリングに惚れ込み、最初に手に入れたのはGTS。その後、SW20へと乗り換えたものの、「一度は乗っておきたい」と思い続けていたGTS-Rへの憧れを捨てきれず、現在の愛車を手に入れたという。

しかし、その付き合い方は一般的なコレクターとは少し違う。希少なホモロゲーションモデルだからといってガレージに保管して眺めるのではなく、積極的に走らせて楽しむのが信条だ。普段はドライブを楽しみながら、ときには筑波サーキットへ持ち込みスポーツ走行も満喫する。「クルマは走らせてこそ価値がある」。そんな考え方が、このGTS-Rには色濃く反映されている。

内外装は可能な限りオリジナルコンディションを維持する方針で、ボディは同色オールペンを実施したのみ。専用色であるブルーブラックの輝きは今なお美しく、40年近い歳月を感じさせないコンディションを保っている。走行距離はすでに26万kmを超えているが、過去にエンジンオーバーホールを行っていることもあり、現在も快調そのものだ。

GTS-R最大の魅力は、やはり専用エンジンのRB20DET-Rにある。グループAで400ps級の出力を実現するために開発されたユニットで、大容量インタークーラーなどを標準装備。最高出力210ps、最大トルク25.0kgmを発揮し、当時の後期型RB20DET搭載スカイラインを上回る性能を誇った。

圧縮比は8.5:1に設定され、大径タービンとの組み合わせによって低回転域では穏やかだが、高回転域で一気にパワーが立ち上がるドッカンターボ的な特性を持つ。タービンはT3ハイフロータービンにTO4コンプレッサーを組み合わせたギャレット製TO4Eを採用。

さらに、内径36φ、ブランチ長500mmのステンレス製等長エキゾーストマニホールドを装備し、集合部は熱対策を考慮した差し込み式構造となる。専用の遮熱プレートまで備わるあたりにも、ホモロゲーションモデルらしい本気度が見て取れる。

一方で、イワトビさんのGTS-Rはエンジン本体やミッションには手を加えていない。サーキット走行を見据えてトラスト製オイルクーラーやクスコ製機械式LSDを組み込み、足まわりにはR31ハウスオリジナルのZEAL車高調を投入しているが、あくまで狙いはGTS-R本来の持ち味を活かすこと。

ホイールにはBBSメッシュの16インチを装着し、タイヤはポテンザ・アドレナリンRE004を組み合わせる。絶対的なラップタイムよりも、ストリートからサーキットまで気持ち良く走れることを重視した仕様だ。

コクピットも同様にシンプルな仕立てで、ダッシュボードに割れはなく保存状態は良好。ステアリングはMOMOレースへ交換し、運転席にはブリッド製セミバケットシートを装着。センターコンソールにはDefiの3連メーターが並ぶ。なおGTS-Rは軽量化のため、ドアミラーの電動格納機能が省略されるなど、ベース車にはない割り切った仕様が与えられている。

もちろん、40年近い歳月を経たクルマだけにトラブルとは無縁ではない。突然エンジンが吹けなくなったり、ミッションに不具合が発生したりと、これまで数多くのアクシデントを経験してきた。しかし、そのたびに自ら原因を探り、できる限りDIYで修理して乗り越えてきたという。ときにはミッションを降ろしてベアリング交換まで行うなど、その経験と技術は年々磨かれていった。

そんな苦労を重ねながらも、26万kmを走破した今なお筑波サーキットを軽快に駆け抜けるGTS-R。800台限定という希少性は確かに特別だが、その本当の価値は走り続けることでこそ輝くのかもしれない。グループA直系のポテンシャルは今なお色褪せることなく、RB20DET-Rの豪快な加速とともに、これからも現役で走り続けていく。

TEXT:石川大輔(Daisuke Ishikawa)/PHOTO:平野陽(Akio Hirano)

「600馬力の“家族公認”通勤快速!」RB26ツインターボ仕様のR31スカイラインが吠える!!

ラグジュアリー路線で登場したR31を、RB26改ツインターボで武装。272度ハイカム&GT2530ツインで600psを発揮しながら、ナビや追加モニターも装備する万能仕様だ。家族との日常と本気の走りを両立した、現代版7thの理想形。