走る位置で従うべき信号が変わる特殊性が関係している

交差点では、「自転車専用」や「歩行者・自転車専用」など、自転車専用の独立した信号機を見かけることも珍しくない。
これらがクルマと差別化されているのは、自転車が車道だけでなく歩道も通行できる特殊な乗り物であり、走る位置によって従うべき信号が変わるためだ。
そもそも自転車は「軽車両」のため車道通行が原則であり、その場合はクルマと同じく車用の信号に従う必要があると規定されている。
しかし、道路標識などで指定された場所や、運転者が児童や高齢者である場合など、例外的に歩道を通行できるケースの場合は、歩行者用信号に従わなければならない。

さらに、その他にも例外が存在する。
三重県警察が公開している資料「自転車ってドコを走ればいいの?」によれば、自転車が横断歩道を通行するときは歩行者用信号に従う必要があるという。
また、自転車横断帯がある交差点では、「歩行者・自転車専用」の表示がある歩行者用信号に従って通行しなければならないと規定されている。
くわえて、この「歩行者・自転車専用」の表示がある歩行者用信号が設置された交差点では、たとえ自転車横断帯を通らずに車道の左側端に沿って左折する場合であっても、クルマ用の信号ではなく、歩行者用信号に従って左折しなければならないという細かな例外も設けられている。

つまり、たとえ進行方向のクルマ用の信号が青であっても、自転車が従うべき歩行者用信号や自転車専用信号が赤であれば停止しなければならないため、ドライバー目線とは異なる判断が求められるのだ。
なお、もしこのルールを無視して赤信号で交差点に進入した場合は、青切符にもとづいて6000円の反則金が科せられるおそれもあるため、注意が必要だ。
巻き込み事故や歩行者との接触を防ぐ狙いも

そして自転車の信号がクルマと差別化されているもうひとつの理由として、車の信号とタイミングをずらす「歩車分離」などの安全確保の狙いも挙げられる。
たとえば、交差点において自動車と自転車が同じタイミングで青信号を迎えると、左折しようとする自動車の死角に直進する自転車が入り込んで巻き込まれる事故が起こりかねない。
くわえて、自転車は歩行者よりもスピードが出ているため、ドライバーがサイドミラーで安全確認をした直後に後方から急接近してくるケースも多く、危険な状況が生じやすいのだ。
そこで、自転車専用の信号機を設置することで、自動車よりも先に青信号にして直進させたり、あるいは自動車をすべて赤信号にして歩行者と自転車だけを通行させたりすることで、交錯するタイミングを物理的に分離している。
また、このようにタイミングをずらす設計は、車道と歩道を行き来しやすい自転車特有の動きから、歩行者を守る役割も果たしている。
実際に、自転車が歩道を通行する際、歩行者用信号の点滅を見て慌てて横断歩道に進入し、渡りきれずに歩行者や自動車と衝突してしまうケースも少なくない。
とりわけ、スピードを出したまま横断歩道に駆け込む行為は、歩行者を危険に晒すだけでなく、交差する道路を走る自動車との事故にも直結する。
だからこそ独立した信号機を設けることで、自転車に対して明確な停止の指示を出し、歩行者の安全な横断を保護する目的が含まれているのである。

このように、複雑に見える自転車の信号だが、すべては命を守るための設計だ。
自転車はクルマのように免許証を持たずに乗れる乗り物だからこそ、一人ひとりが交通ルールへの正しい理解を深めることが求められる。
したがって、道路上に引かれた自転車ナビマークや専用レーンの整備も進んでいる現在、標識や信号機の意味を一つひとつ確認しながら、安全な運転を心がけていくことが大切だ。
