実用性を大きく高めた新型CX-5、高級車のようなCR-V

全長とホイールベースを115mm延長した新型CX-5のボディサイズは、CR-Vとほぼ同じサイズ感だ。これによりCX-5の後席空間は、広いと定評あるCR-Vと並び、開口面積も拡大したことで乗降性も大きく向上。新型CX-5はファミリー用途にも選びやすくなった。

後席のリクライニング機構は両車に備わるが、CX-5は先代と同じく可動範囲は2段階となる。それに対し、CR-Vは8段階かつクラストップレベルとなる10.5°まで背もたれを傾けられるため安楽な姿勢が取りやすい。

新型CX-5の荷室は全長が45mm延長された長さ994mm×幅1050mmとなり、荷室面積もCR-Vとほぼ横並びだ。最大荷室長はどちらも1800mm強を確保している。

荷室の広さは同じくらいだが、機能には差がある。新型CX-5の後席背もたれは4:2:4分割であり長尺物が積みやすい。荷室側から後席を遠隔で倒せるスイッチが備わるうえ、ラゲッジボードの高さが2段階調整可能となっており、上段にセットしておけばフルフラットに近い荷室となる。床下の収納スペースにはオプションのトノボードも格納可能だ。

CR-Vの後席は一般的な4:6分割だが、このクラスでは珍しいスライド機構が備わるため、乗員や用途に応じて荷室スペースを最大195mm拡大できる。ただし、CR-Vは後席を前にスライドさせると荷室床面とシートの間に隙間ができるうえ、荷室床面端に備わる高さ90mmほどの荷物ストッパーは便利ではあるが、車中泊などで荷室を広く使おうとすると邪魔になる。その代わり、CR-Vは荷室照明が両側に備わっており夜間の荷物の出し入れもしやすい。

荷室の実用性はCX-5の方が明らかに高い。細かな使い心地に配慮したCR-Vは高級車のような仕立てとなっている。

マツダ CX-5 L
ボディサイズ=全長4690mm×全幅1860mm×全高1695mm
ホイールベース=2815mm
車両重量=1670kg
タイヤサイズ=225/55R19(前後)

ホンダ CR-V e:HEV RS
ボディサイズ=全長4700mm×全幅1865mm×全高1680mm
ホイールベース=2700mm
車両重量=1750kg
タイヤサイズ=235/55R19(前後)

燃費差は歴然! マイルドハイブリッド vs フルハイブリッド

新型CX-5ではディーゼルエンジンが廃止され、全グレード2.5Lの直列4気筒エンジンに改められた。これに最大トルク60.5Nmのモーターを組み合わせるマイルドハイブリッドとなった新型CX-5は旧2.0L エンジンモデル以上の燃費性能と、ディーゼルエンジンのような力強い発進加速性能を両立させている。

エンジン単体出力は排気量が大きなCX-5の方が優れるが、CR-Vはモーターを主体として走行するe:HEVであり、エンジンパワーを直接使うのは中・高速走行時のみだ。CR-Vのモータースペックは最高出力184ps/最大トルク335Nmであり、発進加速時の動力性能ではCR-Vが圧倒する。

両車の燃費性能は、CR-Vの19.8km/L(e:HEV RSグレードFF)に対して、新型CX-5は15.2km/L(LグレードFF)だ。フルハイブリッドシステムとマイルドハイブリッドシステムの違いによる絶対的な燃費性能の違いは如何ともしがたい。

CR-Vは燃費性能に優れるだけでなく“リニアシフトコントロール”も搭載されており、システムをオンにすればハイブリッド車でありながら、ガソリン車のような変速動作を伴って加速することもできる。

さらにCR-Vの特異な点はステアリングとサスペンションメンバーだ。ステアリング機構は各部の抵抗を徹底的に排除してスポーツカーのように明快なステアリングフィールに仕上げられている。しかもフロントサスペンションメンバーはアルミダイキャスト製だ。これによる前車軸の軽量化とアルミ材採用による振動伝達の違いもCR-Vの存在を際立たせる。

フルハイブリッドシステムに加え、このコストを度外視したかのようなシャシーの仕立てがCR-Vの価格を大きく引き上げる一因となっている。

マツダ CX-5 L
エンジン形式=直列4気筒ガソリンエンジン+モーター
排気量=2488cc
最高出力=178ps/6000-6200rpm
最大トルク=237Nm/3800-4000rpm
トランスミッション=6速AT
駆動方式=2WD(FF)

ホンダ CR-V e:HEV RS
エンジン形式=直列4気筒ガソリンエンジン+モーター
排気量=1993cc
最高出力=148ps/6100rpm
最大トルク=183Nm/4500rpm
トランスミッション=直結2段ロックアップ機構
駆動方式=2WD(FF)

日常に寄り添うCX-5と、過剰性能を楽しむCR-V

“CX-5 L”の新車価格は407万円、“CR-V e:HEV RS”は512万2700円。これだけ価格差がありながら、快適装備の充実度はCX-5の方が上だ。CX-5の最上級グレードであれば、前席にベンチレーション機能が備わるうえ、渋滞時ハンズオフアシストおよび車線変更アシスト機能も備わる。

CR-Vのステアリングヒーターとリヤシートヒーターは4WDモデル(539万2200円)だけの装備となるうえ、前席ベンチレーション機能と高速道路でハンズオフ運転が可能となる“ホンダセンシング360”は“e:HEV RS ブラックエディション(577万9400円)”のみの装備だ。

インフォテインメントシステムはどちらもGoogleビルトインだが、画面サイズが9インチのCR-Vに対して新型CX-5は15.6インチとなるうえ機能面でも上回る。運転支援機能や車内機能では、電子プラットフォームを全面刷新した最新のCX-5が優位だ。

しかし、上質感や静粛性は間違いなくCR-Vが上となる。エンジンノイズが聞こえにくいフルハイブリッドのCR-Vは、静粛性や遮音性にも力を入れなければタイヤノイズや風切り音が目立つ。そのためCR-Vには遮音ガラスやアクティブノイズコントロール機能が欠かせない。

一方、常にエンジンノイズが聞こえるCX-5なら、ある程度の騒音は許容できる。新型CX-5ではサイドミラー形状変更で風切り音を低減させ、あえて遮音ガラスを廃止。なおかつ、スポーティな味付けだった足まわりやパワステのセッティングは大きく見直され、新型CX-5はファミリーユースに適したキャラクターに改められた。

両車のキャラクターはよく似ている。ただし、CR-Vは“究極のオールラウンダー”をコンセプトに掲げる以上、各種装備によって価格は跳ね上がる。他方、新型CX-5は最小限のコスト増で最大限のパフォーマンスを狙ったSUVと言える。

これにはメーカー内での両車の立ち位置も関係するだろう。どちらもグローバルモデルではあるが、CX-5は日本市場におけるマツダの大黒柱だ。それに対し、あらゆる点が性能過剰ともいえるCR-Vは、ミドルクラスSUVのなかではやや特殊な存在と言えるかもしれない。一般用途で比べるならば、間違いなく新しいCX-5の方がマッチすることだろう。

車両本体価格

マツダ CX-5 L:407万円

ホンダ CR-V e:HEV RS:512万2700円