Porsche Macan GTS Electric

「4S」と「ターボ」の中間的位置付け

EVに生まれ変わったポルシェ·マカンに、第5のモデルが追加された。それがGTSだ。GTSといえばラインナップの中でもスポーティな位置付けのモデルで、先代ガソリンエンジン版でも人気のあったグレード。果たしてポルシェのスポーティネスはEVでも健在なのか。
ドライブモードは「ノーマル」「スポーツ」「スポーツプラス」「オフロード」の4種。一充電最大航続距離は606km(WLTP)だ。

2007年に「カイエンGTS」で二度目の復活を果たして以来、ポルシェのGTSといえば少しプリミティブな感触を残すスポーツモデルとして、高い人気を誇ってきた。それは「911」しかり、「パナメーラ」しかり。そのスポーツ性はラグジュアリーな側面を持つターボとは異なるベクトルで纏められ、パワーデリバリーもハンドリングも、剥き出しの高性能を包み隠さない。個人的には近年のGTSに、そんな印象を抱いている。ちなみにポルシェの歴史上初めてGTSの名を冠したのは、1963年のレーシングマシン「904カレラGTS」。それが最初に復活したのは「928GTS」で、1992年のことだった。

さて、そんなGTSの称号がいよいよ電動「マカン」に冠されることになった。位置付けは「4S」と「ターボ」のちょうど中間というもので、パワーとトルクは571PS/955Nm。4Sは516PS/820Nm、ターボは639PS/1130Nmなので、スペックからもそのことが窺える。価格は1396万円で、これも4Sより152万円高く、ターボより145万円安いという設定だ。

ただしエクステリアは4Sやターボとは大きく異なる。ポルシェの各モデルには「スポーツデザインパッケージ」という名の、エクステリアをよりアグレッシブに仕立てることのできるエアロキットが用意されているのだが、GTSにはこれが標準装着されるのが通例。マカンGTSも例外ではなく、フロントのスプリッターやリヤのディフューザーはより大型化、さらに前後のライトユニットやリヤスポイラーリップなどがブラック仕上げになる。10mmローダウンされる専用チューンの足まわりもGTSのお約束だ。

過激なまでの切れ味が

EVゆえに加速が鋭いのは当然だが、マカンGTSは驚異的なまでのハイレスポンスが印象的。ドライブモードは「ノーマル」「スポーツ」「スポーツプラス」「オフロード」の4種。一充電最大航続距離は586km(WLTP)だ。
EVゆえに加速が鋭いのは当然だが、マカンGTSは驚異的なまでのハイレスポンスが印象的だ。

走りで気になるのは一点に尽きる。「重く背の高い電動SUVでどれだけGTSらしい走りが実現できているか?」だ。100kWhという少なくない容量のバッテリーを積むその車重は、実に2450kg(車検証値)。先代のガソリンモデルが2000kgだったので、実に大人8人分も重くなっているのだ。しかしその瞬発力は恐ろしいほどで、右足でアクセルを蹴り込むとそのストロークの分だけクルマが前に瞬間移動し、戻すとクルマも即座に巡航体制に移る。アクセルレスポンスにタイムラグというものがまったく存在しないのだ。この感覚はガソリンエンジンを積むスーパースポーツはおろか、ハイパフォーマンスEVでもなかなかお目にかかれない。0-100km/h加速3.8秒、最高速度250km/hというスペックシート上の高性能に加え、そこには現れない過激なまでの切れ味がこのクルマにはある。

ハンドリングは“軽快”というよりも“豪快”。絶対的な車重のため乗り味はそもそも重厚感が濃いのだが、座りがよく直進性が高いステアリングを数ミリ切るだけでもう鼻先が向きを変える“曲がりたがり”で、そこからはリヤアクスルステアリング(オプション)やトルクベクタリングの相乗効果により、2.5tの車重がウソであるかのようにコンパクトに旋回。そんな機敏な身のこなしとは裏腹に、強烈な遠心力をハイグリップタイヤががっしりと受け止めることで、首には猛烈な横Gが襲いかかる。軽く曲がるのにGが凄い。それでいて狙ったラインは正確無比にトレースできる。このタイト感はGTSならではだ。

サウンドもGTS専用チューン

足まわりはエアサスペンションでGTS専用チューンとなるが、ガチガチに固いわけではなく快適性もしっかり確保されているあたりに新世代のGTSを感じる。また新世代という意味では「エレクトリックスポーツサウンド」も面白い。これは走行モードを「スポーツ」か「スポーツプラス」にすると、車内外にデジタライズされたエンジン音が鳴り響くというもの。特に後者を選ぶとエンジン音とモーター? の「キュイーン!」という音とのハーモニーが楽しめる。ちなみにこれもGTS専用チューンになっているそうだ。

正直、動的質感の高さは先日乗ったマカンターボ以上だった。主役はやはり、遅れてやってくるのである。

REPORT/市原直英(Naohide ICHIHARA)
PHOTO/佐藤亮太(Ryota SATO)
MAGAZINE/GENROQ 2026年8月号

SPECIFICATIONS

ポルシェ・マカンGTSエレクトリック

ボディサイズ:全長4805 全幅1952 全高1613mm
ホイールベース:2893mm
車両重量:2395kg
最高出力:420kW(571PS)
最大トルク:955Nm(97.4kgm)
トランスミッション:1速AT
駆動方式:AWD
サスペンション形式:前後5リンク
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ:前255/45R21 後295/40R21
最高速度:250km/h
0-100km/h加速:3.8秒
車両本体価格:1396万円

【問い合わせ】
ポルシェ コンタクト
TEL 0120-846-911
https://www.porsche.com/japan/

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登場以来、ポルシェの中心的存在として君臨しているカイエンが、大きな転換期を迎えようとしている。マカンに続き、電動パワートレインを搭載したカイエンはポルシェの走りをどのように表現しているのだろうか。大谷達也が確かめた。(GENROQ 2026年6月号より転載・再構成)