McLaren M6GT:Restored by MSO
オリジナルのボディモールドをもとに製作

マクラーレン・スペシャル・オペレーションズ(MSO)がレストアを手がけた「M6GT:Restored by MSO」は、マクラーレンのアーカイブに保管されていたオリジナルのボディモールドや資料をもとに製作された。マクラーレンのレーシングカーとしての原点と、市販ロードカーで成し遂げた功績を結び付けるヘリテージモデルとなっている。
MSOは車両をゼロから組み上げ、レストアしたオリジナルパーツと新たに製作したワンオフ部品を組み合わせることで、ブルース・マクラーレンの構想に忠実な仕上がりを実現。塗装や仕上げ、多くのディテールは、当時の素材や写真をもとに見直し、再設計され、本来の姿を忠実に再現している。
究極の真正性を追求するため、当時と同仕様のエンジンとトランスミッションを採用。スモールブロックのV型8気筒エンジンは、オリジナル仕様に準じた「キャメルハンプ」シリンダーヘッドが組み合わされている。MSOディレクターのディレクターを務めるジョン・シムズは、今回のレストアプロジェクトについて、次のように説明を加えた。
「今回の『M6GT:Restored by MSO』は、チームにとって技術と情熱を注ぎ込んだプロジェクトとなりました。技術的な学びになりましたし、ブルースがマクラーレンをサーキットの外へ広げようとした志を、改めて実感させてくれる存在となりました。このクルマは私たちのコレクションの中でも特別な位置を占めるでしょう。ブランドの原点への敬意であり、未来へ向けた精神的な道標でもあるのです」
ブルースが夢見たロードカーの原点

M6GTはブルース・マクラーレンが思い描いたロードカー構想を初めて形にしたモデルであり、そのデザインはM6Aレーシングカーから直接インスピレーションを受けている。耐久レースで培われたエアロダイナミクスコンセプト、軽量設計、レーシングカー由来のプロポーションが、そのスタイリングを決定づけている。
そして、M6GTはマクラーレン製ロードカーの原点でもある。ブルース・マクラーレン自身も、最初のプロトタイプを会議やレース会場への移動に日常的に使用。その後、高性能エンジンやバタフライドア、空力性能を追求したシルエットを備えた量産ロードカーという彼の構想が実現するまでには25年を要し、その結晶が伝説的な「マクラーレンF1」として結実している。
今回の「M6GT:Restored by MSO」では、あらゆる工程が「文化財を受け継ぐ」という考え方のもとで進められた。シャシーには当時製作されたM6Aレーシングカーのものを使用し、マクラーレンが保有する歴史的車両との照合を経て、オリジナル構想に忠実であることが確認されている。
オリジナルのコクピットを完璧に再現

車両の中心には、オリジナルのM6GT由来となるレーシングカー仕様のコクピットを配置。コクピットの周囲には、ロールフープ、リヤフレーム支持構造、クラムシェル内部補強、ワイヤリングハーネスなどの見えない構造部品を、MSOの熟練職人がひとつひとつハンドメイドで製作した。見える部分と同等のこだわりを持って仕上げられている。
コクピットのシフトノブは無垢のウォールナット材から削り出された一点物で、オリジナルデザインを忠実に再現。シートには専用ビニールレザーを採用し、グリーンのヒートシームステッチを施すことで、マクラーレンのレーシングヘリテージがさりげなく表現された。フロントウインドウはオリジナル形状を3Dスキャンし、専門メーカーによってM6GT専用の曲面ガラスが新たに製作されている。
サスペンションはオリジナルのM6GT用パーツを使用し、徹底的にレストア・再構築。多くのパーツは、現在ではほとんど生産されていないインチ規格時代のベアリングを探し出して使用された。小さなリベット1本に至るまで妥協が排されており、当時と同じアルミ製ドームリベットを採用し、航空宇宙産業出身の熟練職人が取り付けを担当している。
「コルンブルック・ホワイト」のボディカラー

ボディは英国で発見されたオリジナルモールドから再製作。調査の結果、モールドそのものに当時の設計変更の痕跡が残されていることが判明し、開発当時にデザインが進化していった過程をそのまま保存することが可能となった。ボディカラーは「コルンブルック・ホワイト」と名付けられた特別なクリームホワイトで仕上げられている。
コルンブルック・ホワイトのネーミングは、ブルース・マクラーレンがロードカー構想を育んだ工場があった、英国・コルンブルックをオマージュ。工場は当時「ロンドン空港(現在のヒースロー空港)」の飛行ルート直下に位置していた。ブルースは本業となるレース活動の拠点に近く、世界各地のレースへ飛び立つ際にも時間を無駄にしない場所として、この地を選んだという。
コルンブルック・ホワイトのボディとグリーンのインテリアという組み合わせは、1966年にブルースがドライブした初代マクラーレンF1マシン「M2B」のカラーリングに由来。ホワイトのボディにグリーンストライプを配したデザインは、創業者から愛車へと贈られたサインだと言われている。
「マクラーレン M6GT」のレストアプロジェクトを動画でチェック!

