25年ぶりの衝撃! 公道用2ストロークスポーツが復活

環境規制の強化により、公道を走行できる2ストロークロードスポーツは長らく市場から姿を消していた。2000年前後を境に各メーカーが生産を終了し、その後はオフロード競技用を除いて新たなロードモデルはほぼ登場していない。

そんな状況を覆したのが、イタリア・マラネロに拠点を置くVins Srlである。同社は現代の排出ガス規制「EURO5」をクリアしながら、公道で扱いやすく、日常域から高回転まで楽しめる完全新設計の2ストロークエンジンを完成させた。

このエンジンを搭載する「Vins Duecinquanta」と、英国Langen Technologyが開発した「Langen Two Stroke」の2モデルを、モータリスト合同会社が日本国内で取り扱う。

完全新設計の250cc・90度Vツインは75psを発生

エンジンは249.5ccの水冷90度Vツイン2ストローク。最高出力75ps、最大トルク45Nmを発揮する。

開発のベースとなったのは、かつて250ccロードレース世界選手権で活躍したアプリリアのGPマシンにも搭載されたRotax 258である。ただし、そのまま再現したわけではない。

クランクケースやギヤボックスは完全新設計とし、6速トランスミッションもオリジナル。ボア×ストロークは54.0×54.5mmの249.5ccで、パワーバルブも備える。

さらに特徴的なのが吸気システムだ。

燃料噴射には独自開発のFIシステムを採用。リードバルブ上流にインジェクターを配置し、ギロチン式スライドバルブで吸気量を制御する独創的な構造となる。全開時の吸気性能と低開度域での扱いやすさを両立し、高性能2ストロークらしい出力と優れたドライバビリティを実現した。

2ストロークエンジンに不可欠な潤滑も大きく進化した。

4基の電子制御オイルポンプを採用し、ECUがスロットル開度やエンジン回転数に応じて0.1〜5%の範囲で最適なオイル供給量を制御。必要最小限のオイルだけを供給することで消費量を抑え、EURO5適合にも貢献している。

エンジン単体重量はわずか28kg。軽量かつコンパクトでありながら75psを発生することも、このユニット最大の魅力である。

Vins Duecinquanta Competizione/Strada
ヴィンス ドゥエチンクアンタ コンペティツィオーネ/ストラーダ

ヴィンス・ドゥエチンクアンタ/コンペティツィオーネ

そのエンジンを搭載するフラッグシップが「Vins Duecinquanta」である。

最大の特徴は、フレームそのものまで完全自社設計としたフルカーボンモノコック構造にある。一般的なアルミツインスパーとも鋼管フレームとも異なり、カーボン製モノコックを車体の骨格とする極めて珍しい構造を採用した。

設計思想は、世界最高峰ヨットレース「アメリカズカップ」のカタマラン(双胴船)から着想を得たもの。空力性能を追求するとともに、ラジエーターをダミータンク内部へ配置する独創的なレイアウトを採用し、前面投影面積を極限まで小さく抑えている。

サスペンションにも徹底した軽量化思想が貫かれる。フロントにはカーボン製ダブルウイッシュボーン式サスペンション、リヤにはカーボン製スイングアームを採用。ホイールもカーボンコンポジット製で統一され、車体全体が極限まで軽量化されている。

その結果、レース仕様「Competizione」の車両重量は102kg、公道仕様「Strada」でも105kgという驚異的な数値を実現した。

現在は少量生産によるハンドメイド体制で製造が進められており、受注から完成までの目安は約90日。近年はカーボンプリプレグの供給不足もあり、生産能力には限りがあるという。

日本国内ではモータリスト合同会社が正規輸入元として予約を受け付ける。販売後のアフターサービスや部品供給も同社が担い、メーカーと連携しながらサポート体制を構築する。

ヴィンス・ドゥエチンクアンタ/コンペティツィオーネ
ヴィンス・ドゥエチンクアンタ/コンペティツィオーネ

Vins Duecinquanta主要スペック

搭載するエンジンは249.5cc水冷90度Vツイン2ストローク。電子制御燃料噴射を採用し、最高出力75ps、最大トルク45Nmを発揮する。

シャシーはカーボンファイバー製モノコック。フロントにはカーボン製ダブルウイッシュボーン式サスペンション、リヤにはカーボン製スイングアームを組み合わせる。車両重量はCompetizioneが102kg、Stradaが105kgとなる。

  • エンジン:Vins製水冷2サイクル90度Ⅴツイン、電子制御燃料噴射
  • 最高出力:75hp@11,700rpm 最大トルク:45Nm@11,700rpm
  • 排気量:54.0x54.5㎜、249.5㏄ シャシー:カーボンファイバー製モノコック
  • キャスター:23度(可変機構付き)
  • フロントサスペンション:ダブルAアーム式カーボン製フロントフォーク、モノショック
  • リアサスペンション:プッシュロッド式並行配置モノショック、カーボンファイバー製リアスイングアーム
  • タイヤサイズ:120/70-17(F) / 150/60-17(R) 車両重量:102㎏(ガソリン抜き)
ヴィンス・ドゥエチンクアンタ/ストラーダ

国内希望小売価格:

  • 7,500,000円(コンペティツィオーネ、10%消費税込み)
  • 9,900,000円(ストラーダ、10%消費税込み)
    いずれも予定価格(今後の為替や資材価格変更によって変動の可能性があります)
  • 特別仕様: ボディワーク塗装(Britten風への変更) ¥150,000
  • カーボンホイール装着(ノーマルからの変更) ¥450,000

Langen Two Stroke(ランゲン ツーストローク)

Langen Two Stroke(ランゲン ツーストローク)

Vins Srlがエンジンメーカーなら、その2ストロークエンジンをストリートスポーツへ仕立て上げたのがイギリスのLangen Technologyである。

同社はマクラーレンやBAC、M-Sportなど少量生産の高性能車開発にも携わってきたエンジニアリング企業。創業者クリストファー・ラットクリフ氏がCCMで培った超軽量スポーツバイクのノウハウを生かし、Vins製エンジンを核とした独自のモーターサイクルを完成させた。

車体は7020-T6アルミニウム合金製スペースフレームを採用し、燃料タンクや外装にはカーボン素材を積極的に使用。公道走行に必要な保安部品を装着した状態でも車両重量は119kgに抑えられている。

足まわりにはオーリンズ製フルアジャスタブルサスペンションやK-Tech製デュアルショックを採用。ブレーキにはブレンボ製ディスクとHEL製キャリパーを組み合わせるなど、構成部品にも徹底してこだわった。

Vinsが未来的なフルカーボンモノコックマシンなら、Langenはクラシカルなアルミパイプフレームを生かしたカフェレーサースタイル。同じエンジンを搭載しながら、まったく異なる世界観を表現している。

Langen Two Strokeも受注生産となり、完成までの目安は約90日。日本国内ではモータリスト合同会社が正規代理店として予約を受け付けている。

Langen Two Stroke主要スペック

エンジンはVins製249.5cc水冷90度Vツイン2ストローク。7020-T6アルミニウム製スペースフレームを採用し、車両重量は119kg。フロントにはオーリンズ製サスペンション、リヤにはK-Tech製デュアルショックを装備する。

Langen Two Stroke(ランゲン ツーストローク)
  • 国内希望小売価格:
  • 8,000,000円(10%消費税込み)
    (基本仕様。イギリスから日本への輸送費、ならびに輸入諸掛り等一切を含む)
    *いずれも予定価格(今後の為替や資材価格変更によって変動の可能性があります)
  • 特別仕様:
  • フレーム塗装(ブロンズからの変更) ¥100,000
  • アルマイト着色(シルバーからの変更) ¥80,000
  • ボディワーク塗装(カーボン地からの変更) ¥150,000
  • ボディワーク塗装(シルバーからの変更) ¥90,000

    ※その他細かく仕様変更が可能です。具体的な変更点と価格についてはお問い合わせください。
Langen Two Stroke(ランゲン ツーストローク)

奇跡の2ストロークが日本で購入可能に

VinsとLangenに共通するのは、既存エンジンの改良版ではなく、現代の排出ガス規制を満たすためにゼロから設計された250cc・2ストロークエンジンを採用している点だ。

現在、市販ロードスポーツ用2ストロークエンジンを新規開発するメーカーは世界的にも極めて少なく、EURO5適合の公道モデルが登場した意義は大きい。

両モデルとも少量生産のハンドメイドで、生産能力は限られている。モータリスト合同会社では予約受付を開始しており、日本国内では正規販売に加え、アフターサービスも提供する。

250ccという排気量ながら、その価値は排気量ではなく、独自開発の2ストロークエンジン、高度なカーボン技術、そして少量生産ならではの希少性にある。約25年ぶりに登場した新世代2ストロークスポーツとして、大きな注目を集めそうだ。