主な改良内容はフロントフェイスの変更と車内利便性の向上




両車とも改良でボディサイズや室内および荷室寸法は変わっていない。後席は大人が足を組めるほどの広さを有しており、EV特有のフラットフロアも相まって広々とした後席空間となっている。後席にスライドとリクライニング機能が備わっている点も共通だ。
ガソリン車のeKクロスとまったく同じ見た目をしていたeKクロスEVは、フロントフェイスの基礎デザインは変えずにシームレスで連続性のある形状へと改められ、よりEVらしい先進感を備えたスタイルに変わった。
ボディカラーはオリーブグリーン、レッドメタリック、オークブラウンが廃止された代わりに、チタニウムグレーとライラックピンク、スターリングシルバーを新たに採用。また2トーンカラーのルーフ色は既存のブラックとカッパーから、ホワイトとサンドベージュパールへと変更され、ボディカラーは10色から全11色へと改められている。
ブラック基調の内装色に変更はないが、サクラと同じくプレミアムインテリアパッケージオプションを選択すれば、内装はホワイトに近いライトグレーのコンビシートとインパネ装飾に変わる。ただし、シートに備わるキルトステッチは引き続きeKクロスEVだけの特徴だ。
一方、改良によるサクラの変更内容はボディカラーのラインアップが改められるとともに、上位グレードはカラードグリルへと変更。さらに最上級グレード“G”はプレミアム2トーンを選ぶとフェンダーアーチを含むボディ下部にもシルバーの加飾が入るうえ、標準装備化された15インチのアルミホイールは水引のテーマを継承しながらも立体的な意匠へと刷新された。
機能面の改善点はほぼ共通と言ってよいだろう。どちらも後席シートアラートなどの法規対応に加え、駆動用バッテリーの電力を家電製品に供給できる100Vコンセントを新たにメーカーオプションとして設定。また、最上級グレードに備わる充電用USBポートはType-Cが2口、Type-Aは1口となった。
ただし、サクラには車両に近づくだけで解錠する“接近時アンロック”と、離れると自動で施錠する“降車時オートロック”が実装されたが、eKクロスEVには装備されていない。また、eKクロスEV特有の装備だったルーフレールは標準装備からオプション装備に変わっている。
三菱 eKクロスEV P
ボディサイズ=全長3395mm×全幅1475mm×全高1655mm
ホイールベース=2495mm
車両重量=1070kg
タイヤサイズ=155/65R14(前後)
日産 サクラ G
ボディサイズ=全長3395mm×全幅1475mm×全高1655mm
ホイールベース=2495mm
車両重量=1090kg
タイヤサイズ=165/55R15(前後)
パワートレインは全く同じ! 改良を経ても航続可能距離180kmは据え置き


eKクロスEV、サクラともに走行性能に関わる部分は変更されておらず、両車における違いも一切ない。
どちらもモーターの最高出力は自主規制いっぱいの64ps、最大トルクは軽ターボ車の2倍近い195Nmで定格出力も同じだ。ともに前輪駆動のみの設定であり、スポーツモードで発進時にアクセルを踏みすぎるといとも簡単にホイールスピンを起こすため動力性能は十分と言えるだろう。最小回転半径も4.8mで共通であり、最低地上高も同じく145mmとなる。
駆動用バッテリー容量も充電性能も据え置きとなっており、WLTCモードでの一充電走行距離は両車とも180kmから変わっていない。
180kmの航続可能距離はEVとしては短いため、軽自動車の代替としてはやや使いづらいが、バッテリー容量が小さいということは充電時間も短く済む。3kWの普通充電では残量警告灯が点灯してから満充電までの所要時間は約8時間、6kWなら同条件で約4時間だ。
素早く車内を暖められるPTCヒーターや、冬場の電力消費を抑えるヒートポンプ式エアコンシステムといった装備も両車に引き続き備わるものの、気温が低くバッテリー効率が低下しやすい冬場は100km程度まで航続可能距離が低下する点は覚えておきたい。
この短い航続距離により、両車ともガソリンエンジンを搭載した軽自動車や中・大型EVとはやや異なる使い方が求められる。eKクロスEVとサクラは、高い快適性を備えたシティコミューターとして短距離移動中心の使い方が最適だ。
もう一点覚えておきたいのは“グリップコントロール機能”の有無だ。eKクロスEVには、独立ブレーキ制御による疑似LSD効果で空転を抑えるグリップコントロール機能が搭載されると装備表には記述されている。一方、サクラの装備表に同システムの記載はないが、車両制御システム(VDC)にブレーキLSD機能が組み込まれている。
つまり、両車とも走行に関わる基本スペックに一切の差がないため、パワートレインは選択の決め手にならないということだ。
三菱 eKクロスEV P
駆動用バッテリーの種類=リチウムイオン電池
定格出力=20kW
最高出力=64ps/2302-10455rpm
最大トルク=195Nm/0-2302rpm
トランスミッション=単速
駆動方式=2WD(FF)
日産 サクラ G
駆動用バッテリーの種類=リチウムイオン電池
定格出力=20kW
最高出力=64ps/2302-10455rpm
最大トルク=195Nm/0-2302rpm
トランスミッション=単速
駆動方式=2WD(FF)
eKクロスEVは約21万円高! しかし、寒冷地装備を加えると価格差は大きく縮む


サクラの最上級グレード“G”の新車価格は改良で約8万円の値下げが行なわれ、299万8600円となった。一方、改良新型eKクロスEVの最上級グレード“P”の価格は、8万2500円値上げされた321万4200円だ。
さらに、CEV補助金額はサクラが58万円、eKクロスEVは57万4000円にとどまり、兄弟車の同等グレードにもかかわらず両車には21万円を超える価格差が存在する。
装備においても、サクラのGグレードにはアダプティブクルーズコントロール(ACC)機能である“プロパイロット”が標準装備だが、eKクロスEVでは同様の機能となる“マイパイロット”が全グレードでオプションとなっている。
そのうえ、オプションの100Vコンセントはサクラがインパネとラゲッジの2ヵ所に備わるのに対し、eKクロスEVはインパネのみだ。加えて、サクラに新設定された“接近時アンロック&降車時オートロック機能”もサクラだけの装備となる。
しかしeKクロスEVは、サクラではオプションとなる普通充電ケーブルやリアヒーターダクト、LEDフォグランプやヒーテッドドアミラーに加え、ドアミラーのサイドターンランプなどが標準装備となっており、デアイサーとリアフォグランプを除けば寒冷地向けの装備が最初から揃っている。
以上の装備を考慮すると、両車の実質的な価格差はeKクロスEVの方が数万円高い程度だ。中間グレード同士や、新たに追加されたサクラの最廉価グレード“S”と、それに相当する“Gビジネスパッケージ”同士の価格を比べても、eKクロスEVの方がわずかに高い程度の差でしかない。
ACCが不要、かつ寒冷地域および降雪地域で使う場合や、新しくなったフロントフェイスに魅力を感じるようならeKクロスEVを選ぶ価値は十分にあると言えるだろう。
車両本体価格
三菱 eKクロスEV P︰321万4200円
日産 サクラ G︰299万8600円
