次期LSは単なるモデルチェンジではなく、これからのレクサスブランドを象徴する一台になる
「次期LSはミニバンになるのではないか」。
2025年のジャパンモビリティショー(JMS)でレクサスが「LS Concept」を公開したことで、その斬新なスタイリングからそんな見方が一気に広がった。
現行LSは2017年に登場し、2025年には一部改良を受けたものの、基本設計はすでに約8年が経過している。そろそろ次期型の姿が見え始めても不思議ではないタイミングだけに、「これが新しいLSなのか」と受け止めた人も少なくなかった。

確かに、LS Conceptは従来の高級セダンとはまったく異なるワンモーションフォルムを採用し、広々としたキャビンを備えている。その姿は、従来のセダンという枠を超えた、新しい高級車のカテゴリーを思わせるものだった。

しかし、JMSで公開されたコンセプト全体を見渡すと、レクサスが描いている未来は「LSがミニバンへ生まれ変わる」という単純な話ではない。むしろ見えてきたのは、「フラッグシップとは何か」を改めて問い直す、新しい戦略である。
LS Conceptが注目を集めた理由は、ボディ形状だけではない。レクサスはこのモデルを、「Luxury Sedan」でも「Luxury SUV」でもなく、「Luxury Space」という新たな価値を提案するコンセプトとして披露した。
大きな話題となった6輪レイアウトも、奇抜さを狙ったものではなく、室内空間や乗降性を高めるための新しいパッケージング技術として採用されたものだ。後席をより快適な空間へ進化させ、「移動するラウンジ」という発想を具現化したモデルと位置付けられている。
一方で、同じJMSではスポーティなシルエットを持つ「LS Coupe Concept」も公開された。両モデルは次世代フラッグシップの方向性を示すスタディモデルとして披露されており、この点は見逃せない。

では、もしレクサスがセダンタイプの次期LSを投入するとすれば、どのような姿になるのだろうか。
現行モデルの延長線上にある正常進化ではなく、ブランドの新しいデザイン言語や電動化技術を全面的に取り入れたモデルになる可能性が高い。
今回制作した予想CGでは、現行LSが持つ伸びやかなFRセダンらしいプロポーションを継承しながら、新型ESで採用されたクリーンな面構成と、今後のレクサス車に共通するとみられるシャープなフロントフェイスを融合した。

なかでも大きく変更したのがフロントマスクである。ヘッドライトは上下2段構成とし、LEDデイタイムランニングライトも新世代レクサスを意識したデザインへ刷新。フロントグリルは従来のような独立したスピンドルグリルではなく、ボディ全体と一体感を持たせた「スピンドルボディ」をイメージした。
近年のレクサスは、新型ESに代表されるように、装飾性を強調するのではなく、シンプルな面構成や光の表現によって存在感を演出するデザインへシフトしている。次期LSも、その方向性をさらに発展させ、堂々としたプロポーションそのものでフラッグシップらしい風格を表現するモデルになるのではないだろうか。
気になるのはパワートレインである。現行LSには3.5L V型6気筒ツインターボを搭載する「LS500」と、3.5L V型6気筒ハイブリッドの「LS500h」が設定されている。しかし、レクサスが電動化を加速させている現在の流れを考えると、次期型ではラインアップの中心が電動化モデルへ移行する可能性が高いとみられる。
現時点で入手している情報では、高性能ハイブリッドに加え、BEV(バッテリーEV)の設定も有力な選択肢となりそうだ。ハイブリッドは現行モデルを上回る静粛性や滑らかな加速性能を追求したシステムとなり、BEVについてもフラッグシップにふさわしい航続性能や上質な走りを実現するモデルになることが期待される。
また、レクサスは全固体電池の実用化を進めているものの、次期LSへの採用時期は明らかになっていない。そのため、市販初期はリチウムイオン電池を採用し、その後の改良で次世代電池へ移行する可能性も考えられる。
現時点で予想される次期LSセダンは、現行モデルと同等、あるいはそれを上回るボディサイズを維持しながら、高性能ハイブリッドまたはBEVを中心としたラインアップになる可能性が高い。価格帯もレクサスブランドの頂点にふさわしい水準となり、登場は早くても2028年以降になると予想される。
今回のJMSでレクサスが示したのは、「LSをミニバンへ置き換える」という単純な未来ではなかった。見えてきたのは、時代や用途に応じてフラッグシップの価値そのものを広げようとする新しい発想である。
その中には「Luxury Space」のような新しいカテゴリーが含まれる一方、LSらしいFRセダンがブランドの象徴として進化を続ける可能性も十分に残されている。つまり、「LSはミニバンになるのか」という問いに対する現時点での答えは、「それだけではない」ということだ。
レクサスが目指している本命は、セダンを捨てることではなく、フラッグシップの価値そのものを再定義することにあるのかもしれない。その答えが市販車として姿を現すまでには、もう少し時間が必要だが、次期LSは単なるモデルチェンジではなく、これからのレクサスブランドを象徴する一台になる可能性は十分にあるだろう。




