Porsche 911 Reimagined by Singer – Classic

ルイ・ヴィトンが誂えた2台のレストモッド

ルイ・ヴィトンとコラボレーションした「ポルシェ 911 リイマジンド バイ シンガー - クラシック ターボ」。
シンガーとルイ・ヴィトンは、「ポルシェ 911 リイマジンド バイ シンガー – クラシック」と、「ポルシェ 911 リイマジンド バイ シンガー – クラシック ターボ(写真)」を作り上げた。

「アート・オブ・トラベル(旅の芸術)」という理念に導かれ、ルイ・ヴィトンはその優れた技術と“サヴォアフェール(匠の技)”を、今回の自動車プロジェクトに注ぎ込んだ。空冷ポルシェ 911のスペシャリスト「シンガー」とコラボレーションし、「ポルシェ 911 リイマジンド バイ シンガー – クラシック」と、「ポルシェ 911 リイマジンド バイ シンガー – クラシック ターボ」を発表した。

「ポルシェ 911 リイマジンド バイ シンガー – クラシック」は、ルイ・ヴィトンを象徴するサフラン、コバルトブルー、イエローのカラーを用いた専用カラーリングをチョイス。「ポルシェ 911 リイマジンド バイ シンガー – クラシック ターボ」は、ルイ・ヴィトンのウィメンズ・コレクション・アーティスティック・ディレクターを務めるニコラ・ジェスキエールが手がけ、カルケール・リュテシアン・ホワイトを纏ったカブリオレとして完成した。

2台の911には、オーダーメイドで製作されたルイ・ヴィトンのスペシャルアイテムが随所に採り入れられた。ルイ・ヴィトンとシンガーのコラボレーションから生まれたレスモッドプログラムは、両社によるちょっとした会話から始まったという。ルイ・ヴィトンのウォッチ部門ディレクター、ジャン・アルノーは次のように振り返る。

「唯一無二の冒険は、シンガーから『レストアされた911のためのダッシュボードクロックを製作してほしい』というオーダーから始まりました」

「このコラボレーションは、スイスにあるラ・ファブリック・デュ・タン ルイ・ヴィトンの工房で、時計のデザインと製造を行うだけでなく、車両のあらゆる要素のパーソナライゼーションへと広げられるのではないかと、すぐに気づきました。そこに私たちが培ってきたレザー職人の技術や時計製造の専門知識を生かすことができると」

インテリアに採り入れられた「タンブール」

ルイ・ヴィトンとコラボレーションした「ポルシェ 911 リイマジンド バイ シンガー - クラシック」。
ルイ・ヴィトンの「タンブール」ウォッチから着想を得た、取り外し可能なクロックが採用された。

プロジェクトの中心となったのが、取り外し可能な機械式タイムピースだ。この美しい時計は、取り外してデスククロックとして使用することも可能で、そのデザインはアイコニックな「タンブール」ウォッチから着想を得ている。

特徴的なフォルムに加え、ベゼルにはルイ・ヴィトンの名を構成する12個の文字が磨き上げられ、彫刻された形で配されている。この時計をコクピットに組み込んだところ、ルイ・ヴィトンが手がける範囲は、この1個のタイムピースだけにとどめることはできないことがすぐに明らかになった。

これを受けて、インテリア全体に美しい統一感を持たせるため、メーターディスプレイの再設計を実施。この変更だけで約1年にわたる徹底した作業が必要となった。ルイ・ヴィトンのデザイナーたちは、スピードメーター、タコメーター、各種ゲージに至るまで、あらゆるディテールを再構築。タンブール・コレクションを象徴するグラフィックコードを取り入れ、特に針、文字盤上の末端部、インデックスシステムにその意匠を反映させている。

選ばれたデザインランゲージは、それ自体が明確な個性を放っている。鮮やかなコバルトブルーを基調とし、文字には鮮烈なオレンジのアクセントを加えた。時計製造の専門技術と、自動車産業に求められる厳格な要件との間で、絶妙なバランスを実現している。

ルイ・ヴィトンを象徴するサフランカラー

ルイ・ヴィトンとコラボレーションした「ポルシェ 911 リイマジンド バイ シンガー - クラシック」。
「ポルシェ 911 リイマジンド バイ シンガー – クラシック」のボディカラーは、ルイ・ヴィトンを象徴するサフランがチョイスされた。

ルイ・ヴィトンの「アート・オブ・トラベル」に対する哲学に着想を得た今回のプロジェクトは、車両そのものを完全に再構築することへと発展する。このようなクリエイティブ・パートナーシップは、ルイ・ヴィトンにとっても初の試みとなった。ルイ・ヴィトンは、自らのビジョンをシンガーのクラシックサービスによってレストアされたクーペとカブリオレによって表現することを選択した。

「ポルシェ 911 リイマジンド バイ シンガー – クラシック」は、サフランとコバルトブルーのカラーリングをまとい、トランク、サーフボード、スキー板一式を積載できる専用設計のルーフラックを導入。ルイ・ヴィトンが思い描いた仕様に基づいて、シンガーがレストモッドを完成させた。

ルイ・ヴィトンとの入念かつ緻密なクリエイティブワークの成果として、あらゆる要素やコンポーネントが再考され、自動車業界ではほとんど例を見ないレベルのサヴォアフェール(匠の技)に基づいて仕立てられている。あらゆる要素が、単なる装飾ではなく、本質的な意味を伝えることに重点が置かれた。

1世紀半以上にわたってルイ・ヴィトンのアーカイブに受け継がれ、20年以上にわたってパッケージにも使用されてきたサフランの色合いは、1924年にシトロエンのためにデザインされたトラベルトランクへのオマージュも込められた。さらにレザーグッズやトランクのサドルステッチに使われる鮮やかなイエローの糸も、今回、採り入れられている。

高級バッグにも使用されているVVTレザー

ルイ・ヴィトンとコラボレーションした「ポルシェ 911 リイマジンド バイ シンガー - クラシック ターボ」。
ルイ・ヴィトンが最も多く使用するレザー「VVTレザー」がインテリアトリムに使用された。

キャビン全体は、ルイ・ヴィトンが最も多く使用するレザー「VVTレザー」から着想を得て、ナチュラルな色合いのレザーで全面を張り込んだ。このレザーはルイ・ヴィトンの最高級バッグに用いられるハンドル、ショルダーストラップ、縁取り、ラベル、さらにはコーティングキャンバス製バッグなどにも使用されている。

ルイ・ヴィトンの熟練職人たちは、インテリアを彩るVVTレザー・トリムと完璧に調和するよう、シートの色合いを選定。インテリアのレザー加工はシンガー・チームが担当した。ドアハンドルの縁にはルイ・ヴィトンのバッグに用いられるものと同じ「エッジ・ダイイング」技法を採用し、ステッチにはイエローの糸が選ばれた。

シートとフロントトランクのトリム、さらにリヤのエンジンコンパートメントには、ダイヤモンドパターンのエンボス加工が施された。これは、ルイ・ヴィトンのトランク内部を特徴づける「マレタージュ(Malletage)」のモチーフをオマージュしている。

一般的な自動車のインテリアに見られるプラスチック製パーツは排除され、代わりに上質な天然素材を用いた手作業によるコンポーネントへと置き換えられている。調整ノブ、操作スイッチ、ロック、プルタブ、エアベントなどは、伝統的な職人技を用いて金属製に仕立てられ、その大半にはロジウムメッキが施された。

贅沢なカプセルコレクションを展開

ルイ・ヴィトンは、2台の911に合わせたカプセルコレクションを製作。写真は、ドライビングシューズ「LV Rally」。
ルイ・ヴィトンは、2台の911に合わせたカプセルコレクションを製作。写真は、ドライビングシューズ「LV Rally」。

今回、ルイ・ヴィトンはクルマだけでなく、そのオーナーの装いまで入念に仕立て上げたカプセルコレクションを製作。キャビンのインテリアと同じく「ミレジム・レザー」を使用し、クルマそのものに用いられたサフラン、コバルトブルー、イエローで仕上げている。

コーディネートの中心となるのは、ドライバーのためのアイテム。天然のシボ感を生かしたレザー製「レーシングジャケット」には、パンチング加工を施したLVジップクロージャーと、胸元に3つのモノグラム・フラワーのアイレットを配置。このモチーフは、シートとサンバイザーから直接着想を得た。シルクの裏地には刺繍でフラワーをさりげなくあしらっており、これは着用者だけが目にできるディテールとなっている。

厚手のコットンとシルクを用いたデニム素材の「ストレートカットジーンズ」は、使い込んだような風合いに仕上げ、コントラストの効いたステッチ、エイジドゴールド仕上げの刻印入りボタン、腰部分には「Louis Vuitton x Singer」タブをさりげなく配した。

「ドライビングシューズ」は2種類を展開。ひとつはサイドに「LV」イニシャルをあしらい、ラバーパッドソールを備えたドライビングシューズ「LV Rally」。もうひとつは、ヘリテージのアクセントを取り入れたハイキングシューズのシルエットを持つ「LV Remix Derby」。こちらには、深いブルーのキーベルを組み合わせ、「Louis Vuitton Singer」プロジェクトの文字とモノグラム・フラワーのアイレットをあしらっている。

キーにも専用の仕立てが施されあ。6本のキーを収納できるサイズのフォルダーを開くと、「Louis Vuitton x Singer」のスタンプが登場。また、ルイ・ヴィトンを象徴するブルーを取り入れたクローシュ型キーホルダーも用意された。

19世紀から存在した車載用バッグ

ルイ・ヴィトンとコラボレーションした「ポルシェ 911 リイマジンド バイ シンガー - クラシック」。
ルイ・ヴィトンは1890年代から、車載専用のトランクを手がけていた。今回も、様々なバッグがカプセルコレクションに加えられている。

ラゲッジもクルマに合わせて専用設計が施された。1950年代のスタイルから着想を得た「ヘルメットバッグ」には専用ヘルメットを収納でき、金具は燃料キャップの色調に合わせた。ルイ・ヴィトンが1892年に初めてカタログに掲載したスーツケースを直接のルーツとする「Bisten」には、ブルーのハンドルとネームタグを組み合わせ、衣類を平らな状態で収納してシワを防ぐことができる。

1930年以来、メゾンを象徴するアイコンとして知られる「Keepall」は、1週間分のワードローブをキャビンに収納できる。そして、フロントトランク用には2個のバッグを用意し、車両のノーズ部分に二つを並べてぴったり収められる形状に仕立てている。

ルイ・ヴィトンは、早くも1897年には、先見性に富んだジョルジュ・ヴィトンが車載専用のトランクを手がけていた。これらは車両のリヤやルーフに固定できるよう設計されたもので、特許取得済みロックを備えていた。トランクは重ねて収納しやすいよう薄型に設計され、スペースを最大限に活用するとともに、実用性を高めていた。

革新的素材「ヴィトナイト(Vuittonite)」キャンバスを採用。防水性としなやかさを兼ね備え、クルマのボディカラーに合わせて染色することも可能だったため、完全なオーダーメイド仕様を実現できた。軽量かつ柔軟性に富んだルイ・ヴィトンの「Auto Trunks(オート・トランク)」は、クルマのボディが描く輪郭や曲線に沿うように設計された。

1905年以降には、さらに幅広いアクセサリーが用意されるようになった。路上でのランチに対応する専用キットや、スペアタイヤの間に生まれる空間を巧みに活用して帽子や身のまわりの品を収納できる、画期的な防水バッグ「Sacs Chauffeurs(サック・ショーファー)」などが、高い人気を集めてきた。

クルマの形状に完璧にフィットするよう設計された専用ルーフラックには、旅に必要なものをすべて積載可能。ルイ・ヴィトン製サーフボードは、アンジェで職人が手作業で製作された後、大西洋沿岸へ運ばれて樹脂コーティングとフィンの取り付けが行われる。さらに専用のスキー板もラインアップに加えられた。

510PSの最高出力でありながらロードカーとしての快適性も担保するという「Turbo Study」(右)と750PS/9000rpmを誇る「DLS Turbo」のレストア・サービス。

964型ポルシェ911レストモッドの雄「シンガー」がコーンズとパートナーシップ契約を締結

空冷ポルシェ911のオーナーにレストア・サービスを提供しているSinger Vehicle Design(シンガー・ヴィークル・デザイン)は、コーンズ・グループと日本でのレストア依頼をサポートするパートナーシップ契約の締結を結び、2024年5月21日に発表した。