車検に通らないかも!? 発煙筒の役割と「約4年」の有効期限

発煙筒は事故や故障を簡単に知らせることができる。

発煙筒(正式名称:自動車用緊急保安炎筒)は、主に助手席の足元などに備え付けられている赤色の筒状の装備で、道路上で故障や交通事故が発生した際、鮮やかな赤い炎と煙を出して後続車に危険を知らせるための道具だ。

夜間はもちろん昼間でも遠くから視認しやすく、ハザードランプだけでは伝わりにくい異常を強い光と煙で物理的に伝える重要な役割を担っている。

万が一に備えて、車内に常備してはいるものの長期間放置しているドライバーも少なくないだろう。

常備されている発煙筒
発煙筒は火薬が使用されているため、一般的には4年で効力を失うと考えられている。

しかし実は、一般的な薬剤式の発煙筒には製造から約4年という有効期限が存在していることを忘れてはいけない。

道路運送車両の保安基準第43条の2では、自動車には非常時に後続車などへ危険を知らせるための”非常信号用具”を備え付けることが義務付けられている。

発煙筒はこの非常信号用具の代表格だが、内部に火薬類が使用されているため、長期間保管による経年劣化を避けることはできないため、日本工業規格(JIS)によって有効期限が4年と定められており、本体のラベルには有効年月が明記されているのだ。

なお、もし有効期限が切れた発煙筒を積んだまま車検に出した場合、本来の性能を発揮できない可能性があると見なされ、車検不適合として新しいものへの交換を求められるケースが一般的である。

たとえ一度も使用していなくても、過酷な車内環境下で劣化が進むため、定期的な確認と交換が欠かせない装備であるというわけだ。

非常時の追突交通事故を防ぐための適切な備えとは

車検
期限切れの発煙筒を放置したままにすると車検が通らない。

また、期限切れの発煙筒を放置することは車検に通らないだけでなく、実際の非常時において極めて深刻な事態を招く危険性が潜んでいるので注意が必要だ。

発煙筒は、本体のキャップにある擦り薬と頭部をマッチのように擦り合わせて着火させ、約5分間以上にわたって強い赤色光と煙を発生させるしくみとなっている。

追突事故
湿気などによって劣化したものは着火することができず、さらなる事故を引き起こしてしまう。

しかし、有効期限を過ぎた発煙筒は経年や車内の湿気、過酷な温度変化の影響により薬剤が劣化し、いざという時に火がつかない”不着火”を起こすおそれがあるのだ。

たとえば、高速道路の本線上で車が故障して停車を余儀なくされた際、発煙筒が着火しなければ、高速で接近してくる後続車に対して自車の存在を早期に知らせる手段を失ってしまう。

その結果、後続車の発見やブレーキ操作が遅れ、スピードを出したまま無防備な自車へ突っ込まれる甚大な追突交通事故を引き起こす要因になりかねない。

本来であれば防げたはずの二次的な被害を防ぐためにも、期限切れの発煙筒は直ちに新しいものへと交換することが求められる。

なお、近年では使い捨ての薬剤式だけでなく、電池交換だけで長期間繰り返し使えるLED非常信号灯も普及しており、こちらも保安基準に適合する製品であれば車検に対応している。

LED型の発煙筒
LED型では期限切れの心配や火器厳禁な場所でも使用することができる。

火を使わないためガソリン漏れの現場やトンネル内でも安全に使用でき、発煙筒の期限切れに不安を感じる場合はこうしたLEDタイプの導入を検討するのも有効な手段といえるだろう。

万が一の非常時に周囲へ確実に危険を通知し、自分自身や同乗者の命を守るためにも、日常点検の一環として非常信号用具の備えを徹底することが求められる。