実に2025年5月以来になってしまった我がXK8購入記。それだけトラブルもなく平穏無事に過ごしていたというわけなのだが、それほど甘いものではなかった。2026年も暑さが厳しくなったわけだが、真夏日を思わせるとある日のこと。取材のため撮影場所へ移動したところ、同行したカメラマンから「漏れてるよ」と指摘された。なんと路面に赤いシミを作ってしまったのだ。

取材中にカメラマンから指摘され赤いクーラントが漏れていることが発覚した。

ラジエターが漏れたら無理に移動しないこと

取材中なので焦ってしまったが、こうしたトラブルには過去に何度か経験して慣れているし、取材した相手の人が大型車のメカニックだったのも不幸中の幸い。どこから漏れているか探ってみると、ラジエターのアッパータンクに滲んだ跡を見つけてくれた。古いクルマだと真鍮でできていたからアッパータンクから漏れることは少ないのだが、現代のクルマの多くが樹脂製でできている。長年使用していれば、いずれは割れるのだ。

どこから漏れているのか現場で探ることにすると、右アッパータンクに漏れた痕跡を発見!

その場で主治医と連絡を取り、移動するならラジエターキャップを緩めて内圧が高まらないようにすれば自走はできると教わる。だが、無理してオーバーヒートを起こしてはエンジンまで壊れてしまう。こんな場合は無理をせず任意保険で使えるレッカーサービスを利用するのがベスト。取材場所から自宅まで近かったこともあり、タイトル写真のようになった。ドナドナではないので悪しからず。

ラジエターの交換作業

自宅まで主治医に来てもらってラジエターを交換することになった。

ラジエターを交換するには古いクーラントを排出することから始める。ちなみにクーラントをそのまま地面や側溝へ流すようなことをしてはいけない。吸水性の素材に染み込ませて燃えるゴミとして出すか、ガソリンスタンドや整備工場へ持ち込んで処理してもらうのが鉄則だ。

ラジエターのアッパーカバーを外してクーリングファンを外す。

下側のボルト&ナットを外したらホース類を外してしまう。さらに上側のカバーとボルト&ナットを外して電動ファンをフリーにする。こうすることで電動ファンを単体で外すことができるようになっている。なお、ラジエターの上に付いているスポンジは冷却効率を高めるためのものなので再利用するか、新しいものに入れ替える。

カバーが外れるとクーラントの漏れた個所がはっきりした。

上側のカバーを外すとクーラントが漏れた痕跡が鮮明になった。以前に乗っていた愛車でも同様な症状があり、その時は盛大にクーラントが漏れる前だったので大事にはならなかったが、ネオクラと呼ばれる古い車種に乗っているならいずれ割れるという覚悟が必要だ。

電動ファンはシュラウドごと外れるようになっている。

電動ファンを外すとラジエターが露出する。4リッターも排気量があるV8エンジンにしては薄い印象を受ける。そのことを主治医に伝えると、XK8の開発時に冷却性をどう向上させるかがテーマでもあったそう。流麗なスタイルながら、しっかり熱対策ガしてあることに感心してしまった。

純正ラジエターは23万円弱!

外れたラジエターには29年分の汚れが堆積していた。お勤めご苦労様でした。

問題はラジエターである。実に純正部品を頼むと22万8000円もする! そこまで潤沢な資金はないので社外部品を探してもらう。すると純正の半額以下となる9万1500円で入手できた。とはいえ現在、ネット通販で検索すると国産車用だと1万円以下から社外ラジエターを選べる。同じジャガーでもさらに安価で購入可能。だが不人気車といえる我がXK8用は見つからず、あったとしてもあまりに安価なものは不安が残る。

社外の新品ラジエターを装着する。

今回交換した社外ラジエターは純正より厚みがあったものの、難なく装着することができた。主治医曰く「より冷えるようになるんじゃないですか」とのこと。その後何度も猛暑日に乗っているが、まったく問題ないし水温計が上がるといったこともない。

クーラントのエア抜き

ラジエター交換時だけでなく車検時などはクーラントを交換する。その際、「エア抜き」と呼ばれる作業を実施する。ラジエターやホース、エンジン内やヒーター内をクーラントが循環するが、交換時はエアが残ってしまうからだ。エアが残ったままだと内部でクーラントが循環しづらくなり冷却効率が下がる。最悪オーバーヒートしてしまうので必須作業だ。通常ならラジエターキャップを外してエンジンを始動。ヒーターを入れた状態で水温が上がるのを待つ。するとラジエターキャップを外した注入口からブクブクと空気が出てくる。エアが出るにつれタンク内の液面が下がるので、その都度クーラントを継ぎ足し空気が出ない状態まで続ける。

クーラントを交換する場合はエア抜きが必要だが、XK8の方法は少々変わっていた。

ところがXK8の場合タンクが見えない位置にあるので注入口の状態で判断する。さらに上写真のようにラジエターホースを押して作業するのだ。というのもXK8のエアコンが国産車などで採用例の多いエアミックスタイプではないから。実はこの後、そのエアコンに再度不具合が発生するのだが、それまた別の機会に。主治医からは「冷却水不足の警告灯が付いたら継ぎ足してください」と言われたが、その後警告灯が点灯することはなかった。今回の交換作業にかかった費用は工賃と出張代込みで14万円弱。またしても痛い出費となった。