リフレッシュを機に大幅アップデート
TD-04Hで目指す驚異の180PSオーバー!
若い頃はAE86や180SXに乗っていたという石山さん。子供が生まれるタイミングでアルトワークスを購入し、それ以来なんと34年間にわたって乗り続けているという。

もともとはプライベーターとして自ら手を入れてきた愛車だが、エンジンが壊れたことを機にチューニングショップ「モトーレ」へエンジン製作を依頼。そこからコツコツとチューニングを進め、スズキスポーツ68φピストンやハイカムなどを組み込んだ720cc仕様へと進化させ、HA04タービンとの組み合わせで150psを発揮するまでに仕上げていた。
しかし、長年にわたって乗り続けてきただけに、近年は故障も増加。リフレッシュを検討して調べてみると、これまで使っていたHT07タービンの新品が入手困難になるなど、時代の変化を実感することになった。

そこで新たな選択肢として浮上したのが、現在でも新品で入手できるトラストTD-04Hタービンだ。
比較的サイズ感も近いことからトラストからも推奨されたというが、当然ながらCR22S用のボルトオンキットなどは存在しない。装着には高度な加工が必要となるため、以前から憧れていたという“ブラックライン”に作業を依頼することになった。

「昔からブラックラインは知っていたんですが、ちょっと敷居が高く感じていたんです。でも、オプション誌でブラックラインが手掛けたコペンの記事を見て、『これはぜひお願いしたい』と思って。エンジン製作をお願いしていたショップにも話をして、今回はタービンまわりなどの作業をお願いすることになりました。まさか今度は自分が取材されるとは思っていませんでした(笑)」と石山さん。

そこでブラックラインの鈴木代表と仕様を煮詰め、最終的にはTD-04Hタービンだけでなく、エキゾーストマニホールドやインタークーラー、スロットルまわりの補機類までワンオフ製作することになった。

エンジン本体は、従来と同じスズキスポーツ68φピストンなどを組み込んだ720cc仕様。ただし、TD-04Hの性能を存分に引き出すため、その周辺には大幅な手が加えられている。


インタークーラーはハイブーストに対応するため、幅700mmの大型コアを使用したワンオフ品。サイドタンクも可能な限り大型化しながら、限られたバンパー内部に収めるため、パイピングのレイアウトにも工夫が凝らされている。

さらに、ブースト圧2.0kgまでを想定して吸気系も新規製作。50mm径の削り出しスロットルを採用し、そこからインテークマニホールドへつながるサージタンクもブラックラインによるワンオフ品とした。

排気系もタービン交換に合わせて一新。エキゾーストマニホールドからマフラーまでをブラックラインでワンオフ製作し、吸気から排気までTD-04Hとハイブースト仕様に合わせて最適化している。
クーリング面では、ARC製とセトラブ製のオイルクーラーも投入。限られたスペースに大型インタークーラーや各種補機類を収めながら、ブースト圧1.8kgで180PSオーバーを目指す仕様が完成した。

重要なエンジンマネージメントにはLINK G4Xエクストリームを採用。ただし、セッティングについてはこれまでエンジン製作を依頼してきたショップが担当するため、現状はハードウェアが完成し、エンジンが始動できるところまで。セッティングが決まれば、180PS以上を狙えるポテンシャルを備えている。
もちろん、34年間乗り続けてきたクルマだけに、手が入っているのはエンジンまわりだけではない。


前後フェンダーは50mmワイド化され、5ナンバー登録を維持。足元には前後7J×14±0のボルクレーシングTE37を収め、ディレッツァZⅢを組み合わせている。

ハイパワー化に合わせ、フロントブレーキには日産スカイライン純正の2ポットキャリパーを流用。足まわりはビルズ製40段調整式ダンパーに、フロント7kg/mm、リヤ5kg/mmのスプリングをセットし、スズキスポーツ製のスタビライザーやブッシュも投入されている。

室内にも、長年にわたる進化の歴史が色濃く表れている。
運転席側のAピラーには大型タコメーターを装着し、ステアリングコラム上にはオートメーターのAF計とトラストのプロフェックBスペックⅡを配置。さらにダッシュボード上にはトラストの油圧・排気温度・ブースト計を並べ、助手席側にもトラストの水温・油温計と大森の電圧計を追加。センターコンソールにはLINKのキーパッドも備えるなど、各種情報をドライバーが確認しやすいレイアウトとしている。

そして室内には、サイトウロールケージで特注したワンオフロールケージが荷室まで張り巡らされ、スポット増しによるボディ補強も実施。運転席にはブリッド・ジータⅣを装着するなど、完全なストリート仕様でありながら、180PSオーバーのパワーを受け止めるための車体作りも抜かりがない。

さらに興味深いのが、このアルトワークスはエンジンやボディなどを含め、すべて公認を取得済みだということ。34年という長い歳月を経て、単純に当時の姿へ戻すのではなく、現在入手できるパーツとブラックラインの加工技術を駆使して、さらなる進化を選択したのである。

「リフレッシュを機に、思い切ってアップデートするお客さんが増えていますね」とは、ブラックラインの鈴木代表。
加工やワンオフ製作、そしてパワーチューンを得意とするブラックラインだからこそ実現できた、720cc+TD-04Hという新たなパッケージ。完全ストリート仕様のまま180PSオーバーを目指す、まさにモンスター級のアルトワークスだ。セッティングが完了したとき、この34年選手がどんな走りを見せるのか、今から楽しみな1台である。
●取材協力:ブラックライン 埼玉県川越市下広谷690-1 TEL:049-239-6667
【関連リンク】
ブラックライン
http://www.blackline-racing.com

