ダカールラリーの前に、まずはアジアクロスカントリーラリー参戦に期待!

9月2日に華々しくワールドプレミアを飾った三菱の新型パジェロ。そしてパジェロと言えば、切っては切れない関係なのがダカール・ラリーだ。まだパリ・ダカール・ラリーという名称だった1983年にパジェロは初参戦し、いきなり市販車無改造クラスで優勝。そして2年後には総合優勝を果たすと通算12勝を挙げて、「砂漠の王者」の地位を確たるものとした。

新型三菱パジェロと岸浦恵介 三菱自動車社長。

復活を遂げた新型パジェロでもダカール・ラリーへの挑戦が期待されるのは当然の流れだ。岸浦恵介社長は「やはりパジェロといえばダカール・ラリー。これは切っても切れない関係だと思っていますし、我々もそれを目指したいと思っています」と参戦への意欲を語ったものの、現段階では具体的な計画は未定とのこと。新型パジェロ発表会後、メディアを対象とした質疑応答の場では「企業体力、技術、かつ出て恥ずかしくない、勝負ができる、そういうクルマを仕上げられた時に、ダカール・ラリーにぜひ参戦したいというふうには思っています」と述べるに留まった。

となると、新型パジェロでまず期待したくなるのはアジアクロスカントリーラリー(AXCR)への参戦だ。タイを中心としたアセアン各国が舞台となるアジア最大級のクロスカントリーラリーで、灼熱のジャングルや農道などを中心に、過酷なオフロードコースを約2000km走破する。

チーム三菱ラリーアートはAXCRに2022年からトライトンで参戦中。2026年8月に開催された31回大会では、田口勝彦/保井隆宏組が日本人ペアとして初めて総合優勝を果たしたのは記憶に新しい。

「来年は新型パジェロで3連覇だ!」 と増岡総監督が宣言。トライトンを擁するチーム三菱ラリーアート、日本人ペアによる初の総合優勝を達成【アジアクロスカントリー2026】

三菱自動車が技術支援するチーム三菱ラリーアートの田口勝彦/保井隆宏組が、8月9日〜15日にタイで開催されたアジアクロスカントリーラリー(AXCR)2026で総合優勝を果たした。31回を数える大会の歴史で、日本人ペアによる総合優勝は初の快挙となる。日本帰国直後の会見から、田口選手、保井選手のホットな喜びの声をお伝えしよう。チームを率いた増岡 浩総監督からは、驚きの宣言も飛び出した!

その優勝会見では、増岡 浩総監督が来年の抱負を次のように語っていた。

「僕の腹の中では来年は新型パジェロで、と考えています。新しいクルマを作るのはすごく楽しみですし、ポテンシャルもすごくあると思います。トライトンとは兄弟車のようなものですから、これまで得てきたノウハウをパジェロにも活かして戦闘力の高いクルマにできたら、来年は盛り上がるかなと思います」

優勝会見は新型パジェロの正式発表前のタイミングで、そのときは会見を盛り上げるための増岡総監督のリップサービスなのかと思っていた。ところが、新型パジェロ発表会の会場では、AXCRを戦ったトライトンの横にラリーアートカラーの新型パジェロが展示されているではないか! 

新型三菱パジェロ ラリーコンセプト

それを見て「AXCRに新型パジェロ参戦正式決定!?」と、色めき立った筆者であったが、残念ながら、こちらもまだ確定したわけではなくて、参戦の準備、検討を進めている段階とのこと。しかし、ここまで見せておいて「検討の結果、やっぱり新型パジェロではやりません」とはならない…はず。来年のAXCRに新型パジェロが参戦する姿を思い描きながら、ラリーアートカラーの新型パジェロを見てみよう。

なお、「ラリーコンセプト」という名称が添えられたこの展示車両は市販車をベースにした参考出品であり、競技投入を前提に最適化されたAXCR仕様ではない。あくまでもショーカーとしてご覧いただきたい。

新型三菱パジェロ ラリーコンセプト

変更点はまず、足元。ホイールはワークのCRAG T-GRABIC MC(プロトモデル)。T-GRABICのネーミングにはTERRAIN(地形)、GRAVITY(重力)、BOUND(跳ねる)、IMPACT(衝撃)、CONTROL(制する)の意味が込められており、AXCRやバハ1000といった競技で培われたノウハウが注入されたモデルだ。展示車両は、18インチ×8.5Jサイズを履いている。

そのCRAG T-GRABIC MCに組み合わされるタイヤは、ヨコハマタイヤのジオランダーX-AT。オンロードでの快適性を確保しながら、ゴツゴツしたアグレッシブなトレッドパターンと優れたオフロード性能を備えた人気のオールテレーンタイヤだ。

新型三菱パジェロ ラリーコンセプト

タイヤサイズは285/60R18。純正サイズが255/55R20なので、ファットになったタイヤを収めるためにオーバーフェンダー(ノーマルよりもワイドなフェンダーモール)が装着されている点も見逃せない。

ただ、実戦ではここまでタイヤが幅広である必要はないそうだ。むしろタイヤがワイドになると接地圧が低下して泥上で浮いてしまう危険性があるため、ある程度、タイヤ幅を抑制したほうがぬかるみでのグリップ性能は有利になる。そう聞いて隣のトライトンのタイヤを確かめてみると、245/75R17サイズのジオランダーM/T G003を履いていた。

新型三菱パジェロ ラリーコンセプト

外装はラッピングが華やかだ。新型パジェロもラリーアートカラーがよく似合っている。そして前後のアンダーガーニッシュ、アンダーカバーもレッドとすることでカラーコーディネート。シュノーケルは純正用品として用意されるものを装着している(日本市場でも販売される用品なのかは不明)。

新型三菱パジェロ ラリーコンセプト
新型三菱パジェロ ラリーコンセプト

AXCR優勝ドライバー田口勝彦選手が語る「新型パジェロが有利な要因」

展示車両をせっせと撮影していると、なんと8月のAXCRで優勝を遂げたばかりの田口勝彦選手を発見! 「いや、まだ来年の契約もまだなんですよ」という田口選手だが、もしも来年、新型パジェロで参戦するとなったらどうでしょう!?

「AXCRを戦う上で新型パジェロが有利なのは、短いホイールベースですね。トライトンよりも260mm短くなっています。とにかく道が狭いですから。田んぼの畦道みたいなところにジャンクションがあって、そこを曲がらなければならないような場面では、ホイールベースが短い方が絶対的に有利です」

新型パジェロ ラリーコンセプトと田口勝彦選手。

まだ未試乗の田口選手だが、新型パジェロのディメンションはAXCRを戦う上でも有利に働くだろうと予想してくれた。その一方で、もし来年から新型パジェロを実戦投入するとなると、一筋縄ではいかないのではないか、と語る。

「ターボも新しくなっていますし、サスペンションのレイアウトも、前後の重量配分も違う。ですから、1年目はどこまで開発を進められるか、何回テストできるかにかかっていると思います。トライトンも、これまでちょっとずつエンジンのトルクを上げたり、ピックアップを良くしたりと進化させてきました。大きく変わっているわけではないですが、サスペンションも良くなっています。ですから、映像を見比べるとわかるのですが、今のトライトンは2年前の車両に対して、コーナリングのスピードもかなり速くなっています。要所要所を煮詰めた結果が、そういうところに出るんです」

新型三菱パジェロ ラリーコンセプト

なるほど…外野からすると、新しい車両になれば即ポテンシャルアップと思いがちだが、そう単純なものではないようだ。既存車両が熟成を重ねる中で、1年目の新型パジェロが勝つというのは簡単ではなさそうである。

勝敗はともかくとしても、やはり来年、AXCRで新型パジェロが戦う姿を見たいと思うのはファンの共通の願いだろう。田口選手、その際はがんばってください~!

増岡 浩総監督も登場! 来年はぜひ、新型パジェロでのAXCR参戦を!!