米国市場に導入された「クラウン」

トヨタ「クラウン」が北米市場で苦戦している。その背景にはSUV人気だけでなく、同じトヨタブランドの強力なライバルが存在する。それが「カムリ」である。

クラウン改良新型

米国で販売される「クラウン」は、日本の「クラウン クロスオーバー」をベースとするモデルだ。北米ではSUVタイプの「クラウン シグニア」も展開されているが、今回はクラウンとカムリの関係に注目したい。

両車の販売実績には大きな差

クラウンの2025年米国販売台数は1万2309台。2024年の1万9648台から37.4%減少した。対するカムリは31万6185台を販売し、前年比2.0%増。単純比較ではカムリがクラウンの約26倍に達する。 
もちろん、価格帯や商品コンセプトが異なるため、販売台数だけで優劣を決めることはできない。それでも同じトヨタのハイブリッドセダンとして見れば、カムリの商品力はクラウンにとって無視できない存在である。

クラウンはカムリより大柄で、21インチホイールやツートンカラーなども用意し、よりプレミアムなポジションを狙う。最上級「Platinum」には2.4L直列4気筒ターボとモーターを組み合わせた高性能ハイブリッド「Hybrid MAX」を搭載。システム最高出力は340psに達する。2027年モデルでも「Platinum」は340psの「Hybrid MAX」を継続している。 

クラウン改良新型

一方、現行カムリの北米仕様は全車ハイブリッド。2.5L直列4気筒エンジンを核とするハイブリッドシステムを採用し、FWDだけでなくAWDも設定する。絶対的な性能より、燃費、実用性、価格をバランスよくまとめたモデルである。

価格差も大きい。2026年モデルではクラウンが4万1440ドル(約646万円)から、「Hybrid MAX」を搭載する「Platinum」は5万4990ドル(約857万円)。Hybrid MAXの性能やクラウン独自のキャラクターを求めないユーザーにとって、より手頃なカムリは強力な選択肢となる。

トヨタ カムリ 北米仕様

さらにカムリは、長年にわたり米国を代表するセダンとして定着してきた。クラウンとの約26倍という販売差には、商品そのものだけでなく、知名度や市場への浸透度も影響している。

カムリの日本導入は秒読み段階?

そして興味深いのが、そのカムリが日本へ戻ってくることだ。トヨタは2025年12月、米国で生産するカムリ、ハイランダー、タンドラの3車種を日本へ導入する方針を発表した。さらに2026年4月にはハイランダーとタンドラの国内販売を開始し、カムリについても「準備が整い次第、販売を開始する予定」と明らかにしている。

トヨタ ハイランダー
トヨタ タンドラ

カムリは日本では2023年に10代目の販売を終了しており、現行11代目は国内未導入である。日本へ導入される新型は、米ケンタッキー工場で生産された車両となる。ただし9月4日時点で、日本仕様の発売日や価格、グレード構成は明らかになっていない。そのため、北米で起きている「クラウン対カムリ」の構図が、そのまま日本で再現されるとは限らない。

トヨタ カムリ 北米仕様

そもそも日本と北米では、クラウンの立ち位置が異なる。
日本では「クラウン クロスオーバー」「クラウン スポーツ」「クラウン セダン」「クラウン エステート」の4タイプを展開する。さらにトヨタは9月3日、クラウン クロスオーバー/スポーツ/セダンの一部改良を発表。クロスオーバーは同日発売、スポーツとセダンは9月21日発売、エステートも2026年末の一部改良を予定している。

クラウンスポーツ
クラウンセダン
クラウンエステート

対するカムリは、低重心の王道セダンとして燃費や実用性を重視するモデルだ。現在のクラウンがクロスオーバー、SUV、FRセダンまでカバーするブランドへ変化したことを考えれば、日本で両車が完全なライバルになるとは限らない。それでも注目したいのが価格である。日本仕様カムリがどの価格帯に設定されるかによっては、クラウン クロスオーバーなどと比較するユーザーが出てくる可能性がある。

トヨタ カムリ 北米仕様

米国では約26倍という販売差がついたクラウンとカムリ。そのカムリが日本へ復活することで、トヨタのセダン戦略には新たな選択肢が加わる。日本仕様の価格とグレード構成が明らかになったとき、カムリとクラウンをどう棲み分けるのか。その商品戦略にも注目したい。