三菱がラインナップするSUV

実は日本で展開される三菱車はSUVが充実している。しかも、いずれのモデルも優れたオフロード走行性能を備えており、ラリーで活躍してきた三菱の面目躍如だ。

三菱パジェロは1985年の「パリ・ダカール・ラリー」において日本車として初の総合優勝を飾り、その走破性と耐久性の高さを世界に知らしめた。写真は2025年に開催された「ジャパンモビリティショー2025」に展示された優勝車両。

2025年、2026年の「アジアクロスカントリー(AXCR)」で連覇を成し遂げたピックアップトラック「トライトン」は言わずもがな、他のミニバンと一線を画する「デリカD:5」は、パジェロ販売終了後はイベントでの三菱オフロードキット走行デモを一身に担ってきた。

「AXCR2026」で2025年に続く連覇を果たしたチーム三菱ラリーアートのトライトン。ドライバー:田口勝彦選手/コドライバー:保井隆宏選手の日本人選手ペアによる勝利となった。PHOTO:MITSUBISHI
「シン・モーターファンフェスタ2026」でのオフロードキット同乗体験走行を実施するデリカD:5。登坂キット(写真右)の最大斜度は45度に達する。

アウトランダーやエクリプスクロスも、都会的な雰囲気を漂わせるPHEV(※)ながら、電動パワートレインによる緻密なAWD制御がもたらす高い走破性は折り紙付きだ。
※エクリプスクロスはガソリンエンジンモデルもあり

三菱のフラッグシップを担ってきたアウトランダー(PHEV)。PHOTO:橘 祐一

では、そのラインナップに加わる新型パジェロは、その名に恥じない走破性を備えているのだろう?

オフロード走破性のひとつの指標

実際、備えているのは疑いようもないが、現時点では判断材料は少ない。そこで、オフロード走破性のひとつの指標となる数値でパジェロとその他の三菱SUVを比較してみよう。その指標は「最低地上高」「アプローチアングル」「ランプブレークオーバーアングル」「デパーチャーアングル」だ。

2026年9月2日に正式発表となった新型パジェロ。PHOTO:神村 聖

最低地上高は非常にわかりやすいが、その他の3点はオフロード好きでないとあまり聞き慣れないかもしれない。簡単に説明すると、
アプローチアングル:バンパーなど車体の前面が段差や傾斜の影響を受けない角度
ランプブレークオーバーアングル:車体底部が障害物の影響を受けない角度。”亀の子”のなりにくさ
デパーチャーアングル:登坂時および後退時に車体後部が地面などに接触しない角度
いずれも角度で表され、数字が大きければ大きいほど悪路走破性の高さを示す指標となる。

アプローチアングルの例。フロントが傾斜に干渉せずに坂を登り始められる(アプローチできる)角度。
ランプブレークオーバーアングルの例。傾斜や障害物を乗り越える際にボディ底部に干渉しない角度。
デパーチャーアングルの例。登坂時など、車体後部が地面や障害物に干渉しない角度。
デリカD:5のアプローチアングル/ランプブレークオーバーアングル/デパーチャーアングル。三菱自動車オフィシャルサイトより。

パジェロと三菱SUVの最低地上高とオフロード3アングル

新型三菱パジェロのボディサイズは全長4920mm×全幅1925mm×全高1910mm×ホイールベース2870mm。PHOTO:神村 聖

パジェロを含む三菱SUVの最低地上高とアプローチアングル、ランプブレークオーバーアングル、デパーチャーアングルは以下の表の通り。

車名最低地上高タイヤサイズアプローチアングルランプブレイクオーバーアングルデパーチャーアングル
パジェロ230mm255/55R2030.4度22.6度25.8度
デリカD:5185mm225/55R1821.0度16.5度23.0度
トライトン220mm165/60R1829.0度23.4度22.8度
アウトランダー200mm255/45R2020.0度23.6度19.7度
エクリプスクロスPHEV185mm225/55R1820.4度18.5度29.6度
パジェロスポーツ218mm265/60R1830.0度23.1度24.2度

パジェロは最低地上高こそ230mmと全車の中で最も高いが、アプローチアングルではパジェロスポーツと僅差。ランプブレークオーバーアングルではデリカD:5やエクリプスクロスPHEVにこそ勝るが、他3車よりは控えめだ。デパーチャーアングルは、リヤオーバハングが極端に短いエクリプスクロスPHEVは別として、実質トップと言えるだろう。

新型パジェロ
最低地上高:230mm
アプローチアングル:30.4度
ランプブレークオーバーアングル:22.6度
デパーチャーアングル:25.8度
PHOTO:神村 聖
デリカD:5
最低地上高:185mm
アプローチアングル:21.0度
ランプブレークオーバーアングル:16.5度
デパーチャーアングル:23.0度
PHOTO:中野幸次
トライトン
最低地上高:220mm
アプローチアングル:29.0度
ランプブレークオーバーアングル:23.4度
デパーチャーアングル:22.8度
PHOTO:MITSUBISHI
アウトランダー
最低地上高:200mm
アプローチアングル:20.0度
ランプブレークオーバーアングル:23.6度
デパーチャーアングル:19.7度
PHOTO:橘 祐一
エクリプスクロス(PHEV)
最低地上高:185mm
アプローチアングル:20.4度
ランプブレークオーバーアングル:18.5度
デパーチャーアングル:29.6度
PHOTO:MITSUBISHI
パジェロスポーツ(日本未導入)
最低地上高:218mm
アプローチアングル:30.0度
ランプブレークオーバーアングル:23.1度
デパーチャーアングル:24.4度
PHOTO:MITSUBISHI

未舗装路も多く、オフロード走行の機会が多い東南アジアをメイン市場にするトライトンやパジェロスポーツの数値が優れているのは当然として、そもそもオフロード性能の高いクルマが揃う三菱SUVだけに極端な差は出にくいのかもしれないが、アプローチアングル(30.4度)とデパーチャーアングル(25.8度)を考えれば新型パジェロのオフロード走破性が高いレベルにあるのは十分想定できる。

パジェロスポーツ。トライトンのフレームを使用したSUVで、2015年に登場した現行モデルが3代目にあたり、初代モデルは「チャレンジャー」として日本にも導入された。パジェロ販売終了後はよくその名跡を守り、日本導入待望論もあったが、新型パジェロの登場でその役割を終えると思われる。PHOTO:MITSUBISHI

長らくイベント時のオフロードキットは前述のとおりデリカD:5が担ってきた。日本発売後はトライトンも顔を見せたことがあるが、このラインナップにパジェロが加わるのが待ち遠しい。その走破性を早く実際に見せてもらいたいものだ。

オフロードキット体験同乗走行を実施するトライトン。写真は2025年の「モーターファンフェスタ2025」。