三菱 パジェロの魅力はオン/オフ問わない扱いやすさ

歴代パジェロのなかでも2代目は社会現象となるほどの大人気を博したモデルだ。本家本元の歴代パジェロのほか、コンパクトなパジェロジュニアやパジェロイオに加え、軽自動車規格のパジェロミニといった派生車種も存在した。

1982年に三菱ジープの後継車として登場した初代パジェロは、フロントサスペンションに当時のオフロードSUVとしては異例となるダブルウィッシュボーン式独立懸架サスペンションを採用することで、高い悪路走破性を備えながら日常での使い勝手も損なわない高い操舵性と高速安定性が与えられていた。

こうしたオンロード/オフロードを問わない扱いやすさがパジェロの大きな特徴であり、このコンセプトは以降のモデルにも脈々と受け継がれていく。

そして、パジェロのもうひとつの特徴はダカールラリーにおける輝かしい戦績だ。パジェロは1983年の初参戦から2009年まで通算12回の総合優勝を果たし、2001年〜2007年までは7連覇という偉業を成し遂げている。

パジェロと言えば、2代目を想像する人も多いだろう。1990年代のRVブームおよびスキーブーム時は、キャンプ場やスキー場の駐車場をRV車が埋め尽くした。その筆頭車種が1991年に登場した2代目パジェロだ。

2代目はクルマ自体もパジェロらしい機能性を進化させており、3列シートモデルの設定に加え、走行中でも2WDと4WDを自由に切り替えられる“スーパーセレクト4WD”や、デフロック時でも動作する“マルチモードABS”などの先進技術を搭載することで、乾燥路から雪道までシームレスに走れる高い安全性が与えられていた。

1999年の3代目ではラダーフレームとモノコックボディを一体とした“ビルトインフレーム”ボディを採用することでボディオンフレーム構造に起因するさまざまな欠点を解消。2006年に登場した4代目は、熟成モデルとして2019年の国内販売終了まで三菱のフラッグシップSUVとして君臨し続けた。

今でこそ、各メーカーのオフロードSUVは日常での扱いやすさを求めて独立懸架サスペンションの採用やモノコックボディ化を進めているが、パジェロはライバルよりも早い段階でそのコンセプトを体現していた先駆者だ。オフロードSUVを実生活上で快適に使うための優れたバランスこそが、パジェロの魅力と言えるだろう。

パジェロを中古で購入するなら4代目がベスト

4代目パジェロを中古で購入するなら、ディーゼルの7人乗りロングボディモデルが狙い目だ。相場は200万円以上とやや高いが、同世代となる150系ランクルプラドよりも50万円ほど安く買える。

中古のパジェロを購入するなら、信頼性と完成度が高い4代目を選ぶのがベストな選択だ。

3代目以前のパジェロは流通台数が少ないうえ、年式やコンディションに対して価格が高い。古いクルマにもかかわらず底値は約100万円であり、コンディションによっては200万円や300万円で販売されている個体もある。さらに2代目後期型から3代目にかけて搭載されていた直噴ガソリンエンジン“GDI”は故障が多いことでも有名だ。

4代目の流通台数も年々減っているが、全国から探せば良好なコンディションの個体はまだ見つかる。ただし、走行距離6万km以下の低走行距離車を探すとなると最低でも200万円以上の予算が必要となる。一方で、条件を問わなければ100万円以下で購入できる個体も多い。

搭載エンジンによっても中古車価格は大きく変わってくる。全体の約半数を占めるディーゼルモデルは3.2リッター直列4気筒のクリーンディーゼルエンジンを搭載しており、走行距離6万km以下なら300万円から、10万km以下でも200万円が底値となる。

ガソリンモデルの場合は、3.0L V6エンジンモデルが走行距離10万km以下なら120万円から、6万km以下は200万円が底値だ。流通量が極めて少ない3.8L V6ガソリンモデルは走行距離10万km以下が150万円、6万km以下なら300万円からが相場となる。

なお、流通している中古車のほとんどが7人乗りとなる全長4900mmのロングボディモデルだ。全長4385mmで5人乗り3ドアのショートボディモデルは底値こそ安いが、希少性に加えて競技向けの需要があるためかコンディションが良い個体の価格はロングボディと大差ない値段が付けられている。

3.2L ディーゼルモデルのロングボディをベースとし、2019年に700台限定で販売された最後のモデル“ファイナルエディション”は、当時の新車価格が453万600円だったのに対し、現在は500万円から600万円近いプレミアム価格だ。

4代目パジェロなら今でも比較的安心して乗れる

クリーンディーゼル「パジェロ」のコクピット
4代目パジェロも流通台数が少なくなってきているため、検討しているなら早めの決断が望ましい。乗り潰すつもりであればリセールバリューを気にする必要もないため、ランクルに対するパジェロの優位性は幾分上がる。

新型が登場すれば、旧型の中古車価格は下がるのが通例だ。しかし、先日発表され、2026年末に発売予定となっている新型パジェロのボディサイズや価格を考慮すると旧型を代替するモデルとは言い難く、4代目パジェロの中古車価格は横ばい、あるいは値上がりが予想される。

新型が登場しても、4代目パジェロが持つ特異性と価値が薄れることはないだろう。しかし年式や基本設計の古さから、手放しでおすすめできるクルマとも言い切れない。

4代目パジェロは2019年まで生産されていたため純正部品の供給体制は整っているが、経年劣化による不具合は避けられないため、相応の整備費用や修理代は準備しておきたい。

とくに注意したいのが下回りのサビだ。パジェロのビルトインラダーフレームはモノコックボディに分類されるため、ボディに穴が開くほどの腐食が生じると車検に通らなくなる。購入時には、下回りの状態確認は必須作業と言えるだろう。

エンジンの補機類の故障にも注意したい。とくにディーゼルモデルはエンジン本体の耐久性は高いものの、搭載されるのはクリーンディーゼル黎明期に登場した4M41型エンジンであり、DPFの煤詰まりや燃料供給システムの故障によって高額な修理費用が発生した事例もある。

また4M41型ディーゼルエンジンに組み合わされる可変ノズルベーンターボは、煤噛みによってノズルが固着し、過給圧異常によるチェックランプ点灯や加速不良を引き起こす事例が定番トラブルとなっている。

幸いパジェロには根強いファンが多く、維持していくうえでの情報収集は難しくない。4代目パジェロは比較的安心して乗れるクルマだが、こうしたトラブルに対する最低限の心構えは必要だ。